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歯切れが悪いのは仕様です。

認知科学会、生成文法、戸田山和久

 かなり面白そうなシンポジウムのお知らせがlinguist MLで回ってきたので、紹介しておきます(文章の後に掲載)。というか、これは日本に帰ってでも行きたい!日本語文法学会では僕がいないのを見計らって(笑)活用と理論言語学のセッションやるらしいし、影山先生を読んでの講演もやるという噂を聞いたし、今年の学会のラインナップは僕に対するいじめとしか思えない(^^;
 まあ言語学代表のパネリストも豪華ですし、面白い議論になると思いますけど、それより何より戸田山和久が生成文法に言及するのを聞けるなんて!僕にとっては豪華すぎます。まあ戸田山先生ではなくても、科学哲学畑の方が生成文法をどう切ってくれるのかというのは非常に興味があります。
 生成文法と哲学というと、直接的な関係を取り扱った論文が発表されてもそこまで議論が白熱しないか、チョムスキーの哲学への理解の問題点が指摘されるにとどまったりでそんなにこれは(言語学者にとって)必読/必聴!というものに出合った覚えがありません。生成文法研究コミュニティの内情はというと、(少なくとも僕が知っている書籍や日本の授業では)非常に簡単な科学哲学の入門をさらっとなぞって終わりというものが多い気がしますし。実は非常に重要な部分だと個人的には思うのですけどね。
 誰か参加して教えてくれたりするとありがたいなあ…ああでも会場にいって議論に参加したい…

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日本認知科学会冬のシンポジウムのお知らせ

日時:12月8日土曜日 10-17時。
場所:京都大学文学部 第3講義室(http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/sogo/access.html)
入場無料(人数により入場制限あり、先着180人)

タイトル: 科学方法論から生成文法を見る

趣旨: チョムスキーは、脳内に言語を生成するシステムがあると考え、そのシステムについての研究(=生成文法研究)は、自然科学の1つ、すなわち、経験科学として位置づけられると主張してきました。しかし、1つ1つの研究をどのように行っていけば経験科学たりえるのかという具体的な点については、必ずしも衆目の一致するところではなく、個々の研究者がそれぞれ適切だと思っている方法にしたがって研究を進めているのが現状です。その結果、方法論に統一性が欠けており、客観的に見た場合に、生成文法研究の目的や成果が不透明になっていることも多いように思います。
 このシンポジウムでは、言語学者2名がそれぞれの用いている方法論を提示し、科学哲学者2名が科学方法論の見地から、どのようにあるべきかということを論じた上で、認知科学の広い視野から、疑問点や批判などを加えてもらいます。忌憚のない意見を戦わせることによって、生成文法研究のあるべき姿を浮かび上がらせることができればと考えています。

プログラム:
10:00-10:20 主旨説明 上山あゆみ(九州大学。言語学)
10:20-10:50 「音韻論研究の方法論」窪薗晴夫(神戸大学。言語学)
10:50-11:20 「統語論研究の方法論」上山あゆみ(九州大学。言語学)
11:20-11:35 コメンテーター 片桐恭弘(はこだて未来大学。認知科学)
11:35-13:00 Lunch break
13:00-13:30 総会
13:30-14:00 「生成文法研究におけるモデルの役割」
戸田山和久(名古屋大学。科学哲学)
14:00-14:30 「生成文法を経験科学化するとはいかなることか?」
出口康夫(京都大学。科学哲学)
14:30-14:45 コメンテーター 片桐恭弘(はこだて未来大学。認知科学)
14:45-15:15 休憩
15:15-17:00 全体でのディスカッション

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