誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

「最低の価格」は高いか安いか

電車の車内広告で見かけたのですが,ヒルトンホテルが「最高の思い出を,最低の価格で。」というコピーを使っているようです。

hiltonhotels.jp

「最高の思い出」と対比されていますし,文脈からすると「一番価格が低い(安い)」という解釈が優先かなとは思うのですが,日本語の「最低」は「一番悪い」に近いような評価的な用法もあるので,「最低の価格」という表現だけにフォーカスすると「ひどい価格」,たとえば「内容の割に高い」といったように受け取れなくもないかなと考えてしまいました。

英語のサイトの方のプライス・マッチ保証 (Price Match Guarantee)の説明を見ると "the lowest price" という表現が使われているのですが,英語の方には日本語のような評価的なニュアンスは出ないような気がします(自信はありません)。

hiltonworldwide3.hilton.com

翻訳の問題なのかは分かりませんけどね。

共通テスト「国語」における記述問題の導入中止を求める緊急声明に賛同の署名をしました

気になる方は,まずは声明文をどうぞ。問題点が簡潔にまとまっています。

note.com

署名用フォームはこちらです(上の記事内にもリンクがあります)。

docs.google.com

今回のテストの問題点についてさらに詳しく知りたい方は,現役の教員の方々がまとめてくださっている下記の資料が分かりやすく,参考になると思います。

drive.google.com

私自身は古典教育に関する議論についてちょっと辛めのことを書いたりもしましたが,

dlit.hatenadiary.com

今回の共通テストの持つ問題は,そういった意見・見解・認識の違い等をまずしばらくはおいておいても良いほど大きなものだと思います。

【宣伝】論文集『レキシコンの現代理論とその応用』に補充法に関する論文を書きました

今年は偶然にも宣伝の多い年になっています。論文集『レキシコンの現代理論とその応用』が刊行されました。Amazon等でも購入可能になっています。

レキシコンの現代理論とその応用

レキシコンの現代理論とその応用

収録論文は以下の通りで,くろしお出版のページから見ることができます。

第1章 Swarm交替現象再考(虎谷紀世子)
第2章 分散形態論と日本語の補充:存在動詞「いる」と「おる」の交替(田川拓海)
第3章 語形成とアクセント(窪薗晴夫)
第4章 言語運用における意味計算:ネクスト・メンションを例に(中谷健太郎・志田祥子)
第5章 軽動詞構文における意味役割付与のメカニズム(岸本秀樹)
第6章 語形成への認知言語学的アプローチ:under-Vの成立しづらさとunder-V-edの成立しやすさ(野中大輔・萩澤大輝)
第7章 Generative Lexiconによるレキシコン研究(小野尚之)
第8章 言語類型論と認知言語学の観点よりみた英語からの動詞借用:事例研究を通じて(堀江薫)
レキシコンの現代理論とその応用|くろしお出版WEB
(強調されているものが私の執筆)

私の論文は,副題にもあるように現代日本語(共通語)で存在動詞「いる」が特定の環境において「おる」になる現象(例:先生は奥の部屋におられます)を補充法とみて,分散形態論 (Distributed Morphology)を使って統語的局所性 (locality)と絡めた分析を提案しています。日本語を補充法の観点から分析した研究自体あまりないと思うのですが(現象の指摘はちらほら),今回取り上げた現象では補充の引き金 (trigger)が複数あり(尊敬の「られ」,連用形中止法,否定の「ず」,丁寧の「ます」),形態の交替が義務的か随意的かが環境によって異なるという面白い特徴を持っています。気になる方はぜひ手に取ってみてください。ちなみに,下記の記事で紹介した共同研究で取り扱った補充法は同一の動詞が環境によって異なる補充形になるというものだったので,今回の研究のベースにもしていますが,現象としては少し違いがあります。

dlit.hatenadiary.com

また,そもそも日本語の研究では補充法の認定をどうするかというところからあまり詰められていないので,補充法であるかどうかを判断するための条件とテストを提案し,分析対象になっている現象以外にも「ある」の否定としての「ない」や動詞の不規則な尊敬形(「見る」の尊敬形は「お-見-になる」ではなく「ご-覧-になる」,など)を取り上げ,どれぐらい補充法として考えられるのかということを具体的に論じています。分散形態論に限らず,これから補充法を研究してみようという方の良い踏み台になると良いのですが。また,「補充法なんてイレギュラーな現象,研究テーマになるの?」というような疑問をお持ちの方にも1つのケーススタディとして参考にしていただけると嬉しいです。

この論文集は形態論・レキシコン研究のシリーズの第2弾となっていて今後の刊行も予定されており,投稿論文も受け付けていますので,関連分野の方は投稿も考えてみてはどうでしょうか。

www.konan-u.ac.jp

大学教員であることは「一般社会」での過ちを免罪しない

これまでも他の話題で書いたことがある気がしますが,大学(を拠点にした研究界)がある種「一般社会」から隔絶されているとか,「一般社会」では許されないような行為・人が許容されるという感覚・考え方は確かにあると思います。

https://twitter.com/MarathonUniv/status/1198897437315723264

ここから先の議論は,「人格が破綻」とか「許容される」の意味や範囲をある程度詰めないと空転しそうですし,この記事でもそこまでやるつもりはありませんが,今回の件は研究界内のローカルな出来事ではなく,「一般社会」とのつながりの中で行われた(むしろ積極的な発信としてすら捉えられる)言動なわけで,「アカデミアでは多少の変なこと・人も許される」とはだいぶ話が違うのではないでしょうか。

