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歯切れが悪いのは仕様です。

大連と反日デモの思い出

さいきんの日韓関係の悪化が心配なので,少し関連しそうなことを書いておこうと思いました。私は大学院から日本語の研究をしているので,韓国(と中国)出身の留学生,研究者と接することが多いです。それが日常だったので,いわゆる「嫌韓」が最初に話題になったときは現実感がなかったのを覚えています。

先に書いておくと,特に良いアイディアや提案があるわけでないです。ただこういう個人の体験談を書き記しておくことも重要なのではないかと考えていまして。

さて,たぶん2010年だったと思うのですが,中国の大連大学で行われた日中韓の言語や文学の研究者を対象にした国際フォーラムに参加しました。大連の街中を日本から参加した研究者数人で歩いていると現地の人に突然話しかけられ,中国語のできる研究者がなにやら話しています。その直後に会話の内容を教えてもらったのですが,「今日南の方で反日デモがあったらしい。気をつけて。」というようなことを教えてもらったそうです。まったく予想していなかった話題だったので驚きました(フォーラムや食事の場でそういう話題が出ることは予想していましたが)。

大連が今も日本といろいろ交流のある街であることは聞いていましたが,一口に中国と言ってもいろんな街がありいろんな人がいるということを実感できた,私にとっては貴重な体験でした。こうやって書いてみると当たり前のことなんですが,実際に体験するとやはりインパクト大きいですね。

国という制度がある以上,国と国の関係という問題は避けては通れませんが,それとはある程度独立した形で人と人が実際に交流しているということがとても大切なのだと思います。上で書いたのとは別の機会に日中関係が悪化したのでイベントが延期されるというのも体験したこともあり,そういう,個人間の交流(研究だと大学や研究組織間の交流もセットになることが多いですが)の機会やルートが減ってしまうことに対しては強い危機感があります。今だと,SNS上の交流もいろいろありそうなので,チャンネルの数やタイプが増えていっていると良いなと思うのですが。