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歯切れが悪いのは仕様です。

サークル文化の記憶や記録は継承した方が良いかも

下記の辺りの流れを見て,ちょっと気になったことを書き記しておく。結論とか提案みたいなものはタイトルに書いたとおり。もうちょっと具体的に書いておくと,サークル文化の良いところも悪いところも後進に伝えておくのが良いのではという辺りが重要かな。

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県人会とか

「サークル(文化)」というと,どうしても東京都内とかにある大学の華やかな,そして時には問題も起こすようなタイプのものを思い浮かべる人が多いのかもしれない。しかし一口に「サークル」と言っても多種多様なものがあり,また大学ごとに事情も違うだろうからあまり一括りにしては論じられないだろう。

私がサークル文化の継承というところで真っ先に思い出す身近な事例は,サークルとはまたちょっと違うかもしれないけれども,筑波大学(所属先)の沖縄県人会のこと。この県人会は学園祭(雙峰祭)でエイサーを披露するのが恒例だった(少なくとも私が学部生だった1990年代後半からずっと続いていた)。

あまり活動そのものに直接関わっているわけではないけれど,ここ数年この県人会が学内でエイサーを練習する場所の申請をするための書類に教員としてサインをしてきた。私は学部生だったときも体育会だったということもあって県人会にはほとんど関わることができず,ちょっとした罪滅ぼしのような個人的動機もある(三線とかでも貢献できないので…)。

ところがコロナ禍で2020年は学園祭が中止になった。もし2021年も開催できないということになると,活動の継続がけっこう難しくなるのではないかという心配がある。沖縄出身であればエイサーそのものはある程度練習すればできる人がけっこういると思うけれど,人を集めて定期的に練習してそれを学園祭で披露するといった手順やノウハウは一旦途切れると後からやろうとする人はなかなか厳しいのではないか。

ダメな文化の記憶を語り継ぐ

さて,こういう例を出すと「なるほど,良いものもあるのか,そういうのは残した方が良いかも」という人はけっこういるだろう。私はサークル文化のダメなところもきちんと語り継いだ方が良いと思う(ダメな風習や伝統,あるいは組織そのものはなくなっても良い)。

いったんサークル文化の継承が途切れることでダメな伝統がなくなったとしても,結局人が組織や集団を作る以上,同じことが繰り返されるんじゃないかな。特にハラスメントとか差別とかその辺りが心配。それなら,「むかしこのサークルではこんなひどいことがあった」という記録や記憶が継承される方が良いんじゃないか。

語り継ぐのが難しいなら,何かに記録しておくとか。あとサークルで使っていた資料とかミーティングなんかの記録を残しておくとか。

私は学部では体育会に所属してその後は研究の道に進んだけれど,体育会だろうがサークルだろうがアカデミアだろうが人がある程度集まって組織を作ったり一緒に活動をすると,ちょっとしたきっかけで変な伝統や人間関係,あるいはハラスメントが発生するんだなというのが強い実感としてある。

もちろん時にはどうしようもなく行き詰まって組織を解体した方が良い場合もあるだろうけれど(特に「伝統」ってのはほんとに厄介),じゃあまっさらにした後は素晴らしいものがスタートするかといったら,そんなに望みは持てないっすよ,たぶん。形はどうあれ,ダメだったことについても伝えていく方が良いと思う。

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dlit.hatenadiary.com

「メンタル」はMPみたいな値ではないか

スポーツなんかで「メンタル」への言及のしかたに違和感を感じることがある。たとえば「○○選手はメンタルが強い/弱いので…」のような言い方。

なんで嫌な時があるんだろうというのがよく分かっていなかったのだけれど,理由の1つとしてそもそも「メンタル」という能力?の捉え方にずれがあるんじゃないかという気がしてきた。ちょっとだけ言語化してみる。

自分のスポーツの経験からは「メンタル」はかなり変動する値だという実感がある。ドラクエやFFで言うとMPのような値が真っ先に思い浮かぶ。すぐ減るし,ダメージを受けることもある(直接の攻撃だけでなく気候とかそういう外部要因でも)。回復はできるけれどもなかなかすぐに全快とはいかなかったり。あとその時の最大(上限)値より増えることはない。