大学や研究界の一部を「隔絶させるという形でそのほかの社会と関わらせる」という選択肢はあっていいと思いますが,大学や研究機関,研究者集団全体を「一般社会」と完全に切り離して考えることは無理でしょう(それぞれの社会・世界をはっきりと分けて考えること自体にも慎重であるべきだと考えます)。研究活動に参加できるならそのほかの面で多少エキセントリックであってもその中で生きていけるということがあるとすれば,それはそれで個人的には研究者集団の良い面だと考えています。しかし,それは「一般社会」の構成員としての受けるべき批判や非難を免罪するということにはならないのではないでしょうか。

もちろん,「一般社会」の構成員としてダメだからといって,研究の内容を間違いと断定するとか,学歴や職階でおとしめて良いという話にもなりません(研究史上どのように扱うか・記述するかというのはまた別の問題としてあるでしょうが)。

大学教員として教育に関わる上で差別的言動は許されないというのは当然として,研究(者)という範囲だけで考えたとしても「研究者だから多少変なことは許される」というような形の話にはしない方が良いと思います。ましてや研究者や大学教員自身が今回のようなケースをそのような話に持って行ってしまうのはいろんな意味で「危ない」のではないでしょうか。

構成員や分野によっていろいろな方針・考え方があって良いと思いますが,ある程度独立した世界を維持したいというのならなおさら「外」との向き合い方に真摯・誠実になるべきです。

子育てとキャッシュレス決済

先日,大連についての記事でキャッシュレス決済について書きましたが,子育て絡みの話について少し書いておこうと思います。

dlit.hatenadiary.com

子供と一緒に行動する時に便利

きっかけは忘れましたが,結婚前から,特に少額決済用にキャッシュレスが便利だと感じて使っていました。プリペイド方式はものぐさな私にとってはあまりなじまず,ずっとドコモのケータイを使っていたこともあってiDを愛用していました。非常勤講師時代に各駅のマクドナルドで授業準備等をすることが多かったのにも,iDで支払いができるということが理由の1つとしてあったかと思います。

dlit.hatenadiary.com

あと非常勤講師時代はいろいろなところに出かけていたのでSuicaも便利でした。電車だけでなく駅の店舗や自販機では早くから使えましたし。オートチャージもかなり早くから使えていたような記憶があります。

子育てをしていると,キャッシュレス決済はほんと楽だと感じる場面が多いです。子供が大きくなるとまた違うのでしょうけれど,少なくとも0-3歳児(現在)の間はいろいろ子供に注意を向けていたいこと・気を取られることが多いのですよね。あと,特に子供が小さい頃は荷物が多く,場合によっては財布を取り出すのさえちょっとめんどうだったり。親2人体制でも,子供が歩いたり走ったりできるようになってからはなかなか油断できません。

スマホをiPhoneに変えてから1つ困ったのは,Apple Payでキャッシュレス決済の方式がクレジットカード毎に決まっている(iDとQuicPay両方使えるカードでも選択はできない)ということでした。私がよく利用する店舗はQuicPayを採用していない店舗が多くて。でも,ここ最近のキャッシュレス決済ブーム?への対応なのか,多くの店舗で急速に対応が進んでさいきんはほとんど困らなくなりました。

ちなみに,子育てが始まってからキャッシュレス決済の割合が増えたというようなことはなく,その前から可能な場合はほぼキャッシュレスで支払うようになっていました。

子供がお金を見ていない

子供とままごとをしていて,この子はもしかして「お金を出して買っている」場面をほとんど見ていないのではないかということを考えるようになりました。買い物ごっこの時,買うものを選んだりとかは自然とやり出したのですが,「お金」の使い方がいまいち分かっていないようで品物と一緒に客にあげたりとか。一方,「電話でピッっとやるとジュースが買える」といったことは分かっているようです。

確かに,子供の前でお金を出して支払いをしているシーンがこれまでほとんどありませんでした。

もちろん,これまですべて現金で支払いをしていても,買い物ごっこがうまくできなかった可能性も十分あると思うのですが,子供って観察眼もすごいしものまねも上手いので(電話のものまねとかいつも感心します),「お金と交換している」ところを見せるのももしかしたら大事なのかもと。

というわけで,さいきんは子供が大きくなってきて余裕ができてきたこともありますが,子供と一緒の時に意図的に現金で支払うこともするようにしてみています。

ところでさいきんの買い物ごっこセットにはポイントカードが含まれていたりするんですね。

アクセントとか

余談ですが,これだけiDを使っているのに経験がないので,ネットでしばしば見かける「iDとEdyはレジで間違われやすい」という話がどうもしっくりきません。アクセントも「アイディ]ー」と「エ]ディー」で違うので口頭だとそこまで紛らわしくないと思うのですが…でも,もしかしたら方言によっては同じアクセントパターンになるところがあるのかもしれませんね。

ところで,他のコンビニに比べてローソンだけiDの読み取りにやや時間がかかるような気がするのですが気のせいでしょうか。