誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

大坂なおみ選手への祝福と観客の話についてもうちょっとだけ

先日書いた記事に書き忘れたことがあったので補足です。しかしこの記事,ちょっとびっくりするぐらい読まれていません。ごく一部の人向けの事務連絡的告知記事の方がまだ読まれてるぐらい。そういう記事は時々ありますのでたまたまでしょうけれど。

dlit.hatenadiary.com

その後のいろいろな反応を見ていると,やっぱり優勝という結果は重いんだなと強く感じます。メディアをはじめ,かなり広範囲の人が言及せざるを得ないというか。なのでその分反発も大きくなってしまうという側面があるのでしょうけれど。

ただこのこと自体は問題提起や議論が行われることが重要という大坂なおみ選手が繰り返し行っていることに沿う状況なんですよね。この点もすごい。

さて上の記事にこんなことを書きました。

私は,大坂なおみ選手はまず今大会見せてくれたテニスのプレー面でのパフォーマンスにおいて大きな賞賛,祝福を受けてほしいと思いました。(中略)で,失礼ながら,その「賞賛,祝福」という点では表彰のセレモニーを見ていて大坂なおみ選手はアンラッキーな王者だなと感じてしまいました。もうあまり覚えていない人も多いかと思いますが,全米オープンではじめて優勝した時のセレモニーでも私は大坂なおみ選手はやや不遇な状況に置かれてしまったという記憶があります。対戦相手だったセリーナ・ウィリアムズ選手のテニス史,アメリカ,アメリカのテニス界における存在の大きさを考えると致し方ないことだったのかもしれませんが…それで今回の優勝では無観客です。もちろんこれも仕方ない状況下ということはあるのですが,その分,別の場,別の形で大坂選手が十分に賞賛,祝福される世界であってほしいです。

私の観測範囲では前回の全米オープン優勝時のことに言及している記事等はあまり見なかったのですが,祝福はたくさん見たので良かったです。ネガティブな言及もたくさん見ましたが,それは先に書いたように大坂なおみ選手自身が意図した(と言っていいのかな)状況が実現したからこそという側面もありますし,その意志を尊重したいと思います。

書き忘れたことというのは,実は今回の大会,特に決勝戦が無観客だったことは大坂なおみ選手にとってラッキーと言える側面もあったかもしれないということです。

大坂なおみ選手の出自やキャリアと今回黒人差別問題に積極的に言及しているという背景を合わせると,もし観客が例年通りだった場合,決勝戦の観客が全体的にかなり大坂なおみ選手寄りになってしまった可能性がけっこうあったと思うのですよね。実際にどうなるかはもちろんやってみないと分かりませんし仮定に仮定を重ねるような話ですが,観客がヒートアップしすぎてかえって選手がやりづらいなんてパターンにはならなかったのでもしかしたら良い方向に作用したと考えられなくもないのかも。観客の雰囲気等も合わせて素晴らしい試合が形成されることももちろん多々あるのですが,前の記事でも少し言及したように,特にグランドスラムの決勝戦の観客というのは時に残酷になることもありますから。