昨日書いた記事に書き忘れたことがあったので少しだけ補足しておく。
カリキュラム設計
昨日紹介した下記の記事や
今回話題になったイベントの司会を担当された飯倉氏の記事でも触れられているように,
古典教育については「中学や高校で」「他の教科やコンテンツに比べて」「どれぐらいやれば良いのか」という程度・優先度が問題の1つになっている。これは古典教育や特定の教科教育だけにおさまる話ではないので結局あまり個別のトピックではつっこんだ話にならないという印象がある。
このようなカリキュラム設計に関する専門的な研究というのはどれぐらい進められていて,その成果は学校教育にどれぐらい反映されているのだろうか。以前からこういうのも教育“工学”なんじゃないかなあとか(大学のカリキュラムに関わる中で)もっと多くの専門的な研究者が必要なんじゃないかということを思っている。
ためしに教育工学会のサイトで論文や研究発表のタイトルを見てみたが
そういう研究の存在はうかがえる。ただ門外漢なのでどれぐらいの規模で行われているか,研究者は多いのかかというところまでは分からなかった。
ちなみに,私が自身の専門に関わりのある日本語教育や国語教育の関連学会では教授法や教材研究に関する研究が非常に多く(実際に授業をやっていると痛いほど気持ちは分かるんだけど),評価法や制度設計に関する研究が少ないように感じていたので教育工学会で行われている研究の幅広さはかなり印象的だった。私の知る範囲では「教育工学」ということば自体がICTのような具体的な技術に限定して用いられることが多かったので自身の先入観と不見識を恥じているところでもある。
少しだけ本の紹介
昨日の記事を書きながら頭に浮かんだ本の紹介。
山田敏弘 (2004)『国語教師が知っておきたい日本語文法』
- 作者: 山田敏弘
- 出版社/メーカー: くろしお出版
- 発売日: 2004/08/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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学校文法について現代の日本語文法研究の視点を踏まえつつ(批判的に)検討している。
小田勝 (2007)『古代日本語文法』
- 作者: 小田勝
- 出版社/メーカー: おうふう
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 単行本
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現代の言語学や日本語文法研究の成果を踏まえた形で古典の言語の文法について分かりやすく解説している。予算がある/必要性が高い人は同じ著者の『古典文法総覧』は非常に便利なので一度中身をチェックすることをおすすめする。
- 作者: 小田勝
- 出版社/メーカー: 和泉書院
- 発売日: 2015/04/30
- メディア: 単行本
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偉そうなことを書いた手前,いわゆる国語学史,言語政策についても何か紹介しようと思ったけれどどれか1冊分かりやすいものというのがどうしても絞り込めなかったので専門の方が何かおすすめしてくれると嬉しい。