誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

学生から来るビジネス調メール

追記(2020/01/05)

補足の記事を書きました。

dlit.hatenadiary.com

はじめに

最初に強調しておきますが,「さいきんの学生はまったく」とか「言葉づかいが変になってきている」とかそういうことを言いたいわけではありません。不思議に思っているというか,面白いなと思ったので書いてみることにしました(それはそれで嫌な感じですね)。

さて,さいきん学(部)生から授業に関連することで下記のような文面のメールをもらうことがあります(体感では増えたという気がするのですが,私の教員キャリアはまだ10年くらいですし,きちんと数えたわけでもありません)。

○○先生
お世話になっております。
課題をこのメールに添付しました。
ご査収ください。

「ご査収ください」はさすがに珍しいのですが,「お世話になっております」と書いてあるメールはもうなんだか慣れてしまいました。最初はけっこう違和感あったんですけどね。

お世話になっております

これもあまりきちんと調べたわけではないのですが,私の感覚だと「お世話になっております」は「仕事で関わりがある」というような条件の下で使うのが自然な気がします。なので,研究や学会業務等を一緒にやっている院生からのメールとか,学部生からでも学園祭のようなイベントに関するメールだとそれほど違和感がなくなります。

こういう挨拶は待遇も関わってきて,所属しているコミュニティの文化や個人差によっても使用できる相手や文脈は違ってくると思うのですが,かなり対等な関係性でないと使えないという人もいるのではないでしょうか。とある知り合いが「「こちらこそお世話になっております」と返すことができる相手に使う表現」という説明をしていて,うまいなと思いました。私の感覚ではもう少し広く使えますけれど。

学部生が就職活動を始めるとメールがビジネス調になるということは以前からあって,1年生からこういうメールが来てもwebで検索して出てくるビジネスメールの書き方を参考にしたのかなくらいに考えていたのですが,ちょっと調べてみるとどうも「大学教員宛てのメールの書き方」みたいな記事がけっこうあって,そこに「挨拶表現として「お世話になっております」を使う」というノウハウが出てくるようです。

biz.trans-suite.jp

私が調べた範囲ではビジネスマナー的情報を提供しているようなサイトが多かったのですが,もしかしたら大学教員が書いた記事でもおすすめされていることがあるのかもしれません。

メールは難しい

メールに限らず,手紙でも,LINEやSlackだってコミュニケーションに使う文面というのは難しいですよね。相手や条件,文脈によって使える表現が変わることがありますし,ローカルな文化等の影響もあります(もちろんある程度テンプレでいける場合もあります)。

私は相手や条件,文脈によっていろいろな表現,文体をコントロールできる力が身に付いていると便利だと考えているので,できる範囲でさまざまなジャンル・文体の文章を書くことにチャレンジしたり慣れたりすることを授業ではおすすめしています。特に学生のうちはある程度の「失敗」が許容されたり再挑戦できたりする機会がそれなりにあるので,そこでうまく経験を積めると良いのですけれど。