私にとってはスポーツだけではなく研究や仕事,生活などでもそう。

一方,上で触れた「○○選手はメンタルが強い/弱い」というような言い方では,どうも「メンタル」をあまり変動しない能力値のように扱っていることがある気がする(文脈上そうでないこともある)。MPのベースになる基本的な能力値,ドラクエだと「かしこさ」,FFだと「せいしん」「ちせい」みたいな値…はちょっと内容的にずれがあるかな。「気力」みたいなパラメーターがあればそれが近いかも。

どちらのタイプの能力値も成長することで上限値は増えるのがまたこの区別を見えにくくしているのではないかな(ゲームによっては基本的な能力値はほとんど変わらないものもあるけど)。

自分としては前者の「メンタル」を変動的な値として考える考え方を推したい。最大値が成長するのも良いことなのかもしれないけど,実戦的にはむしろ急激に減らさないためのケアや減ってしまった場合の適切な回復の方が重要。

ところで特にコロナ禍が本格的になってから,自分の「メンタル」は常にダメージを受けながら変動しているような感覚がある。常に何かを気にしたり心配したりしているし一息付けそうだなと思ったらすぐ何か新しい問題が発生する。全快の状態がもうよく思い出せない。ゲームならMPの最大値は(転職とかそういうのを除いて)あまり減少することはないと思うけど,私の「メンタル」の最大値はもう減ってしまったかも。やっぱり現実は厳しい(私が今生きているこの世界は現実だよね?)

「チン-ポ」と「増-田」

形態素境界にハイフンを入れないと記事を公開できなかったチキンな私をお笑い下さい。

東京都がCOVID-19ワクチン接種に対してポイントを付与するというニュースに関して「ワクチンポイント…略すとチンポだな」という発言を複数見かけました(検索するとけっこう出てきてどれが初出なのか分かりません)。

そもそも「ワクチン」が話題になりはじめた初期から「チン」の部分で盛り上がりすぎだと思いますけれども,「(ワク)チン+ポ(イント)」って複合語前部要素の語末から2モーラ+後部要素語頭から1モーラっていう構成が「(アノニ)マス+ダ(イアリー)」のパターンとまったく一緒なんですよ!

増田erの方々は増田と一緒だって何が悪いんだと思われるかもしれません。いや私も「…これは!」となった後「だから何なんだろう…」となってしまいました。個人ブログなんだしたまにはこんな記事でも良いよね。

以下余談です。

以前もちょっと書いたように,この前部要素語末部分+後部要素語頭部分の組み合わせの複合語短縮ってあまり典型的なパターンではないんですよね。典型的なやつは前部,後部ともに語頭から取るやつ(例:ポケ(ット)+モン(スター))。ただいちおう探せば「(オー)プン+リー(チ)」とか「(ニッ)ポン+ジョ(シダイガク)」とかそれなりに見つかります。あとコメントで「(いっ)ぱん+きょう(よう)」「(ハイ)ドロ+ポン(プ)」なども教えてもらいました。

「(ワク)チン+ポ(イント)」は明らかにアウトプットの形がそのパターンが選ばれる動機として強いんだろうと思うんですけど,こういう典型的なパターンから外れるやつっていろいろあって面白いです。印象に残ってるうまいなあと思ったのは「魔(法少女)+ま(どか☆)+マ(ギカ)」とかですかね。3つの要素の語頭1モーラずつってなかなか見つからないような気がします。あとぜんぶ同じ音の表記違いっていうのも面白くて(もしかしてそれも要因の1つ?)。「まど(か☆)+マギ(カ)」っていう方は典型的な複合語短縮のパターンですね。

追記(2021/08/13)

Twitterで「ゆゆゆ」もそうじゃないかと教えてもらいました。助詞とかが入ってるんで正確には複合語というより句(以上の大きさ)からの短縮なんじゃないかと思いますけど「ゆ(うき)ゆ(うなは)ゆ(うしゃである)」なので,3つの要素から語頭1モーラずつという特徴は「魔(法少女)+ま(どか☆)+マ(ギカ)」と一緒ですね。

句からの短縮は私が審査を担当した院生が以前テーマにしていて一緒にデータを見たことがあります。すでに定着したものとしては「たな(から)ぼた(もち)」など意外と例があるのに加えて,webをあさると「きよ(みずの)ぶた(いからとびおりる)」みたいな新しめのやつも見つかって楽しかったです。ちなみに「きよぶた」は「思い切って何か(特に買い物?)をする」というような意味で使われていて元の表現とそれほど変わらないんですけど,「きよぶたで買った」みたいな振る舞いが文法的に面白いですね。