誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

専門家と素人

批判を受け入れて修正するのはすごい(ゆる言語学ラジオさんとのやりとりについてもうちょっと)

はじめに 下記の記事に書いた金谷武洋氏の著書に関して,ゆる言語学ラジオさんから訂正の情報が出ていました。 dlit.hatenadiary.com 動画内で取り上げているのは下記のものです。動画のページにも記載があるように,該当箇所は32:43です。 www.youtube.com …

ゆる言語学ラジオさんとの金谷武洋氏をめぐるやりとりについてちょっとだけ

はじめに 「ゆる言語学ラジオ」というYouTubeのチャンネルに金谷武洋氏を肯定的に紹介している動画があります(紹介が目的ではないので直接リンクをはることはしません)。 金谷武洋氏の著書の内容には専門的に見ていろいろ問題があり,以前いくつか批判記事…

言語の研究者はことばの規範とどう付き合う(べき)か,についてちょっとだけ

はじめに 下記の話題に関して,「言語の研究者は(軽々しく/何があっても)ことば遣いに関する規範に口出しするのは良くない」という反応を見かけたので,関連して今の自分の考えを少し書いておこうと思いました。 togetter.com 解説や問題の整理という類の…

【改訂版】「水からの伝言」に言語学の立場から反論する(読書案内付き)

はじめに 改訂版を書こうというアイディアはしばらく前からあって,実はnoteに載せるつもりだったのですが,ここしばらくあったnote関連のトラブルと運営側の対応があまり好ましいものではなかったのでこちらで改めて記事にすることにしました。 この話題に…

研究のアウトリーチ活動とか文理の対立とか(日本学術会議に関する記事への補足)

数日前に書いた日本学術会議に関する記事への補足みたいなものです。 dlit.hatenadiary.com 研究や学術のアウトリーチ活動 私が上の記事で言及した「研究や学術活動の社会との関わり方」については,かなり漠然とした表現であったために,受け取る人によって…

日本学術会議の任命拒否の件について40代人文系(たぶん)研究者の雑感

追記(2020/10/12) 補足記事を書きました。 dlit.hatenadiary.com はじめに 当初,この問題が出てきたときはここまで多くの人の興味を引くとはまったく予想していなかったので驚いているというのが正直なところです。そのおかげか,日本学術会議の位置付け…

写真(家)の倫理,研究の倫理

下記の記事で話題になっている件ですが, news.yahoo.co.jp はてブのコメントで紹介されていた2014年に書かれた関連しそうな内容の記事が面白くて,研究の話となんとなく似ているところがあるかなと思いました。 yanretro.hatenadiary.org 以下,研究(倫理…

文章の長さとか専門家性とか

文章の長さとか 言及いただきましたので関連しそうなことを少しだけ。 interdisciplinary.hateblo.jp 私もけっこう長くてややこしい記事を書きますので,「長い」系の苦情をいただくことは少なくありません(でもさいきん少ない気がする)。私のブログの「歯…

専門家としてブログとどう付き合うか(今の方針)

追記(2019/01/08) なんだか内容と合ってない気がしたのでタイトル変更しました。 はじめに 途中ではてなブログへの移行があり名前も変えてしまいましたが,このブログ(元はてなダイアリー)もそろそろ15年目を迎えます。 dlit.hatenadiary.com 下記の記事…

「やさしい日本語」についてちょっとだけ

はじめに 下記の「やさしい日本語」に関するまとめが話題になっていて,Twitterでも少し関連することを書いたのですが,やはりこちらでも少し何か書いておくことにします。 togetter.com 東日本大震災の時にもそこそこ話題になったという印象があったのです…

各分野での論文とか業績に関する記事のまとめ(見つけたら追記してます)

下記の記事の公開後,けっこう面白い広がりを見せつつあるので少しまとめておきます。リンク集は下記で紹介するnext49さんのものですでにまとめてくださっているので必要ないかなとも思いましたが,かぶっていてもできるだけ多くの人の目にとまるのが良いか…

(スランプ?)専門家として何をどこまでどんな調子で書くか

最近、こちらになかなか書けていません。そもそも特に理由がなくても平気で半年ぐらいほったらかしにするブログではあるのですが… 別館やついったーを見ている方は「やっぱり育児大変なのね」とお思いになるかもしれませんが、主な理由は仕事量の増加です。…

「今だから知りたい放射線の話(きくまこ大人かふぇ)」@えるかふぇに参加してきました

行ってきました。僕にしてはけっこうこまめにメモを取ったんですが、こちらにも簡単に参加記など書いておきます。まとめられる気がしないので書き殴りです。適当に読むことをおすすめします。報告としては断片的すぎると思いますが、きっとどなたかの補足情…

ちょっと考えを変えて、アフィリエイトを使ってみることにしました

以前は絶対アフィリエイトなんか、と思っていたのですが。とりあえず書籍紹介にいつも使っているAmazonのやつを試すことに。 考えを変えた主な理由は以下の2つです。 専門家としての情報発信のモデルケース模索の一環として 書籍紹介のモチベーションになる…

「疑似科学」の範囲のややこしさ、あとことばでくくること

書いてみるとお前誰なんだという感じの内容になってしまいましたが、一読者の雑な感想として。 個々人が別個の問題にもとりくむべきという話ではなく、疑似科学に歴史修正主義がふくまれることを理解するべきという話 - 法華狼の日記 を読んで。 このタイト…

金谷武洋氏の著作について今後どうするのが良いのか(たぶんしばらくは何もしません)

