誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

ことば

電車内アナウンスの効力とキャンセル

電車に乗っていて「この先揺れますのでお気を付けください」というアナウンスのすぐ直後に「まもなく○○(駅名)」というアナウンスがあり、実際に揺れる箇所がその次に来ると、「えっ、ここで揺れるのか」と驚くという体験を何度かした。今ではすっかり慣れ…

Twitter(現X)で議論が難しいと感じる理由

Twitter(現X)には、(特定のトピックについて)議論ができる能力を持った人も、議論をする時間的・精神的余裕がある人も、議論をするモチベーションがある人もそれぞれたくさんいるけれど、能力、余裕、モチベーションの3つを持ち合わせた状態にある人が2…

山口仲美『日本語が消滅する』を読んで気になったところ(後半)

後半の「はじめに」 前半への反応について 後半の内容に関する注意 トピックごとのメモ 語順 語彙 絶対敬語と相対敬語 音声言語と文字言語 表語文字(表意文字) 和製漢語 レアな日本語 そのほか おわりに 前半と後半は問題点の指摘については内容として独立…

山口仲美『日本語が消滅する』を読んで気になったところ(前半)

はじめに 全体の印象 言語と方言の関係、琉球諸語の取り扱い 問題の整理 琉球諸語および八丈語を「方言」として取り扱っていることとその根拠(1と2の問題) 方言に関する具体的な言及がほとんどない(3の問題) さらにそのほかの問題 おわりに 追記(2023/1…

ハナミズキ語に含まれるコンパクト語も探してみよう

ハナミズキ語、すごく面白いですね。 は→はな→はなみ→はなみず→はなみずき、というように一文字ずつ足していって言葉が成立するもの. ハナミズキ語(或いは右切り捨て可能言葉)集め|海 私はこういう言葉遊び的なものはぜんぜんセンスがあれなので、アイデ…

「ら抜き」に言及のある言語学・日本語学関連の書籍などのリスト

はじめに この記事の来歴 この記事の目的 入門書や概説書のコラム、簡単な解説など 専門書・研究論文 その他(未確認など) はじめに この記事の来歴 この記事は元々ははてなグループのブログに書いた記事で、はてなグループの廃止によりこちらのブログに移…

歪む、歪まれる、歪まる

下記のニュースのタイトルに出てくる「歪まれた」という表現が気になった。 jp.ifixit.com 本文中にはどうも同様の表現が出てこないので手がかりが少ないが、記事とタイトルの関係から推測するとおそらく「歪(ゆが)められた」を意図しているのではないかと…

コミュニケーションと語学と銀の弾丸

応用言語学や社会言語学のイントロで研究分野や研究トピックを学生に印象づけるためのレトリックとして「語学もコミュニケーションも人間が何千年も悩まされて続けてきたんだから銀の弾丸はないと思った方が良い」という話をすることがあるのだけれど、これ…

子にYOASOBI「アイドル」の歌詞について聞かれたら

なお、まだ聞かれてはいないです。 子(小学2年生)がYOASOBI「アイドル」が歌えるようになりたいらしくがんばって練習しています。 子の同級生の間ではこの歌が大層はやっておりまして、あの歌詞の歌を小学校低学年生が嬉しそうに歌っているのを見ていると…

携帯電話普及前の部活の思い出

昨日人と話をしていて少し具体的なことを思い出したので書いておく。 一般的にどうだったのかは分からないけど、ちょうど筑波大学に入学した1998年の後半辺りから周りの人たちが個人の携帯電話を持つようになっていった。自分はそんなに早い方ではなかったけ…

「短いブログ」としてのTwitterから「長いTwitter」としてのブログへ、そして

はじめに 「短いブログ」としてのTwitter 「バズる」ことによる評価 「長いTwitter」化したブログ? ブログ(長いテキスト)の評価法 おわりに はじめに 以下、あまり専門的な裏付けや見通しはないブログの一書き手としての雑感です。 タイトルはちょっと何…

Siriが「連絡帳」を正確に読めるようになっていた

AirPodsをiPhoneに接続しているときに通知を読み上げてくれる機能を使っている。 先日まで「連絡帳」を「れんらくとばり」と読んでいたのだが、今朝「れんらくちょう」と正確に読み上げたので驚いた。 リマインダーに入れてある定期的なタスク(子供の検温を…

ゲーム言語における呪文名・魔法名と数範疇の形態論的類型論に向けて

はじめに ゲーム言語における数とその値 何を数と考えるか 数の値 言語のタイプ 総合的数言語 (synthetic number languages) 数語彙化言語 (lexicalized number languages) 数自由言語 (free number languages) 分類の注意点 おわりに:課題と展望 参照文献 …

自由研究だけじゃない!ことばに関わる人へ『コトラボ』のすすめ

はじめに 松浦年男さんが書いたことばを題材にした自由研究に関する本『自由研究 ようこそ!ことばの実験室(コトラボ)へ』を簡単に紹介します。 ところで書名が長いので略称は『コトラボ』にします。著者の松浦さんも使ってるっぽいですし。 自由研究 よう…

「チン-ポ」と「増-田」

形態素境界にハイフンを入れないと記事を公開できなかったチキンな私をお笑い下さい。 東京都がCOVID-19ワクチン接種に対してポイントを付与するというニュースに関して「ワクチンポイント…略すとチンポだな」という発言を複数見かけました(検索するとけっ…

kindleの夏のセールで開拓社の言語学関連書籍が50%オフ(8/5(木)まで)

kindle本夏のビッグセールで開拓社の言語・文化選書の一部が対象になっています。8/5日(木)までですけれど,言語学関連で良いものがけっこうあるので興味のある方はチェックしてみてください。私のブログでも何度か取り上げているとおり,このシリーズはki…

