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口頭発表で気をつけていること:誰にどこまで届けたいか

 学会での口頭発表などのお話。整理もかねて。
 さて、僕は今でもさして口頭発表がうまい方ではないと思うのですが、以下のことに気をつけるようになってから少しは良くなったと思います。内容の準備に必死になっていると忘れることもありますが…ちなみにこれは院生時代、理論物理の研究室に所属していた友人から、先生にもらったアドバイスとして聞きました。
 さてそのポイントとは、タイトルにも一部書いてありますが、誰(どのような人)にどこまでの内容を届けたいのか、具体的に目標を設定しておく、ということです。
 そんなの基礎中の基礎じゃねーかというところだと思いますが、僕が聞いたアドバイスは、研究発表だと

  1. 全くの素人
  2. 〜学の専門家
  3. 〜学の中でも発表のテーマに詳しい専門家

の三つぐらいにターゲットを分けて、それぞれ「何を/どこまで(何割)わかってほしいか」を考えるとよい、というものでした。当時の僕は研究発表でも常に「全くの素人」のことを考えて発表を構成する、という考え方に衝撃を受けたものです。また、「全ての人に全て伝えることを目標にはしない」、というのも今考えると当たり前にも思えるのですが、結構新鮮でした。
 今の僕はだいたい

  1. 全くの素人
  2. 言語学の専門家(で日本語学には詳しくない)
  3. 日本語学の専門家
  4. 生成文法の専門家
  5. 発表のテーマの専門家

ぐらいで対象を分けています*1(エラそうに)。多そうに見えるかもしれませんが、2〜4辺りはかぶっていたり発表の場によってはいないこともあるので、ものすごく細分するわけではありません。
 で、どの対象相手に何を/どこまで届けたいのか、というのはその発表内容によるのですが、とにかく全員にわかるように配慮するのは

  • 自分はどの問題に取り組もうとしているのか、そこではどんな言語現象が、なぜ問題になるのか。

という点です。特に現象の話は外せません。あと、言語学関係者には

  • その問題にこのやり方でチャレンジすると言語学/日本語学/生成文法にとってどんな良いことがあるのか。

を届けられるよう常に考えています。あまり良くなかった発表を思い返すと、これを忘れていることがほとんどですね。

おわりに

 「でもお前できてねーじゃねーか(笑)」禁止!
 僕はどちらかというと「口頭発表はエンターテイメント」派*2ですが、もっともっとうまくなりたいですね。
 ちなみに、ブログではそもそも専門家向けの内容の多くはこっちに書くか、「おまけ」みたいにほぼ完全に別にしておくことが多いので、記事を書く時に書き分けを意識することはほとんどありません。

*1:あと「分散形態論の専門家」という選択肢もありますが、そもそも絶対数が少ないのでそこを考えられる機会がほとんどありません。あとテーマによっては音韻論/形態論の専門家、などがサブ選択肢として入る場合もあるかな。

*2:エンターテイメントを重視して内容をおろそかにすることには気を付けてますよ!