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歯切れが悪いのは仕様です。

アメリカの言語の院生と創造論とかの疑似科学の話をした

 結構興味深い体験だったのでメモ。
 僕がそういうテーマに興味があるという話はしたことが無かったのでちょっと驚いた。確か言語に対する科学的アプローチと形而上学的/思弁的な疑問を区別できてない質問とかされるとだるいよね、という話が発端だったかな。そして「科学(的)」がテーマに。
 そこでテキサス出身の彼が「まあアメリカでは多くの人が進化論を信じてないしね」と発言、進化論と創造論*1の話へ。もう一人同席してた院生が「そういう人たちって化石に関する事実とかどう考えてるんだろう」という疑問を発したので、僕が「聖書に書かれてる大洪水が事実だと考えてる人たちがいて、それに関する研究もあるんだって」と答えたところ、「ホントに多くの人が聖書の記述を事実だと信じているよ。僕の家族もみんなそう。」と言われた。
 Kumicitさんのブログを読んでいるとテキサスに関する話題もちらほら出てくるので結構進化論教育が身近な話題なんだろう、と思う。そんな中、なぜ彼が科学的思考法になじむことができたのかということが当然話題になったのだけれど、彼いわく「たまたま悪い教育に出会わなかった」からだそうだ。「僕の地域ではもしかしたら珍しいのかな」なんて付け加えていた気もする。まあでも他にTVで科学者と超能力者が対決する番組の話題も持ち出したり、言語学以外にも色々な分野に興味を持っているなんか親近感の湧く人物なので、好奇心や探究心といった類の彼自身の資質も大きく関連しているような気がした。
 科学教育の話にもなって、印象的だったのは彼が「科学を単なる事実の集合(facts)として教えるからいけないんだよね。」と言ったことだった。僕の「その通り」という同意にも力がこもっていたと思う。SFAAの存在を知った時は「おーすごいなアメリカ」と思ったのだけれど、やっぱり色々大変なんだなあ、と実感させられた*2
 僕からは日本では進化論と創造論というテーマはそこまで大きい社会的トピックではないけど、やっぱり変なことを信じてる人はいるし、他にも色々な疑似科学に関する言説があるし、ブログなんか読んでると頭が痛くなることがあるよ、と言う程度にしておいたけど、水伝の話なんかしても良かったかもしれない。というか知ってたりして。
 自分と同じ研究領域内でこういう同じような問題意識を持っている人と話ができた、というのは非常に嬉しい体験だった。あと、今回の話に限らずなぜか僕が話す院生は物理とか化学とか生物学とかに興味がある人が結構いて、科学関係のテーマでブログを書いたり読んだりしてる時に得た知識、中でも英語の専門用語に関するものが言語学の院生とのコミュニケーションにおいて非常に役に立っていたりする。いや、もちろんtoeflのお勉強で得たところも大きいですけど*3
 ちなみに疑似科学の流れで、言語学、特に理論言語学に関する変な誤解とかも困るよね、という話もしたのだけれど、こちらはちょいとマニアックな話になるので割愛。

*1:具体的に"creationism"とか"ID"という用語は出てこなかったけど。

*2:というか大変だからこそSFAAのようなものが整備されているのか。

*3:でも確かtoeflでももともと文学なんかより自然科学系の方が得意だったな。