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歯切れが悪いのは仕様です。

魔法の言葉「仮説に過ぎない」

 魔法の言葉、ってのは言いすぎかな…a-geminiさんの以下の記事を読んで。

 以下引用(引用の中の引用部分は福岡伸一氏の発言)。以下の話では福岡氏の主張そのものには踏み込みません、念のため。

もっともダーウィンの説もあくまで仮説に過ぎず、五本指が私たちの形質になった真の理由を証明できるわけじやありません。たしかに四本指族と六本指族がいて、その間で五本指族が生き残ったという物的証拠は何もないわけですから。

「ダーウィンの説もあくまで仮説に過ぎない」というのも妙な言い草だ。
「仮説」だから正しいとは限らない、とほのめかしたいのだろうか。

 もう「に過ぎない」という表現を使用している時点でなんとなくその意図は伝わってくる気がしますが、結構良く聞くフレーズだと思います、この「仮説に過ぎない」。ここで科学絡みの話題でこの表現を使用する人に聞いてみたい、と僕がいつも思っているのが、

  • では「あくまでも仮説に過ぎなくない」科学上の命題、理論、モデルを教えてください。

ってこと。どういう答えが返ってくるんでしょうね。
 科学(というか学問)にあまりなじみが無く「仮説」っていう言葉を聞いちゃうと「作りたてほやほや」「とりあえず考えてみたその場しのぎの案」「いつ棄却されるかわからない」なんてイメージを持っちゃうこともあるのかな?
 「仮説」の定義にもよりますが、「いつ棄却されるかわからない」ってのはその通りですよね。ただ、いわゆる有力であるとされる説(上の例で言えばダーウィンの説)が信頼されているのは

  • むしろ「いつ棄却されても良い」上に、多数の研究者によってchallengeされ続けた(され続けている)にも関わらずそれでも生き残ってる

からで、そこが重要なところなんですけれど、「仮説に過ぎない」とか言ってしまう人によってそこが強調される、というか言及されるのはあまり見ないですねえ。
 まあ場合によってはこの点を主張して、さらにある程度納得してもらっても今度は「それは学会の圧力が…」なんていう答えが返ってきてもっと厄介な消耗戦に突入しなければならなかったり。頭痛の種は尽きないというかなんというか。