誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

博論執筆記10:原点

 最近Halle and Marantz(1993)がようやく(ほぼ)すっきりと理解できるようになった(気がする)。
 もう分散形態論(Distributed Morphology)を本格的に使い初めて三、四年になるし、今まさにその理論で博論まで書いているというのに。それにしても何回読み返したことか。
 この論文が言わずと知れたDMの原点なわけだけど、とりあえず最初に読むべき論文ではないと思う。最初に読んで理解できる人もいるのかもしれないけれど、なんか難しい。他のDMの論文とか形態論の論文を色々読んだ後じゃないと問題設定とかからしてよくわからないんじゃないかなー
 しかし理解できるようになると、この後洗練されていくことになるDMの基本的な概念というか考え方がこの時点でかなり出揃っていることがわかって面白い。あと、その後今にいたるまであまり取り上げられてないけど面白いことなんかも色々こっそり言ってたりしてそれも楽しい。
 そういえばちょうどOTの嚆矢とされるPrince and Smolenskyの論文も1993なわけだけど*1、OTはちゃんと教科書とか入門書が出てるよなあ。DMもそろそろなんかまとめとかそういうの出ないんだろうか。まあマイナーだしな。僕としてはあまりメジャーになってほしいとも思わないし。
 全然関係無いけど自分の研究室が欲しい。というかいつでも利用できる研究に適した空間が欲しい。なんか帰国してから自分の部屋では研究できない体になってしまったのですよ。

*1:これもまた難解らしい。