誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

オンライン国際研究イベントで司会をやってちょっと思ったこと

英語で司会,久しぶりにやったんですが予想通りつらかったです。定型表現も多いんですが,突発的な対応も意外と発生するので…というわけで体験談です。ちなみに司会をやったのは日本英語学会のSpring Forumという大会です(国際イベントで使用言語は英語)。

質疑応答への対応

学会など研究関連イベントの司会で大変な事態の1つに「質問やコメントが出ない」というものがあります。分野によって違いがあるのかもしれませんが,出ない場合は司会が質問やコメントをするということが多いのではないでしょうか。これは使用言語が自分の第1言語でも難しいことがあり,使用言語が第2言語だとなおさら大変です。

ただ,今回は幸い質問,コメントがある程度出てくれましたので司会としては助かりました。私の専門的にはけっこう厳しい内容の発表でしたので一応事前に準備はしてありましたが披露することにならなくて良かったです。

今回司会をやっていてちょっと困ったのは,質疑応答が長引いた際に誘導をどうするかということです。第1の問題は私に適度な丁寧さで議論を遮る英語力がないということなのですが,幸いすべての発表の後に休憩があったので次の発表への直接の影響はありませんでした(準備には影響したかも…)。

じゃあ何が問題かというと,オンライン発表(今回はZoom)だと1つの会話がその場で支配的になってしまう感じがあって。対面でやっている発表だと議論が休み時間へ延長した場合,議論を継続したい人たちが場所を移して司会は休憩に入ることを宣言するということが比較的難しくないのですが,オンラインだとどうするのが良いんでしょうね。

ちなみに,ほぼ同じ日程でやはりオンラインで開催されていたCLS (Chicago Linguistic Society)では,議論のサポートとしてDiscordを採用していて,「議論を続けたい人はDiscordへ移ってください」という形にしていました。私の感覚だと学会レベルの規模で複数のツールを使い分けてもらうのはけっこう大変そうだなという気がするのですが,たとえばZoomだとブレークアウトルームを用意しておいてそちらに移ってもらうという手が使えるでしょうか。また,6月にある日本言語学会では懇親会や書籍販売にRemoを使うようなのですが,そういう場があればそちらに誘導するのもありですね(対面でも休憩室で質疑応答の延長戦てありますよね)。

dlit.hatenadiary.com

いや,運営としてはまずタイムスケジュールを守ることが最優先だというのは分かっているのですが,盛り上がっている議論を聞いていると「これこそが研究発表をする意義だもんなあ」と思ってしまって。

ちなみに使用言語が英語であってもお互い日本語が第1言語だと分かっていると日本語でコミュニケーションがなされることもあるのですが(それどうなのよという話は定期的に出ます),私が司会をしたセッションの発表者は全員そうではなく,「お前英語もっとがんばれよ」という天の声なのでしょう。

おまけ:発表者の名前

これも司会をやっていて困ることの1つで「発表者の名前をどう読んだら良いか分からない」というものがあります。英語だと日本名の漢字の読みに悩まされるということはなくなるのですが,海外の名前はけっこう難しいものもあり。

今回私が司会を担当した発表の発表者はいずれもUniversity of Warsawからの参加で,呼び方が私にとっては厳しく。こういう場合(というか間違いないと思っていても違うことがあるのでできるだけする人が多いかな),司会は事前に「発表者に名前を確認」します。ただ,私は「言語学者」を名乗るのが憚られるくらい語学ができませんので,そもそも確認する際の呼び方の案に悩んだわけです。

というわけで,今回はGoogle翻訳に付いている音声を聞く機能を使ってみました。名前を発表資料やプログラムからコピペして入力ボックスに入れてスピーカーのアイコンを押すと音声を聞かせてくれます。もちろんこれが正確な音声かどうかは分からないわけですが,「あなたの名前(の発音)は○○で良いですか」と聞くためのとっかかりとしては使えました(ちょっと修正してもらえました)。言語によって精度が違うかもしれませんが,試しに同じ名前で言語選択を変えて音声を確認したら各言語に対応した音声に変わりましたのでけっこう細かく多言語対応してるっぽいです。

そんなことしないでストレートに「あなたの名前の発音を教えてください」と聞けば良いじゃないかと思うかもしれませんが,私の経験から言うと音声の推測ができない名前のフルの発音をはじめてで聞き取る方が難しいんですよね。今回はじめて試してみましたので,どの言語にも使えるかどうかはまったく保証できないのですが,困ったときの手段の1つとして覚えておこうと思います。一番良いのは知ってる人に事前に聞いておくことですけどね。今回はそれもちょっと難しかったので。