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歯切れが悪いのは仕様です。

書評 の検索結果:

小野寺拓也・田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』雑感

…でにいろいろな感想や書評が出ているのでしょうけれどもおすすめするために記事を書くことにしました。 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? (岩波ブックレット)作者:小野寺 拓也,田野 大輔岩波書店Amazon これから書く私の感想の中で特に重要なところだけ先に書いておきます。 ナチス(がやったこと)はとにかく悪いんだと決めつけたり断罪するような本ではありません。 ナチスがやったことをそれぞれ具体的に検討しています。 単純化や切り取りをせず、丁寧に評価することが提案・実践されて…

鈴木エイト『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』雑感

…れに比する量の感想や書評といったものがあまり見受けられないように思います。Amazonのレビューはどんどん増えているようですし平均の評価も高いのですが、この問題についてこの著者が書いたこの内容の本が、今も統一教会に関する新しい問題や情報が出てきているという状況において、ランキングでこの順位というのは妥当なのでしょうか。ただAmazonでは今紙媒体での選択肢が出てきませんので買いたくても買えないという人がけっこういるのかもしれません。 もちろんこれはたまたま今はそうだということ…

MLF 2020でちょっと出てた分散形態論のRootの話

…ljik 2012の書評を書いたときも取り上げました。ここで挙げている文献を読むと,ある程度の立場や考え方が把握できると思います。 www.jstage.jst.go.jp キモは何かと言うと,Rootはその理論的性格から,できるだけ内容が少ない方が良いわけです(理想的には「無」,後で何か入る穴みたいな)。Rootの内容を豊かにし過ぎると「それRootとか呼んでるだけで実質的にお前らが批判してるlexicalismの “word” と一緒じゃん」てなっちゃう危険があります。で…

三原建一『日本語の活用現象』の書評(『日本語の研究』15(2))がオープンアクセスになりました

『日本語の研究』15巻2号のエンバーゴ(猶予期間)が終わったため,公開になりました。 www.jstage.jst.go.jp 関連 dlit.hatenadiary.com

2019年の年間ベスト(個人的おすすめ)記事

はじめに もしかしたら年内もまだ何か書くかもしれませんが,もうまとめてしまいます。 この記事は自分がその年に書いたブログ記事の個人的おすすめのまとめで,id:gryphonさんの下記の提案に賛同してここ数年やっているものです。まとめる過程で自分の書いたものでも読んでいて面白かったりするのでおすすめですよ。あと私のブログは連続で更新したかと思うと数ヶ月休んだりという超不定期更新なので,比較的読みに来てくれる方でも見逃しているものがあるのではないかということも考慮しています。 m…

2019年の研究活動まとめ

…),研究ノート:1,書評:1,口頭発表:2 でした。proceedingsだけ英文です。 私の通常のペースから言うと異常に集中した年だったのですが,がんばった成果というよりは,いくつか遅れたのでたまたま刊行年が重なったというところもあり,あまり良いことばかりではありません。ご迷惑をおかけしたみなさま,辛抱強く付き合ってくださりありがとうございました。ただ,年内に書いたものでまだpublishされていない論文が3本(英文1,和文2),書籍1冊(こちらはまだ執筆中)があるので,い…

書評についてちょっとだけ余談

…げられている本とその書評(?)の評価などはしません。 書評の対象 ブコメにも書きましたし,この記事のツリーにも似たような指摘がありますが,学問分野の専門書ではかなり厳しい書評が書かれることもそれほど異例ではないと思います(少なくとも酷評されたということだけを根拠にトンデモと判断するのは難しい)。詳しい研究トピックに関するものだと「かなり抑えて書いてるけどそうとうお怒りだ」のように感じ取れることもあったり。どれぐらい厳しい表現を使うかは研究者によるといったところでしょうか(過激…

【宣伝】『日本語のテンス・アスペクト研究を問い直す 第1巻「する」の世界』が発売されました(編集+論文の執筆を担当)

…れた研究の1つが以前書評を書いた三原建一『日本語の活用現象』だったりします。こういう背景もあって,書評内でも不定形の扱いについて書きました。 dlit.hatenadiary.com 私が今回書いた中では,「不定形かどうか」を議論するためには用語や概念をかなり丁寧に整理した方が良いよ,ということと,定義によっては「不定形」としか考えられないような不思議な「する」もある,という辺りがこの問題にとっては重要でしょうか。 読んだ方はあまりはっきりした結論がなくてもやもやするかもしれ…

