誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

『日本語文法』に愚痴命令文の研究ノートが出ました

『日本語文法』は日本語文法学会の査読誌です。正式な題目は「独話に現れる愚痴命令文と反事実性」,掲載されたのは19巻2号です。目次はくろしお出版のページをご覧下さい。 www.9640.jp Amazonでも買えます。 日本語文法 19巻2号作者: 日本語文法学会出版社…

「やさしい日本語」についてちょっとだけ

はじめに 下記の「やさしい日本語」に関するまとめが話題になっていて,Twitterでも少し関連することを書いたのですが,やはりこちらでも少し何か書いておくことにします。 togetter.com 東日本大震災の時にもそこそこ話題になったという印象があったのです…

40歳になりました

せっかくの機会なので少しだけ何か書いておくことにします。 ちょっと前に「若手」については少し書きました。 dlit.hatenadiary.com 研究 以前,ある先輩の研究者から「理論的な研究は若い内に1度突き詰めてやった方が良い」というアドバイスをいただいたこ…

研究に対する評価の情報(学会の難しさとか)を書き記しておくこと

研究者・大学教員の皆様におかれましては,たとえば論文や書籍,学会発表等による研究成果の発表を評価される/することについて(さいきんの状況下では)いろいろ思うところがあるのではないでしょうか。特に評価基準や研究に関する制度・文化が異なる他分…

はてなグループ提供終了により日記の移行を考えています

以前,はてなグループのサービスが提供終了するという発表があったのですが,下記の記事で新規作成や投稿だけでなく閲覧そのものができなくなるとの方向がありました。 hatena.g.hatena.ne.jp かなり前に作成してだいぶ放置したままの「linguistics ?」とい…

プレゼン能力(に関わるかもしれない何か)を入試で問うことに意味はあるか

私は大学教員でこの種の問題については利害関係者ですし,言語教育には少し関わっていますが評価法が専門ではありませんので,その辺り差し引いてお読み下さい。 下記のツイートが話題になっていて,どのような問題があるかについてはいろいろ指摘されている…

そのうち来る,沖縄の基地や歴史のことを我が子に(くわしく)話すとき

私自身の基地に関する思い出を以前書いたことがありますので,よろしければこちらも合わせてどうぞ。 dlit.hatenadiary.com 我が子(3歳児)は東京生まれ東京育ちなのですが,私が沖縄(沖縄市)出身なので,年に1回は沖縄に行きます。 東京ではなかなかしな…

大学の授業に「もぐる」こと

下記の記事で紹介されている事例だが,その大学のシステムだけでなく,個別の授業で採用されている方法といったかなり細かいことまで調べないと,なんとも評価はできないと思う。 www.asahi.com この記事への反応としていくつか見られる「大学による」という…

大連と反日デモの思い出

さいきんの日韓関係の悪化が心配なので,少し関連しそうなことを書いておこうと思いました。私は大学院から日本語の研究をしているので,韓国(と中国)出身の留学生,研究者と接することが多いです。それが日常だったので,いわゆる「嫌韓」が最初に話題に…

【告知】Morphology and Lexicon Forum 2019(8/31-9/1,神戸大学)発表もします

Morphology and Lexicon Forum (MLF) 2019のプログラムが公開されました。私も発表します。概要は下記にも載せますが,各発表の要旨はサイトからダウンロードできるファイルに載っています(懇親会の詳細もサイトをご覧下さい)。参加費や事前申し込みはあり…

日本語の二重補充に関する共著論文が出ました(WAFL 14のproceedings)

大関洋平さんとの共同研究でやっていた日本語の二重補充 (dual suppletion)に関するWAFL 14の発表のproceedingsがMIT Working Papers in Linguistics のシリーズから公刊されました。タイトルは発表と一緒で "Dual Suppletion in Japanese" です。 mitwpl.mi…

『日本語の研究』に三原建一『日本語の活用現象』の書評を書きました

発行は8/1となっていますが,目次が公開されたようなので宣伝しておきます。 www.jpling.gr.jp 書評の対象は下記の研究書です。目次は次のようになっています。 はじめに 理論的アプローチにおける活用研究の状況と課題 2.1. 活用の理論言語学的研究の問題点…

『中動態の世界』の言語学的側面に関する雑感/違和感(文献紹介あり)

はじめに 私は言語学の研究者なのですが,「中動態」というキーワードにひかれて國分功一郎『中動態の世界 意志と責任の考古学』を読みました。気になった点について簡単に書いておきたいと思います(以下,「本書」と出てきた場合はこの本のことを指します…

メールによるレポート提出に関する体験と雑感

これまで,自分の授業では紙媒体をレポートボックスに提出,メールに添付,学習管理システム(LMS: Learning Management System)で提出,のすべてを試したことがありますが,今はLMSの提出に統一しています。LMSは今のところに着任した時はmoodleだったので…

野球の記事で使われていたラグビー由来の表現「ノーサイド」

ちょっと前に,ある分野で使われている表現の意味・用法が一般的に拡張される現象について少し書きました。 dlit.hatenadiary.com 球技で用いられる表現由来のものとしては圧倒的に野球が多いという印象だったのですが(他だと,たとえばサッカー由来の「イ…

赤とんぼとかうなぎとか(言語学の話)

