岸本秀樹・臼杵岳・于一楽(編)『構文形式と語彙情報』に「動詞化形態の分布とル動詞のRoot派生分析」という論文を書きました。ル動詞っていうのは「愚痴る」とか「タピる」とかそういうタイプの動詞のことです。
目次は開拓社のページから確認することができます。
日本語文法学会第22回大会(2021年)のパネルセッションでやった発表をベースにしています。データはそこまで増やせませんでしたが、理論的分析の詳細とそれを支える経験的議論についてはけっこう整理できたかなと思います。
発表時には少ししか触れられなかったル動詞がなぜ俗語性を帯びるのかという問題についての回答も一応クリアにしてあって「ル動詞は一番基本的な語彙の単純和語動詞に色んな面で似ている(けど違う)のでかえってニセモノ感が出る」みたいな仮説が推したいポイントです。私の分析だとル動詞間でも俗語っぽさに差が出ることを予測するのでそれを計量的に検証するっていうのにも着手していたのですが締め切りに間に合わずそのパートは今回の論文には含めていません。コーパスや計量関係の技量の低さを痛感しました。