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歯切れが悪いのは仕様です。

『日本語表現&コミュニケーション 改訂版』が重版になりました

はじめに

改訂版から執筆に参加している『日本語表現&コミュニケーション 改訂版 社会を生きるための22のワーク』が重版になりました。刊行の際に宣伝できなかったのでこのタイミングで簡単に紹介します。

www.jikkyo.co.jp

上の出版社のページからは、ワークシートなどもダウンロードできます。

どのようなタイプの本か

日本語の使い方に関する教科書です。下にある目次を見てもらうと分かる通り、大学で「日本語表現」というワードが入った授業(主に日本語が第1言語の話者向け初年次教育)で取り扱われる内容がメインです。

ただ内容は大学(アカデミックスキル)専用というわけではなく、高校や高専等でも使うことを考慮して書かれています。そういう事情もあって90分×15回で設計することを前提とした構成にはなっていません。各項目の内容はそれほどヘビーではないので15分や30分といった1つの授業の一部としても使いやすいと思います。

主な内容(目次)は下記の通りです。

  • Part1 書く力編
    • Work1 漢字を交えて読みやすく書こう
    • Work2 句読点のはたらきを知ろう
    • Work3 和語・漢語・外来語を使い分けよう
    • Work4 言葉をグループでとらえよう
    • Work5 書いた文を見直そう
    • Work6 話し言葉と書き言葉を区別しよう
    • Work7 別の言い方を考えよう
    • Work8 手紙を書いてみよう
    • Work9 E-mailを書いてみよう
  • Part2 話す力編
    • Work10 しっかりとあいさつと自己紹介をしてみよう
    • Work11 改まった話し方をしてみよう
    • Work12 敬語の役割を知ろう
    • Work13 敬語を使って話したり、書いたりしてみよう
    • Work14 主張・意見を的確に述べてみよう
    • Work15 反論の仕方を学ぼう
    • Work16 アサーションスキルを学ぼう
  • Part3 伝える力編
    • Work17 相手の話をしっかりと聞こう
    • Work18 わかりやすい表現で伝えてみよう
    • Work19 キーワードの説明(定義)をしてみよう
    • Work20 引用(根拠と出典)を示す
    • Work21 表やグラフを読んだり、描いたりしてみよう
    • Work22 ふりかえり

担当した箇所

私は「Work9 E-mailを書いてみよう」と「Work16 アサーションスキルを学ぼう」の執筆を担当しました。

メールの書き方に関する情報は今や本としてもweb上にも山ほどあるのですが、そのためかえって学生が自分に適した書き方を身に付けにくいということがあるように感じています。以前このブログでも簡単に書きました。

dlit.hatenadiary.com

この項目では、メールという連絡手段の特性や具体的にどのような表現を使えば良いのかという情報だけでなく、学生が書くメールがなぜ(どのような時に)難しいのか、特に「依頼」のメールの難しさとポイント、「お世話になっております」などのビジネス用語に気をつけること、などについても書いてあります。

「アサーション」については「こういう時にはこう言おう」みたいな話にするとアサーションスキルのポイントを外してしまうと考えたので、意図的に具体的なテクニックや言語表現を紹介せず、コミュニケーションに関する考え方や方針に重点を置いています。言語学の方の語用論やポライトネスの話も入れられると良いなあと考えてはみたのですが、私の力量ではこのボリュームで盛り込むことはできず断念しました。

おわりに

試しにChatGPT (GPT4) にメールに関する課題をやってもらったところ、かなり良い文面を提案してくれたものの完璧というわけではなかったのでやはり使う方としては最低限のチェック能力を持っていた方が良さそうです。でも完全にお任せでも問題なくなるのはそれほど遠くはないのでしょうか。