誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

新型コロナ関連外来語としての「Go To」

下記のニュースで「Go Toイベント」「Go To商店街」と出てきたのを見て,「Go To」も新型コロナ関連外来語と考えた方が良いのかなということを思いました。

www3.nhk.or.jp

新型コロナ関連語彙の基準や範囲をしっかりと考えているわけではないのですが,今ざっくりデータや現象を観察している範囲では,外来語が多いように見えます。ちょっと長いですが,下記の引用にもかなり外来語が含まれています。

手当たり次第に使用頻度が上がった語を拾ってみると,まずはウィルスそのものを指す「コロナウィルス」「新型ウィルス」「新型肺炎」「COVID-19」がある。接触に関しては「濃厚接触」「3密」があり,小池都知事が使って流行した「密です」はゲームまで誕生した。感染に関わる「クラスター感染」「集団感染」「オーバーシュート」「感染爆発」,対策関連の「特措法(特別措置法)」「専門家会議」「緊急事態宣言」「ロックダウン」「都市封鎖」「休業要請」「自粛要請」「ソーシャルディスタンス」「社会的距離」「8割削減」「8割達成」「8割おじさん(西浦教授)」,そして東京では「ステイホーム」「東京アラート」が出てきた。経済面で「緊急経済対策」「給付金」「10万円」「休業補償」「雇用調整助成金」などの政策が打ち出され,経済活動再開には「出口戦略」が必要で,「大阪モデル」も報じられた。さらには変化に対応して出てきた社会現象として「在宅勤務」「おうち時間」が増え,「巣ごもり需要」が高まり「フェイスシールド」をつけた人を見かけるようになり,「オンライン飲み会」「オンライン営業」などの「オンライン○○」,「テレワーク」「リモートワーク」など「テレ○○」「リモート○○」も増えている。ウェブとセミナーをかけあわせた「ウェビナー」に参加する機会も増えた。「不要不急」もその解釈をめぐって多くの議論が交わされた。「アベノマスク」は星野源コラボ動画との「便乗」とも相まって庶民の不興を買った。「コロナ便乗詐欺」も発生した。「ペスト」「スペイン風邪」などの歴史も繰り返し報じられた。今後は「新しい生活様式」「ニューノーマル」「第2波」「第3波」も頻度が上がりそうだ。
第18回 ことばの時事問題(5):コロナ関連の新語・流行語 | 日本語・教育・語彙(松下 達彦) | 三省堂 ことばのコラム

複合語?

Twitterなんかを見ていると,このタイプの施策を広く指して「Go Toは…」のように言及するものが見られ,単独用法があると言っても良さそうな気もしているのですが,基本的にはやはり最初に挙げた例のように何かと組み合わせて使うことが多いように見えます。

ただ複合語と言えるかどうかは意外と検討が必要そうだなという感触があります。複合語アクセントになっているかどうか考えてみたのですが,私の内省だと,たとえば「Go To商店街」の「商店街」のところで句頭上昇がある気がするのですね。たとえばAoyagi Prefix(例:元-(もと))のように接辞であってもアクセントがそのまま,句頭上昇も保存されるようなものがありますから(書いた後に気付きましたが並列の複合語にもそういうのありますね),複合語アクセントになっていなかったり句頭上昇が観察されるから複合語ではないとまでは言い切れないと思うのですが,少なくとももう少し検討が必要そうです

表記

また表記がけっこう面白いなと思っていて,今のところの観察範囲ではいわゆるアルファベット表記が用いられる例が多いようです。アルファベット表記が用いられる外来語と言えばいわゆる頭文字語なのですが,「Go To」はそうではないですよね。頭文字語ではないのにアルファベット表記がよく用いられる語としては以前「BAN」を挙げたことがあります。

また,スペースを入れるかどうかについて表記揺れ?があるようです。政府関係のサイトを見てみると,GoとToの後に両方スペースが入っている例がけっこう観察されます。

www.mlit.go.jp

政府関連のものでもスライド資料とかでは「To」の後のスペースがないものも見かけたので,そこまできちんと揃えているわけではないのかもしれません。

一方,冒頭で紹介したニュースでは「To」の後にスペースはありません。また,Twitterや旅行社のサイトなどを見ていると「Go」の後にスペースを入れず「GoToトラベル」のように表記している例もけっこう見つかります。

今後

元々政策として作られた表現ですので観察・記述には注意が必要ですが,関連表現が増えましたし,今後話題になり言及される機会も多そうなので,その振る舞いを記録してみると面白いのではないかと考えています。