はじめに
2024年は出版までに時間がかかっていた著書(共著)が無事刊行されたことや、そのほかの書いたものについてもふだんより宣伝したいものが多かったので、主に研究関係で世に出せたものについて簡単に雑感を書いておきます。
書籍
- 乙黒亮・田川拓海『形態論の諸相 6つの現象と2つの理論』くろしお出版.
ようやく刊行することができました。今のところ直接いただいたものの中では「難しいよ」という感想が一番多い気がします(一応それは覚悟の上でこういう内容にしています)。私の専門に近いところからの具体的な評価はまだそれほど聞いていなくてちょっとこわいところです。
後で紹介する個人サイトの方に、この本にチャレンジする前のガイドになりそうなものについてかんたんにまとめましたので気になる方はどうぞ。
論文
これもだいぶ長い間構想はあったのですが、主にXになってからの変化が急激なことへの危機感が大きくなって慌てて書きました。特に言語研究を中心にした人文系の研究で研究の出発点や前提の整理として使っていただけるかなと思います(意外とこの辺りのことを自分でまとめるのは大変そう)。
研究発表
指導学生の研究が中心ですが、生成AIと日本語のライティング評価は大学での担当教科や業務に大きく関わることでもあり、研究としての関わりも持てたのは大変良かったです。でも技術的にも研究的にも進展が早くて追いかけるのが大変です…
- 田川拓海「ゲームと言語の研究を考える:ゲームの言語学は(どのように)できそうか」第1回ゲームと言語研究会.
なかなか論文化できていませんが、研究としては少しずつ進められてはいます。第2回の研究会も目処が立ちましたのでまた告知します。
北海道大学開催で、Snow Manやback numberのライブとバッティングしたことで交通や宿泊が大変だった学会の1つです。大会運営委員の方の業務が元々大変な上にトラブル続きでものすごくしんどかったので、このワークショップができたことが救いになりました。上で紹介した共著書の宣伝も兼ねているので、資料を見ると阻止 (blocking) の章の内容が少し分かるかもしれません。しかし日本言語学会で英語のセッションで日本語が第1言語でない発表者の司会になること自体がかなりレアケースなのにそれに機械トラブルが重なるなんてどんな運の悪さなのか。
- 田川拓海「モダリティ形式「方がいい」の形態統語的特徴」日本語文法学会第25回大会.
九州大学開催。キャンパスが新しくなってからはじめて行きました。実は日本語文法学会ではパネルセッションでばかり参加していて研究発表ははじめてでした。久しぶりにお会いできた方も、思いがけずお話しすることができた方も多く楽しかったです。お一人お一人とはなかなかゆっくり話す時間がありませんでしたが…研究発表の方はつっこみどころがたくさんあったからかたくさん質問・コメントいただけて嬉しかったです。ここまで理論面が背景化した発表をするのはかなり久しぶりだったのですが、理論的前提はある程度整理しておいた方が良かったなというのが反省点です。聴衆として参加した発表も面白かったので別に参加記を書くかもしれません。
個人サイト
少しずつ作っていたものなのですが、ある程度の内容が出揃ったのは今年です。
個人的なおすすめコンテンツは下記の辺り(形態論の本の紹介は上に載せたものと同一です)。自分の研究の説明とかもあるといいのでしょうけれど手が回っていません。
ブログにある読書案内も、今後更新するものについては個人サイトの方に移すことを考えています。もちろんその場合にはブログの方に告知します。
ブログ記事
個人的に思い入れがある記事は下記の辺りです。
- Obsidianでアステリスクをそのまま表示させる(Pandocのエクスポート結果付き) - 誰がログ
- さようならドコモ - 誰がログ
- 小学校雑感(ランドセルのこととか) - 誰がログ
- 文転?の思い出 - 誰がログ
- 0で割る割り算の思い出 - 誰がログ
- 西武ライオンズの略称の形成を考える - 誰がログ
- 研究倫理と学校教育について少し気がかりなこと - 誰がログ
おわりに
今年はお仕事でもけっこうヘビーな業務が多かったです(思い出したくないので振り返りません)。さいきん上の世代の先生方が立て続けに退職を迎えたこともあって、今後も大変になる未来しか見えませんが研究面では面白いこともいろいろあるのでなんとか継続したいですね。個人的には(デジタル)ゲームに関する研究を本格的に軌道に乗せたいのですが苦戦しています。