『日本語の研究』に三原建一『日本語の活用現象』の書評を書きました

…ing.gr.jp 書評の対象は下記の研究書です。目次は次のようになっています。 はじめに 理論的アプローチにおける活用研究の状況と課題 2.1. 活用の理論言語学的研究の問題点 2.2. カートグラフィー研究と動詞移動 不定形と時制に関する素性 形態論的な観点から おわりに この本の公刊,依頼からかなり時間が経っての書評になってしまい心苦しさしかありませんが,他の論文等のついでにでも目を通していただけるようなことがあれば幸いです。 日本語の活用現象 (ひつじ研究叢書(言語編…

『中動態の世界』の言語学的側面に関する雑感/違和感(文献紹介あり)

…ある今西祐介氏による書評が公開になっています。『中動態の世界』の内容に詳しく踏み込んでいるタイプの書評ではないと思いますが,下記の私の記事に比べるといろいろな言語のいろいろな現象が紹介されていておすすめです。内容としてはやや専門的なので言語の話に慣れていない人はちょっと大変かもしれません。 www.hituzi.co.jp 今西氏の日本語で読める著作として下記のものがあります。記事でも参照されています。 言語の能格性 (関西学院大学研究叢書)作者:今西祐介ひつじ書房Amazo…

役割語(キャラクターとことばの結びつき)に関する簡単な読書案内

はじめに 今回の記事の直接のきっかけは下記のまとめへの反応を見たことですが,この話題は定期的に上がってきているような気がしますので,簡単に書いておきます。 togetter.com 基本 この手の話題に対する反応の中に「役割語」というキーワードがだんだん増えてきて日本語研究に携わるものとしては嬉しく思います。 ただ,役割語に関する基本文献はなんといっても下記の金水敏 (2003)『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』ですが,一般的にはこちらに目を通した方はまだそれほど多くないのか…

各分野での論文とか業績に関する記事のまとめ(見つけたら追記してます)

…は著書に対する学会誌書評(新聞書評とはだいぶ違う)とか学会ワークショップ等での討論とかを通して事後的に共通認識が形成される感じだろう。— 伊勢田哲治 (@tiseda) 2018年10月8日twitter.com 関係がありそうな記事 anond.hatelabo.jp 記事自体が消えたものはリンクを外したりしているのですが,この上記の記事についてどうするかはちょっと考えています(私自身の記録のためには残しておきたい)。これについてはまた別に記事を書くかもしれません。 ano…

2015年の年間ベスト記事(個人的おすすめ)

…て楽しかったです。 書評が学会誌に載った話 たまには専門の話:Bobaljik 2012の書評を書きました - 思索の海 これも読んでほしいというよりは、自己紹介というところでしょうか。ガチ専門の話はここではほとんど書かないのですが、学会誌に書評を書いたのは初めてだったので嬉しくて宣伝したかったんです。 おわりに いかがでしたでしょうか。実はランキングと合わせると今年の主要エントリをほぼ網羅してしまうので何なんだという感じもしますが、来年もこんなペースでのんびりやっていけたら…

たまには専門の話:Bobaljik 2012の書評を書きました

… of Wordsの書評が無事掲載されました。www.jstage.jst.go.jpUniversals in Comparative Morphology: Suppletion, Superlatives, and the Structure of Words (Current Studies in Linguistics)作者:Bobaljik, Jonathan DavidThe MIT PressAmazon ここでは宣伝も兼ねて簡単に少しポイントなど書いておこう…

2016年1月でこのブログが10周年を迎えるようなので

…学 入門書・概説書の書評(参考:言語学の入門書その2:定延利之『日本語教育能力検定試験に合格するための言語学22』 - 思索の海) なんかのトピックの関連文献紹介(参考:地域とことば:福島の方言は東北方言か?に便乗(読書案内付き) - 思索の海) 専門家・ニセ科学問題 今のところ良いトピックはないですけど過去に教えてもらった文献・研究の紹介とか ただ今のこのブログの状況を見るとわかると思いますが、まとまったものを書く時間がなかなかありませんし、過去に書くと宣言して書けてないの…

授業の資料公開:(日本語学における)文章研究の文献の探し方+α

…特集があったりする。書評で取り上げられるものに文章研究に関連するものが時々。 『言語研究』(日本言語学会):日本語の文章研究に関する論文は(特に最近は)ほぼ載らない。 【国内の主要論文誌:日本語教育】(日本語の作文・ライティングなどに関する)言語習得・言語教育系の論文を探すならこの辺り 『日本語教育』(日本語教育学会) 『専門日本語教育』(専門日本語教育学会) 【国内の主要論文誌:自然言語処理】基本的には工学系の研究なので読むのだけで大変だが、どのようなテーマがあるのか見るだ…