いわゆる「赤とんぼ」の絶滅の危険性に関する記事を見る度に書こうと思いつつ,いつも通りなかなか手が付けられなかったのでごく簡単に。 webronza.asahi.com 言語学と生き物の名前 言語学では,ある言語現象を指す際に生き物の名前が使われることがあります…

2018年度を振り返って

2018年度は,3つの招待発表(関西言語学会,Morphology and Lexicon Forum,筑波大学応用言語学研究会)と日本英語学会シンポジウムでの発表があり,久しぶりにけっこう人前に顔を出したような気がします。あと久しぶりに海外での発表(Workshop on Altaic F…

「高輪ゲートウェイ」とか新しい名称のはなし

下記の記事のタイトルに「日本語学者」と入っていたので気になって読んでみたのですが, https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/kirakira-gateway 少なくとも下記の記事の該当箇所を読む限りではことばの面から見て問題があるとはっきり言うのは意外と難…

若手(研究者)だった時に考えていた「若手の会」や学会のこと

今年,40歳になります。 科研費の「若手研究」における「若手」の定義は「39歳以下」から「博士の学位取得後8年未満」に変更されましたが, www.jsps.go.jp もうどちらの基準でも若手ではなくなります。というか,実はこの3月で博士号取得からちょうど10年に…

「理論言語学」と「生成文法」の関係に関するメモ

はじめに まず,この記事は専門外の方への概説というよりは自分用の整理という性質がふだんの記事より強いです。言語学にある程度触れたことがないと論点がよく分からないと思いますがちゃんと書くのはたいへんな内容なのでご容赦下さい。 下記の記事の中で…

麻雀用語と民間語源,あるいは電話のアイコンのはなし

一般化した麻雀用語 一般化した麻雀由来の表現が使われなくなりつつあるのかもしれない,そう思った最初のきっかけは授業で取り上げた例に出てきた正面に(座って)いる人を指す「トイメン」という表現を多くの学生が理解できないということに気付いたことだ…

2018年度の授業で紹介した言語学・日本語(学)関係の新書

Twitterで新書に関する教員のやりとりを見たので,私が今年度言語学関係の授業でおすすめとして紹介したものを簡単に挙げておきます。新書は授業で取り上げるとなると意外と難しいこともあるのですが,手に入れやすく(比較的)安価で電子書籍も充実している…

沖縄の人たちはあと何回意志表示をすれば良いのでしょうか

県民投票の結果が出ましたね。内容の割にリアクションが少ないように見える下記の記事を1つだけはっておきます。 this.kiji.is これまでも何度か書いてきたように,私は18歳まで沖縄で育ちその後はずっと関東にいる人間なので, dlit.hatenadiary.com 沖縄の…

叱るのは難しい(できるだけやりたくない)

叱り方/叱られ方 ちょっと前にNHKの下記の「叱られ方」に関するニュースが話題になっていましたが, www3.nhk.or.jp 大学がこういうことやるのか,と暗い気持ちになりました。もっとはっきり災害対策,護身術,緊急避難のノウハウのような感じでやるならま…

ゼミの運営(ほとんど連絡)にLINEを1年使ってみた感想

はじめに 今年度,ゼミの連絡にLINEを使ってみました。なのでタイトルには分かりやすく1年と書きましたが,正確には10ヶ月ぐらいですね。 前提として,私のゼミは少人数であること(今年度は2人),私自身ふだんからLINEを使っている(家族とのやりとりだけ…

国語学史,国語の言語政策史に関する本をちょっとだけ紹介

古典教育・国語教育関連で先日書いた記事にid:karpaさんから情報をいただきましたので,自分の知っている範囲で紹介しておきたいと思います。かなり専門からは遠いので読書案内というタイトルは付けませんでした。 dlit.hatenadiary.com 国語の言語政策史 国…

古典教育や国語教育の話にちょっと補足(少しだけ本の紹介あり)

昨日書いた記事に書き忘れたことがあったので少しだけ補足しておく。 dlit.hatenadiary.com カリキュラム設計 昨日紹介した下記の記事や dain.cocolog-nifty.com 今回話題になったイベントの司会を担当された飯倉氏の記事でも触れられているように, bokyaku…

古典教育や国語教育に関する雑感

追記(2019/01/22) カリキュラムの話について少し補足を書きました。 dlit.hatenadiary.com はじめに いつも読んでいただいている方には今更だが,こういう内容を書く際には少し自分のことについて書いておいた方が良いだろう。 私は言語学・日本語学が専門…

短縮語として貴重な「増田」

なぜ「増田」? 下記の記事のはてなブックマークのコメントにも回答があるので書いて良いと思いますが,「アノニ“マスダ”イアリー」の途中を取って「ますだ」で漢字表記して「増田」というのが私の知っている語誌です。 anond.hatelabo.jp 日本語の短縮語 語…

3歳児のYouTubeからの言語習得と小笠原混合言語のあいさつ

3歳児のおやすみのあいさつ さいきんの我が家の3歳児の就寝時のあいさつが「おやすみバイバイまた見てね」になっています(私はこの後も起きることが多いため。寝室からの召喚はたまに発生)。 「バイバイ」の後に「また見てね」と続けるのは明らかにYouTube…