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歯切れが悪いのは仕様です。

マクドナルド(マクナル,マクド,マック)と非常勤講師の思い出

マクドナルドと非常勤講師

マクドナルドには今でもときどき行きますが,大学院修了後,専任職についていなかった数年間特にお世話になりました。

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専業非常勤と言ってもいろいろなパターンがあると思うのですが,私の場合関東の複数の大学に行っていました。

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マクドナルドはいろんな駅の近くか近くなくても駅と大学の間にあることが多くて,研究室のない非常勤講師としてはありがたかったです。大学には非常勤講師控室という部屋もあって,大学によっては事務の方がついて飲みものを出してくれるなんてところもあるのですが,私はあまり落ち着かないことが多くて…当時(2010年ごろ)は学内のネットに非常勤講師だとつなげないことなども珍しくなく。

マクドナルドだともちろん空腹も満たせますしコーヒーも飲めますし,早くから店内でWiFiを提供していたので授業のための調べ物やメール等の簡単な仕事をするのにも助かりました。今はコーヒーが飲める&ちょっとした仕事ができる場所としてスタバに行くことが多いのですが,スタバは地域や駅によってはぜんぜんないこともあるので,今も学会や研究会で慣れないところに行く場合はマクドナルドがあって助かったとなることがあります。

マクドナルドの略称

ちょっと前に,マクドナルドの略称としての「マクナル」が少し話題になってました。

その話題を見かけた時にTwitterにも書いたのですが,日本語では長い単純語が複合語扱いになることがあると言われていまして(「疑似複合語」という用語があります),それを踏まえると「マクナル」はけっこう一般的なパターンだと考えることができるのですね。「マクドナルド」を「マクド+ナルド」という疑似複合語として考えると,「マクナル」は「マク+ナル」という構成になっているので複合語の各構成要素の最初の1, 2モーラを取ってくる一般的な複合語短縮(例:ポケット+モンスター)と同じタイプになります。

ちなみに,近畿圏で使われている「マクド」も一般的なパターンです。これは語の最初の2-4モーラを取ってくる単純な短縮(例:ヘリコプター)と同じです。

一方,関東でよく使われている「マック」が「マクドナルド」との音韻的な対応を考えると一番特殊なパターンだと思います。コンピューターの方の「Mac」も外来語「マック」では促音が入っているので短縮+促音挿入でいけるのかなあ。Twitterでは少しやりとりがあったのですが,もしかしたら表記等の要因も考えないといけないかもしれません。語誌を調べるとあっさり分かったりするのかもしれませんが。

追記(2020/01/17)

はてブのコメントでも指摘を頂いていますが,「マック」は「マクドナルド」から直接導かれたというよりは,「ビッグマック」等の商品名由来,という可能性はけっこうありそうな気がします。

店名は商品名へのメトニミーに使われたりする(例:スタバ飲まない?)ことがあって関係が強そうですし。

依然として「マック」に含まれている促音はなんで入ってるんだという問題は残りますが,外来語のどういう環境で促音が入るのかということについては音韻論の方から研究があります。そんなに詳しいわけではないのですが,たとえば "mug" は「マッグ」にはならないわけですね。詳しい方は促音とその直後の有声阻害音の相性の悪さを思い浮かべるでしょうが,外来語では「ヘッド (head)」とか「レッグ (leg)」とかあってそんなに珍しくありません。また,「タッグを組む」「タグを付ける」のように同じ "tag" 由来でも促音の有無の傾向性が違うというケースもあったり(商品の方も「タッグ」の実例はあります)。