書評は難しい&方言(コスプレ)のはなし&卒論についてもちょっとだけ

…めて専門誌に研究書の書評を書く機会をいただいた。今最終段階なので、よほどのことがなければ、そのうちここでも紹介できると思う。 これまでブログなどでは簡単な書評めいたものを書いてきたけれど、やはりというか難しかった。何を書くかにもよるけれど、研究論文よりきついかも、と思ったほど。 書評とその対象 そんな中、ある書評を読んでああこんな方法もあるのだなとうならされたので紹介。それは、下記の書評である。 日高水穂 (2015)「田中ゆかり著『「方言コスプレ」の時代―ニセ関西弁から龍馬…

『日本語に主語はいらない』に突っ込む:寄道(6)三上章『象は鼻が長い』の表紙の話(+おまけ)

…ッターで これ誰かが書評か解説文かなんかで指摘してたんですが忘れました… QT @asaokitan: 『象ハ鼻ガ長イ』、意図があってハが半分色が変えてあることを見過ごしていた(顔本見て知った) URL2014-03-18 12:00:26 via Tween to @asaokitanというやりとりがありまして(表紙の写真は発言の最後に付いている"URL"のリンクから見れます)、どこに書いてあったのか思い出せなかったのでちょっと調べてきました。『続・現代語法序説』の川本茂雄…

今さら書評:鈴木孝夫・田中克彦(2008)『対論 言語学が輝いていた時代』

…年にいただいて以来、書評を書く書く言って放っておいていたのですけれど、なんだか気持ち悪いので、決別するために(ごくごく雑にですが)書いておくことにします。三、四回ほど読み通しましたが、もう一度読む気はありません。 最初に書いておきますが、僕はこの本の多くの記述(特にチョムスキー(生成文法)に関するところ)に対してとてもネガティブな印象を持っているので、その他の部分に対してもそのバイアスがあるかもしれません。 まず、著者たちは今の言語学は輝いていない(と考えている)のか 「言語…

言語学の入門書その1:黒田龍之助『はじめての言語学』

…んなフライング気味の書評を書く気になったかというと最初の「はじめに」の内容をぜひ多くの人に紹介したかったからです。 一番大事なところ この本を手に取った方は買う買わない、借りる借りないに関係なく、最初の1ページだけは必ず読んでほしい。もう全ての言語学の入門書の最初に書いておいてほしいぐらいです*2。 もしあなたが「言語学は難しいものに違いない」と想像しているとしたら、それはまったく正しい。およそ学問と名の付くもので、やさしいものなんて一つもない。言語学だって例外ではない。 で…

媒体と批判

… もったいないので、書評論文とかそういうものにまとめたら、という意見を何人かの方(ほとんど研究者)から定期的にいただいています*1。 ただ、確かどっかのコメント欄にも書いたのですが、僕としては今のところ(批判をメインに据えている立場では)ブログってのが一番良い場なんじゃないか、と考えています。 というのも、まあ載るかどうかもわからないのですが、仮に専門誌に書評論文として載ってしまうと、「その雑誌で取り上げて書評する価値がある本」だという印象/評価も広めてしまう可能性があるんじ…

例の本(書評というか感想文)

昨日書いたエントリがブクマが短時間で5個以上付いたにも関わらず、はてブの注目エントリのページからのアクセスがほとんど無いのが笑える*1(^^; まああのタイトルとあの内容じゃなあ… ところでここ数日はてなで話題になってた例の本ですが、twitterに書いたように本屋でちょろっと立ち読みしました。日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で作者:水村 美苗筑摩書房Amazon 知的好奇心を含めた諸々を全く刺激されなかったので頑張って第一章と最後の章(なんか国語教育と英語教育について書か…

また三上章か

…を書いているのではないか。 おおっ…これは勇ましい… しかし目次なんかを見ると文法用語が目立つのですが、内容は言語を手がかりにした哲学的考察…ですよね、きっと。宣長と三上以外に出てくる名前は哲学者あるいは思想家として有名な人たちばかりですし、この方の専門も哲学/思想のようですし。でも上の記事の書評だとなんか中身が文法論チックなんだよなー評者がそこに引きずられただけかもしれませんが。 コピュラに関する章があるのが個人的には気になるんですけど、それにしても最近人気だなあ、三上章。

こんかつ

…が必須に:日経ビジネスオンライン 内容にはあまり興味無くて、気になってるのはなんで「結婚(のための)活動」が「結活」じゃなくて「婚活」になったのかってところ。前回に引き続き今回もあまり面白そうな提案が無いので考察編は無しで。なんか文字も関係してきそうだな、とか思うところはあるのですが。 著書を読んでみたらヒントぐらい書いてあったり…はしないかな。しかし確認のために立ち読みするのにはなんだかちょっと二の足を踏む本です… *1:dankogaiが書評書いたからってのも大きいかな。