ラーメンズについてちょっとだけ(小林賢太郎氏解任に寄せて)

はじめに 熱心なファンではないかも 解任とそのプロセス ひどい犠牲が出た 歴史上の出来事を「笑い」にすること 小林賢太郎のことばとラーメンズのネタ 追記(2021/07/24) 関連記事:ラーメンズ 関連記事:そのほか はじめに 小林賢太郎氏が東京オリンピッ…

東京オリンピック・パラリンピックのコンセプトは多言語化してほしい

追記(2021/07/22) こちらの記事もぜひ合わせてお読み下さい。というか私の記事よりこちらを。 rikayamashita.hatenablog.com --追記ここまで-- 東京オリンピック・パラリンピックのコンセプトに関するインタビュー記事を読んでかなり驚いたので記録してお…

(謝罪)会見は何のために行われる/必要とされるのか

小山田圭吾氏の件について自分が書けそうなことは特に思いつかず,むしろ東京オリンピック・パラリンピックのほかのことについて何かと思っていました。ただそんな中で下記の記事にも出てきている「会見をした方が良い」という意見をいくつか目にして気にな…

三上章とその著書、あるいは三上文法に関する読書案内(おまけ付き)

はじめに 読書案内 庵功雄 (2003)『『象は鼻が長い』入門』 益岡隆志 (2003)『三上文法から寺村文法へ』 金水敏 (1997)「4 国文法」『岩波講座 言語の科学 5 文法』 そのほか 寺村秀夫はどのように三上章の後継者か 「主語」の議論にフォーカスし過ぎるのは…

批判を受け入れて修正するのはすごい(ゆる言語学ラジオさんとのやりとりについてもうちょっと)

はじめに 下記の記事に書いた金谷武洋氏の著書に関して,ゆる言語学ラジオさんから訂正の情報が出ていました。 dlit.hatenadiary.com 動画内で取り上げているのは下記のものです。動画のページにも記載があるように,該当箇所は32:43です。 www.youtube.com …

オンライン国際研究イベントで司会をやってちょっと思ったこと

英語で司会,久しぶりにやったんですが予想通りつらかったです。定型表現も多いんですが,突発的な対応も意外と発生するので…というわけで体験談です。ちなみに司会をやったのは日本英語学会のSpring Forumという大会です(国際イベントで使用言語は英語)。…

熱意があったり怒っていたりするのをからかわれるのが好きではないという話

と言っても,そんなに大した話ではないです。 誰かが熱意を持って(それが明らかなように)何かに取り組んでいたり,怒りを表明しているのをからかう,揶揄するというレトリック,行為自体はもちろん古くからあると思うのですけれど,「必死だな」とか「顔真…

言語の研究者はことばの規範とどう付き合う(べき)か,についてちょっとだけ

はじめに 下記の話題に関して,「言語の研究者は(軽々しく/何があっても)ことば遣いに関する規範に口出しするのは良くない」という反応を見かけたので,関連して今の自分の考えを少し書いておこうと思いました。 togetter.com 解説や問題の整理という類の…

【改訂版】「水からの伝言」に言語学の立場から反論する(読書案内付き)

はじめに 「水からの伝言」とは何か,簡単に 言語学の話に入る前にもう少し (言語記号の)恣意性 「意味」と文脈 まとめ おわりに 関連 はじめに 改訂版を書こうというアイディアはしばらく前からあって,実はnoteに載せるつもりだったのですが,ここしばら…

ラーメンズで言語学 (4):「元栓」は今?語と句とアクセントと変わった接辞

はじめに ちょっと前に小林賢太郎氏のパフォーマー引退に寄せてその3を書いたのですが,その時思いついたもう1つについても書いちゃいます。 dlit.hatenadiary.com その3と同じで,短い記事です。その1やその2のようなラーメンズのコントを例に言語学の重要…

ラーメンズで言語学 (3):切るのに「はさみ」?連用形名詞の話

はじめに ラーメンズの小林賢太郎氏がパフォーマーを引退ということで,慌てて書くことにしました。 dlit.hatenadiary.com 実は何か書きたいなと思いつつ次のネタで良いものがなかなか見つかっていなかったという状態が長く続いていたので,その1やその2のよ…

新型コロナ関連外来語としての「Go To」

下記のニュースで「Go Toイベント」「Go To商店街」と出てきたのを見て,「Go To」も新型コロナ関連外来語と考えた方が良いのかなということを思いました。 www3.nhk.or.jp 新型コロナ関連語彙の基準や範囲をしっかりと考えているわけではないのですが,今ざ…

「を」の音は「お」の音と違うか(基本的には同じだけど…)

はじめに 定期的に話題になっているのを見かける,仮名「を」によって表記される音は仮名「お」によって表記される音と同じなのか違うのかということについての基本的なことがらを簡潔にまとめておきます。どちらかというと概説書や資料にある記述を引用で紹…

定延利之氏の「偉い大人」の話し方に関する記述(小池百合子氏の話し方の話)

下記の記事で紹介されているNatsuko Nakagawaさんのツイートを見てそういえば定延利之氏の著書に言及があったかもと思ったのでごく簡単に調べてみました。 nomolk.hatenablog.com 調べたのは下記の本です。「これにあったかも」と思って調べたらあったという…