最近は自分から情報を集めているというわけでもないのですけれど、新しい本が出たということもあってか、ちょくちょく関連情報を目にしたり、検索でいらっしゃる方も微増していたり。 金谷氏については、部分的にですが、書いたものがそこそこありますので、…

(積極的に)関わると矢面に立つことになって下手したら疲弊しちゃう問題

以下は科学哲学などが専門の伊勢田哲治氏に対するask.fmでの質問とその回答。 科学哲学者はいつまでニセ科学(や科学者の背信行為)を野放しにされるお積もりでしょうか?一般に訴えかけられる科学哲学者の存在意義はそのくらいしか無いと思うのですが。 | ask…

なぜ歯切れが悪い文章を書くのか

ブログ上部の「歯切れが悪いのは仕様です」という文言は実はかなり評判が良いです(最初に掲げたときはまさかこんなにリアクションがあるとは思いませんでした)。 はじめに さて、先日のエントリにこんなブコメが付きました。 人文系が嫌われるのはこのエン…

(自虐としての)人文学は役に立たないとかなんとか

次の記事に関連して以前から思っていたことを少し。 きみらは人文系なの?違うなら人文系について語るのはやめてください、お願いだから。 で、きみらは人文系なの? 僕は専門は言語学ですので、一般的には「人文系」だと認識されていると思います。まあ末席…

【紹介】日本語学会2012年度春期大会シンポジウム「グローバル市民社会の日本語学」の各講演が文章化されています

シンポジウムの感想は以前書きました。 日本語学会2012年度春期大会シンポジウム「グローバル市民社会の日本語学」雑感 - 思索の海 このシンポジウムの報告という形で出ているのではなく、雑誌『日本語学』2012年11月号の特集「人生のための言語学」に収録さ…

日本学術会議公開シンポジウム「学士課程教育における言語・文学分野の参照基準」雑感

日本学術会議の公開シンポジウム「学士課程教育における言語・文学分野の参照基準」というものに参加してきました。以下がシンポジウムの案内です。 学士課程教育における言語・文学分野の参照基準(pdf注意) 参照基準の中身の参考になると思うので、上の資…

日本語学会2012年度春期大会シンポジウム「グローバル市民社会の日本語学」雑感

もう一ヶ月どころか二ヶ月経ってしまいそうなところなのだけれど、やはり重要だと思うので書いておく。言語研究者として専門家と非専門家のコミュニケーションを考える上で、刺激や示唆をもらえるところが多かった。 http://www.jpling.gr.jp/taikai/2012a.h…

「専門家は〜してない(からイカン)」的な何かと想像力の話(あと言語学はなめられているか)

話の背景というか発端についてはばらこさんの以下のエントリをお読みください。 物理学者は摩擦をスルーすることが文脈か? - ばらこの日記 あとそれに続くエントリもおすすめ。 素人は黙るな。あるいは信頼できる論者について、お前がいうな、的な。 - ばら…

ニセ科学批判における優先順位問題についてちょっとだけ(書くつもりだったんだけど)

資料を探してたら僕が特に書くことは無い気がしてきました。 発端:まとめよう、あつまろう - Togetter 以下、ざっとリンクをはってみますがもっと詳しい説明って必要でしょうか?比較的よく出てくる話題なので端的なものだけでなく、ある程度分量のある、参…

科学コミと熱意の非対称性の問題(とおまけ)

※なんか「サイエンスコミュニケーション」の略称は「科学コミ」に落ち着きそう*1なのでタイトルに使ってみました。 先日こんな記事を書いたところ メモ:サイエンスコミュニケーションと科学者/研究者/専門家に何を求めるか問題 - 思索の海 思いがけない展開…

メモ:サイエンスコミュニケーションと科学者/研究者/専門家に何を求めるか問題

注意点 事例として自然科学を取り上げているので「サイエンスコミュニケーション」という言葉を使っていますが、わかりにくければ「専門家と非専門家のコミュニケーション」と読み替えて大丈夫です。 僕自身は人文学の研究者です。 なんか仰々しいタイトルを…

「国文法」についてきちんとした専門家による現代的な評価/解説を読んでみたい人へ

ブクマもしたのですけれど、以下のエントリ 外国人向けの日本語能力試験難しすぎワロタwwwwww おもいっきり濁点 の以下の二つのレスが気になったので。 6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/15(水) 03:23:35.89ID:6tMDNVP10取り…

口頭発表で気をつけていること:誰にどこまで届けたいか

学会での口頭発表などのお話。整理もかねて。 さて、僕は今でもさして口頭発表がうまい方ではないと思うのですが、以下のことに気をつけるようになってから少しは良くなったと思います。内容の準備に必死になっていると忘れることもありますが…ちなみにこれ…

メモ:「つくば市、福島からの転入者に放射能検査要求」の件と公式アカウントについて考えたこと

震災関連のエントリはあまり書く気がしなかったのですが、この件についてはメモと思考の整理のために。ちなみに、カテゴリは便宜上のもので「スクリーニングをニセ科学と決めつけている」というような話ではありません、念のため。 「つくば市、福島からの転…

「サイエンスイラストレーション公開セミナー:芸術と科学のマッチアップ」に行きたいな

新たにタグ作っちゃいました。 僕は運営など一切関わって無いのですが(というか学内のポスターで知った)、筑波大学でサイエンスコミュニケーション関連のセミナーが開催されるようなのでできれば行ってこようと思います。現在参加希望問い合わせ中。 プロ…