そんなに社会科学や理工系の研究発表を広く見るわけではありませんが、なんとなく僕にもそんなイメージがあります。ただ、おそらくいくつか理由があるのではないかと。
例として昨年の言語学会のワークショップで使用したスライドをさらします。
いかがでしょうか。やっぱり文字多めに感じますかね。
ちなみに僕自身これ以降さらに(1つのスライド当りの)文字の分量を減らすようにしていて、今見るとだいぶ詰め込んでるなという印象があります。また、最後の「まとめ」スライドもまだ採用してない時期のものです。
文字が多くなる理由
人文系というか言語研究系(の一部)に限られるかもしれませんが、おそらく
- そもそも研究対象が言語やテキストであり、データとして文字を出している
- 分析そのものにおいても自然言語が重要な役割を持ち、あまりシンプルに言い切ることができない場合がある
- スライドを用いた発表というスタイルが割と最近のもので、まだ手法などが洗練されていない
辺りが理由として挙げられるのではないかと思います。
言語研究でも、語彙や文法の場合はともかく談話・文章系の研究になると1例のデータ(+文脈情報など)だけで1スライドきつきつ、なんてこともありますね。文学や歴史学なども文字数を減らすのはなかなか大変なのではないでしょうか。
ハンドアウトとの棲み分け
僕自身は、最近はハンドアウトとスライドを別に作るようにしています。たとえば上記の発表のハンドアウトはこんな感じ
これは予稿集に載ったものなので必ず作らなければならないものですが、そうでない場合もスライドを印刷するのではなく別途ハンドアウトを作るようにしています。
目的としては、
- スライドについて行けなくなった時にハンドアウトの方を読めばおおまかにわかるようにしておく
- データを見逃してもハンドアウトの方で確認できるようにしておく
- データに関する補足など話すには時間が厳しいことだけれども質問が出そうなところ・気になりそうなところについての情報を載せておく
- 文献情報を持って帰れるようにしておく
といったようなことを意識して始めたのですが、割と評判良いです。ハンドアウトだけ、スライドだけより手間はかかりますけどね…
手順としては、ハンドアウトを作ってからポイントを絞ってスライドにするという感じです。スライド当りの文字数はできるだけ少なくします(話す際にはハンドアウト通り丁寧に話すことも多いです)。
ハンドアウトだけで良いじゃん
まあ場合によってはハンドアウトだけでも良いかなと思うこともあるのですが、スライド作成時にポイントを絞り込んだり表現をシンプルにする過程で、自分の発表の構成や重要なポイントなどがよりはっきりとしますので結構得るところも多い作業だと感じています。発表日の朝に作ってる時なんかはそんな余裕無いですけどね…
人文学徒全員におすすめできるわけではありませんが、機会があればスライド発表も一度は体験してみてはどうでしょうか。
僕自身スライドを使い始めたのは大学院修了後なので経験は浅いのですがスライド作りの体験がハンドアウト作りに生かせることもあり、しばらくはこういうスタイルで続けようかと思っています。