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歯切れが悪いのは仕様です。

【告知】今度の秋の日本言語学会(九州大学)で(屈折)形態論のワークショップをやります

 公式にもプログラム、要旨が公開になったようなのでこちらでも宣伝。

  • 期日: 2012年11月24日(土)・25日(日)
  • 会場: 九州大学箱崎キャンパス(福岡県福岡市)
  • 予稿集 2,000 円(予定)

日本言語学会 - 日本言語学会第157回大会

 僕らのワークショップ([W-6])の詳細は以下の通り。

  • 日時:2012年11月25日(日)10:00-12:00
  • タイトル「現代形態理論と日本語の活用における諸問題: 音便・不規則形・迂言的活用」
  • 企画・司会:田川拓海
  • 構成:
    • 趣旨説明:乙黒亮、田川拓海
    • 発表1:田川拓海(筑波大学)「分散形態論による現代日本語の不規則活用の分析:形態統語環境と異形態」
    • 発表2:大島デイヴィッド義和(名古屋大学)「寺村秀夫による活用表の再考―「タ系語尾」の位置づけについて」
    • 発表3:吉村大樹(京都府立大学)「膠着型言語の屈折形態論とWord Grammar」
    • 発表4:乙黒亮(早稲田大学)「迂言的活用形から見る日本語動詞形態のパラダイム基盤分析」
    • 全体討論

 形態論とかわりとどーでもいい、とか、IAとかIPとかごちゃごちゃしててよくわからんとか思ってるあなた、だからこそこういう機会に理論的形態論の世界をのぞいてみませんか。
 以下、ワークショップ全体の要旨です(個別発表の要旨は上記の日本言語学会のページからご覧ください)。

現代の理論的な(屈折)形態論研究では様々なモデルが提案されており、各モデルを特徴付ける主な観点としては、1) 形態素基盤(morpheme-based)であるか語/パラダイム基盤(word/paradigm-based)であるか、2) 語幹や接辞などの要素1つ1つが形態統語的・意味的素性を持つと考える増分的(incremental)アプローチであるか語幹や接辞は語が持つ素性の具現形(exponent)と考える具現的(realizational)アプローチであるか、3) 形態論と統語論を独立した部門と考えるか(lexicalism)、連続体を成すものと考えるか(anti-lexicalism)といったものがある。本ワークショップでは、上記三点についての組み合わせが様々に異なる複数の形態論のモデル、具体的には、分散形態論(Distributed Morphology)、IPモデルとしての寺村活用論、ワードグラマー(Word Grammar)、語彙機能文法(Lexical Functional Grammar: LFG)による、日本語の不規則活用、音便、時制接辞、迂言的活用などの諸現象に対する分析を提示し、現代の形態理論研究における主要な論点について整理・比較・検討を行う。

屈折形態論の理論的なワークショップというだけで日本ではもう結構珍しいのではないかと思いますが、メンバーの採用しているモデルがここまでバラエティに富んでいるというのはさらになかなか見られないのではないかと思います。
 ちなみに僕はいつも通り分散形態論を使って、変格活用と文法環境依存の不規則形(context-sensitive allomorphy)の分析をします。
 今回のワークショップは仮プログラムを見てこれじゃどれだけ人集まるかと全部聞きに行けないのが残念で泣きたくなったぐらい他の企画(裏番組)も豪華なのですが足をお運びいただけると嬉しいです。