id:takahashimさんにIDコールをいただいたので見に行ってみたら、池田先生の記事だった。もうこの時点で嫌な予感しかしません。
もうすっかり忘れていたのだけれど、図書館で検索してみたら入っていたので借りてきてみました↓
- 作者: 月本洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/10
- メディア: 単行本
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生成文法は、言うまでもなく「主語―動詞―目的語」ありきである。
(月本洋『日本人の脳に主語はいらない』p.225)
これだけでげんなりしてもう読む気が失せるわけですが、池田先生といい、どうしてそういう聞きかじりというか表面的な理解で無理やりくさそうとするのか。ざっと見る限り生成文法との対決は別にこの本の主張とは関係無さそうなので、書かなきゃいいのに。(専門ではなくても、懐疑主義や擬似科学(批判)に馴染みがある方は、この言い切りっぷりに怪しさを感じると思います。)
まあ内容は別として、ちょっと引っかかったのがあとがき。以前も書いたと思うのですが
いろいろと書き残したことがある。たとえば、7章では主語や文法に関する議論を簡単にしたが、用意した原稿のほとんどを削除した。専門書として出版できる機会があれば、そこで述べたい。
(同書p.237)
も気になるところですけれど(もしかしてそれが今回のメチエの本じゃないだろうなあ)、
本書の内容は、言語学と脳科学と心理学等にまたがっている。専門の方に原稿を読んでいただいたので、基本的に間違った記述はないと考える。
(同書p.238、強調はdlit)
…あまりこういう記述を見た覚えが無いのですが、著者の言として結構普通にある表現なんでしょうか。下手したら原稿を読んでもらった専門の方々にも責任を分担させるようにも読めちゃいそうな気がしますし、一般書とはいえ「基本的に間違った記述はない」と言えるのもなんだかスゴイ。
僕がすでにこの本に対して良い印象を持っていないので、穿った見方をしちゃってるだけですかねえ。
さて、以前a-geminiさんに参考文献に金谷氏の本が挙がっていることを教えていただきましたが、本文にも
さて、ここでは、日本語の主語や文法をめぐる論争を紹介しようかと思い原稿を用意したが、文法用語が多く内容が技術的なので、多くの読者には退屈なものであろうかと思い、残念ながら省略することにした。ご関心がおありの方は、柴谷方良『日本語の分析』、尾上圭介『文法と意味1*1』、角田太作『世界の言語と日本語』、三上章『続現代語法序説―主語廃止論』、金谷武洋『日本語に主語はいらない』などをお読みいただきたい。
(同書p.227)
という記述を見つけました。あーあ*2。
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