追記(2024/06/09)
下記の個人サイトのページに内容を引き継ぎ、以降の更新はそちらで行うことにしました。
こちらの記事はもう更新しませんのでご注意ください。
はじめに
この記事の来歴
この記事は元々ははてなグループのブログに書いた記事で、はてなグループの廃止によりこちらのブログに移しました。
しかしはてなグループからインポートした記事はどうにも編集がしにくいので、新しい記事にすることにします。上記の古い方の記事はそのままにはしておきますが、以降更新はしません。
この記事の目的
「ら抜き」と呼ばれる現象が言語学・日本語学の研究分野ではある程度説明がつく言語変化である(よく分からない変化ではない)として割と広く取り上げられてきたことを記録しておきたい、というのがこの記事を書き始めた動機としてあります。
そのため、この記事のリストには下記の特徴があることに注意してお使いください。
- 読んでいるときに見つけたものを記録していることが多いので網羅的なリストではありません。
- 専門書や論文より入門書や概説書などでちょっと言及されているものを優先しています。たまたま見つけたもの・情報をいただいたものなどは一部論文などもリストにしています。
つまり、あまり本格的な研究の参考にはなるようなものではありません。ただ、こういう情報を探すのは慣れていない人にとっては意外に大変なので(索引に載っている場合はまだ良いんですけどね)、何かの役に立つことがあれば嬉しいです。最初にこの記事を書いてから10年以上経って、webで「ら抜き」が話題になるときにある程度専門的な知見が参考にされているのを見かける機会も少しずつ増えてきたように思います。
おまけで、今回の更新に当たっていくつか情報を足しておきました。
入門書や概説書のコラム、簡単な解説など
新しい方から刊行年順です。旧リストと比べて比較的専門的なものもできるだけこちらに統一するようにしました。ページ数は「ら抜き」の情報があるページであって、論文、章など全体のページ数ではありません。
- 石黒圭 (2021)『日本語文章チェック事典』, pp.200-201, 東京堂出版.
- 野間純平 (2020)「ラ抜きことば」『明解日本語学辞典』, p.159, 三省堂.
- 有元光彦 (2019)「ラ抜きことば」『明解方言学辞典』, p.153, 三省堂.
- 平塚雄亮 (2019)「9 言葉の変異と諸方言」『基礎日本語学』, pp.215-216, ひつじ書房.
- 衣畑智秀 (2019)「4 文法の歴史変化」『基礎日本語学』, pp.101-102, ひつじ書房.
- 沖森卓也 (2017)『日本語全史』,pp.418-419, 筑摩書房(ちくま新書).
- 岡﨑友子・森勇太 (2016)「第23課 現代にも起こっている変化」『ワークブック 日本語の歴史』, pp.100-101, くろしお出版.
- 日本語文法学会(編) (2014)「可能動詞」『日本語文法事典』, p.124, 大修館書店.
- 定延利之 (2009)「3章 品詞と活用」『日本語教育能力検定試験に合格するための言語学22』, pp.148-149, アルク.
- 工藤真由美・八亀裕美 (2008)「8「全部食べれんかった」―可能をいかに言い表すか」『複数の日本語 方言からはじめる言語学』, pp.135-153, 講談社
- 駒走昭二 (2007)「第10回 一人でパジャマが着れるもん。字も書けれるもん―ら抜き・レタス・さ入れ」名古屋大学日本語研究会GA6『ふしぎ発見!日本語文法。』, pp.63-72, 三弥井書店
- 沖森卓也(他)(編) (2006)「第5章 文法」『図解日本語』, p.118, 三省堂.
- 加藤重広 (2006)「第6章 助動詞の分類と態の助動詞」『日本語文法入門ハンドブック』, p.39, 研究社.
- 井上史雄 (2005)「13 「ら抜きことば」と「さ入れことば」」姫野昌子他(編)『言語文化研究(3)』, pp.150-162, 放送大学教育振興会
- 林巨樹・安藤千鶴子・池上秋彦(編) (2004)「ラ抜き言葉」『日本語文法がわかる事典』, 東京堂出版, pp.286-287
- 山田敏弘 (2004)「§2. 活用」『国語教師が知っておきたい日本語文法』, pp.19-20, くろしお出版.
- 庵功雄 (2004)『新しい日本語学入門 ことばのしくみを考える』, スリーエーネットワーク, pp.309-312
- 井上優 (2002)『シリーズ・日本語のしくみを探る1 日本語文法のしくみ』, 研究社, pp.24-27
- 花井裕 (2001)「規範意識とゆれ」『応用社会言語学を学ぶ人のために』, 世界思想社, pp.19-20
- 小池清治 (2001)「第4章 ラ抜き言葉が定着するのはなぜか」『現代日本語探究法』, pp.32-42, 朝倉書店
- 長谷川信子 (1999)『生成日本語学入門』, 大修館書店, pp.122-123
- 小松英雄 (1999)「11 可能動詞の形成Ⅱ レル型可能動詞コレル/ミレルの形成」『日本語はなぜ変化するか―母語としての日本語の歴史』, pp.230-245, 笠間書院
- 滝浦真人 (1997)「【「ら抜き」言葉】」『『言語』創刊記念25周年記念別冊 言語学大問題集163』pp.123-126(『言語』26:8、千葉大学大学院文学研究科欧米言語文化専攻で90年に出た過去問の解答)
- 伊坂淳一 (1997)『ここからはじまる日本語学』, ひつじ書房, pp.10-12
- 真田信治 (1993)「第7章 社会言語学・方言学」『日本語要説』, ひつじ書房, pp.204-205
専門書・研究論文
新しい方から刊行年順です。
- 三宅俊浩 (2019)「近世後期尾張周辺方言におけるラ抜き言葉の成立」『日本語の研究』15(3), pp.1-17.
- 青木博史 (2010)『語形成から見た日本語文法史』ひつじ書房. (p.38)
- 張麗 (2009)「話し言葉の表現としてのラ抜き言葉に関する研究概観」富盛伸夫・峰岸真琴・川口裕司(編)『コーパスに基づく言語学教育研究報告1 コーパスを用いた言語研究の可能性』, pp.173-189, 東京外国語大学大学院地域文化研究科グローバルCOEプログラム「コーパスに基づく言語学教育研究拠点」
- 辛昭静 (2002)「「ら抜き言葉」の研究概観」『第二言語習得・教育の研究最前線2002年版』(『言語文化と日本語教育』増刊特集号), pp.102-119, お茶の水女子大学日本言語文化学研究会
その他(未確認など)
- Ito, Junko and Armin Mester (2004) "Morphological contrast and merger: Ranuki in Japanese," Journal of Japanese Linguistics 20:1-18.