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歯切れが悪いのは仕様です。

雑誌『数学セミナー』を読んで: そして言語学へ

※今回のはいつにも増して戯言です。決してふざけてるわけではないですがご勘弁をm(_ _)mあと括弧書き注釈もめちゃくちゃ多いです…
今日は図書館でいつも読んでる雑誌数学セミナーを手にとってみる↓

まあ読むっていっても、専門的なことはほとんどわからないので、なんとなく、どういう事柄/現象や概念が問題になるか、それに対する取り組み方、なんかを感じ取るぐらいのものです。
今回の特集は「連続と離散をつなぐ数学」ってことなので、いつもより興味数割り増し。なんでかって、言語学でも時々っていうかちょくちょく出てくるんです。この「連続と離散」っていう概念。

例えばある本で高名な生成文法の研究者が、「理論言語学(ここではgenerative syntaxのことね)がうまく数学に乗らないのは言語が離散系としての性質を持つからだ」みたいなことをちょこっと言っていた。
これだとなんだか数学は「離散」的なシステムを上手く取り扱えないようだけど、もちろん全然違う。ニュートン・ライプニッツの頃の初期解析学だけの世界ならともかく、現代数学には離散的な体系・現象を扱う分野もちゃんとある(ようです)。
むしろ問題の一つはmixiの日記でもみつきち君(理論物理専攻)とちょっと議論したけど、言語の体系(の分析)の核となる部分においてはっきりした物理量が出てこないことだと思う(勿論、単語の数とか量になるものが無いわけじゃないけど…)。

で、その”量”についてなんですが…

雑誌で何回か取り上げられてた”箱球系”という系の問題の解説を読んでるときにふと言語学へのアナロジーが働いた。箱球系自体面白いシステムなんだけど、僕にその面白さを解説する能力は無いので、その雑誌か、他の入門書を参照してもらうとして、気になったのはその系の単位時間当たりの状態は直近の(直前の)状態によってのみ影響を受ける、というところ。
そういえば、言語学でもこの”直近”ていう概念て重要な気がする。
まずは上の箱球系の話に即して考えれば、文を形成する過程("派生(derivation)"とか言います)って色んな操作が適用されて1 stepずつ進むんだけど(こういう意味では離散的だね)、その場合も大体直近(直前)の情報しか参照できないようになってる(と考えられてる)。
で、これは物理系に考え直すとつまり”時間”的概念なんだけど、いわゆる”位置”に関する直近の概念も言語理論にはある。専門的な用語を使って申し訳ないけど、代表的なものは単語、文、音なんかの要素同士の単純な位置関係("隣接性(adjacency)"って言われる概念とか)とあと構造的な遠近関係(clausemate, closest c-commandとかね)が挙げられるだろう。
で、大体派生の進み方と構造における位置関係(よく”幾何学的関係”なんて言われるけどそれは微妙なところ)って本質的には違うって考えられがちだし、隣接性と構造的位置関係も競合させられることはあるけど、大体前者は音韻論/形態論で、後者は統語論で取り扱われる概念だ。

で、妄想はこっから。物理の方程式では時間も位置も(あとエネルギーとかか)同じく変数として盛り込むことができるわけだから、言語理論における上の概念も言語理論のメタ理論みたいなところで抽象化して一緒に捉えることはできないかと考えたわけ。
もともとずっと言語理論自体を形式化したいという願望があって、群論とかちょこっとかじったけど、言語理論は(その部分集合ですら)どう考えても群にはなりそうにないし…
ちょうど今自分の研究のために統語論的構造と形態論的隣接性の関係についての理論を作ってるってこともあって、なんだか非常にもやもやっとしたものではありつつ、インスピレーションを受けたような気がしたのです。もうちょっと具体的な形にならないかなあ…

あと言語理論で連続と離散て言えばVerkyulとJackendoffがeventの意味論的形式化に関してマニアックな論争を繰り広げてたなあ…でもManfred Krifkaとかもやってたと思うけど意味論ではこういう数学的概念を用いること自体はそんなに珍しくない…”eventとobjectはhomomorphism(日本語で準同型写像)な関係にある”…「太郎は壁を赤く塗った」っていうような文を追いかけててこんな論文に出会ったらそりゃ驚くわな(笑)

あー自分で読み返してもかなり酷いわ…(^_^;
でも僕の普段の頭ん中ってこんな感じです。ある意味一番このブログらしい記事。