誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

「はてななんとか」アクセント覚書

 気になったので、はてなのサービスのアクセント核の位置を複合名詞のアクセントの観点からちょっと整理してみる。
 ターゲットは次のはてなサービス群

  • question, antenna, bookmark, diary, fotolife, group, rss, counter, map, graph, ring, idea, star, message, haiku, world

 これらの単語単独での日本語での外来語(カタカナ語)アクセント核の位置と、「はてな〜」というように頭に「はてな」が付いた場合のアクセント核の位置を比較する。「はてなクエスチョン」なんかは単語としてはあまり使ってる人いなそうだけど、一応。
 で、複合名詞の議論では後ろの名詞のモーラ数が重要だと言うこと、4モーラが規則的な複合の分水嶺らしいというようなこともわかっているので、まずは5モーラ以上のものから考察する。
※アクセント核の位置は「’」で表示。平板型の場合は示さない。長音の場合は長音の直前に核があるものとして考える。
※-X型というのは、単語末から数えてX番目のモーラにアクセント核があるパターン、という意味で使う(「烏=か’らす」なら-3型)。
※なお、東京方言ネイティブではない僕の完全な直感による記述です。

5モーラ以上

 ここに当てはまるのは、「クエスチョン、ブックマーク、ダイアリー、カウンター、メッセージ(フォトライフとRSSはちょっと変わってるので後記)」。

  • は’てな + クエ’スチョン → はてな-クエ’スチョン
  • は’てな + ブックマ’ーク → はてな-ブックマ’ーク
  • は’てな + ダ’イアリー → はてな-ダ’イアリー
  • は’てな + メ’ッセージ → はてな-メ’ッセージ

 以上はいずれも変化無し。

  • は’てな + カウンター → はてな-カウ’ンター

 カウンターの例だけは平板型から-4型に変化。例えば、ボクシング用語の「カウンター」も単独では平板だが、「クロスカウ’ンター」になると上と同じようなアクセント核を持つ。

4モーラ

 ここに当てはまるのは「アンテナ、グループ、アイディア、ワールド」。なお、「ダイアリー、カウンター」の最後の長音が無いタイプ(ダイアリ、カウンタ)は4モーラになるが、パターンは5モーラの場合と同じなので省略。

  • は’てな + グル’ープ → はてな-グル’ープ
  • は’てな + ワ’ールド → はてな-ワ’ールド

 以上の二例は複合前後で変化無し。

  • は’てな + アンテナ → はてな-ア’ンテナ

 この例では、平板→-4型。

  • は’てな + アイディア/ア’イディア → はてな-ア’イディア

 「アイディア」に関しては、元のアクセントが平板と-4型の2パターンあるように思う。どちらの場合も複合語はおそらく-4型。

3モーラ

 ここに当てはまるのは「マップ、リング、スター、ハイク」。

  • は’てな + リ’ング → はてな-リ’ング
  • は’てな + スタ’ー → はてな-スタ’ー

 以上の二つは変化無し。

  • は’てな + マップ/マ’ップ → はてな-マ’ップ

 これにも一応平板のパターンがあるかもしれない、と感じたので併記したが、複合語はどちらも-3型。

  • は’てな + ハイク → はてな-ハ’イク

 これが今日(下の記事で言及)気になったものだが、おそらく平板→-3型のパターン。

その他のもの、および気になったこと

 5モーラのところで保留にした「フォトライフ」「RSS」にも、次のようなパターンはあるかもしれない。

  • は’てな + フォトラ’イフ → はてな-フォトラ’イフ
  • は’てな + アールエスエ’ス → はてな-アールエスエ’ス

 でも、僕がなじみのあるのは、

  • は’てな + フォトラ’イフ → は’てな-フォ「トラ’イフ
  • は’てな + アールエスエス → は’てな-ア「ールエスエ’ス

 というように、「は’てな」のアクセントはそのまま保存、後ろの名詞の語頭に上昇がある(”「”で示した)パターンである。この場合、アクセント核が二つあり、両名詞の間にminor phrase boundaryがあるところを考えても、少なくとも上までで見てきた例と同じ「複合語」であるとは言えないと思う。
 まあ、こういう例は他にも日本語の中に見られるのだが、問題はなぜこの二例がこのようなパターンを示すかということだ。
 「フォトライフ」に関しては、モーラ数が同じ5モーラの他の例を考えると、モーラ数がその原因であるとは考えにくい。可能性としては、「フォトライフ」が「フォト+ライフ」という複合語であるという意識が全体で一つの複合語アクセントを持つことを妨げている、というものが考えられるかもしれない。
 ただ、そうすると今度は「RSS」をどう考えるかである。一応、アルファベットの頭文字を列記した単語は複合語の頭文字をとってきて作るものが多いので、やはり複合語の一種として扱われるという分析も考えられる。
 そうすると、以前も少しエントリで触れたことのある、単語の各音節の子音だけをとってきて作るもの(2chによく見られる。「ksk=加速(ka.so.ku)」など)はどう扱われるのか。
 こちらに関しては、例えば、アルファベット列記単語は音韻論的には比較的外からの影響を受けにくいような、一つの語彙層を成す、という可能性も考えられるであろう。
 アルファベット列記単語のアクセントに関しては、そもそも単語自体のアクセントに関する研究もそんなに進んでいないようであるが、複合語にした場合にどうなるのか、というのは意外と真面目にやっても面白いテーマなのかもしれない。

翻って、またハイクを考える

 上のようなことをつらつら考えたのは、最初ハイクにも

  • は’てな + ハイク → は’てな-ハイク

 というパターンがあるかも、とちょっと感じたからである。
 これは、僕は「はてな-ハ’イク」というアクセントだと英語の"hike"のイメージが強いので、わざと複合語アクセントとは異なる音韻パターンをとることで、「ハイク=俳句」であることを際立たせようとした、ということがあるのかもしれない。そうすると、「ハイク」がカタカナ表記であることも関係しているのかも。例えば、「現代俳句」などだと複合語アクセント(げんだいは’いく)で違和感が無い。

おわりに

 いや、最後まで読んでくださった方々(はたしているのか)、おつかれさまでした&ありがとうございました。
 真面目に考えたものですが、あまり真に受け過ぎちゃだめですよ?(笑)私音韻論は素人ですし。