誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

大学のオンライン化と保育園の休園

東京都江東区に住んでいるのですが,緊急事態宣言への対応として,江東区では今日からGWまで保育園が原則休園です。うちでも4歳児を預けていたので,今日からしばらく家で一緒に過ごすことになります。

大学は今いわゆる「オンライン化」に追われていて,筑波大学は授業の開始は4/27日(月)まで延期されましたが,もちろん仕事の量はむしろかなり増えていますので,保育園が休園の状態で乗り切れるかは控えめに言っても不安しかありません。

やってみないと分からないところもありますが,4歳児が家にいて在宅勤務というのはほぼ成り立たないでしょう。今回のような事態でなければ長時間どちらかがどこかに遊びに連れて行くという手がありますが,外出自体を控えるというのがそもそも今回の措置の大きな目標ですから,それもできません。

大学で授業を持っている方は,授業の「オンライン化」の対応に追われている方が多いと思いますが,私自身は実は自分の担当科目の授業準備はほとんど始められていません。大学内部のオンライン化対応の委員やチームに入ることになったからです。

私は筑波大学で授業や委員を担当している所属教育組織が4つあります。人文・文化学群人文学類(学部),教育研究科(院,修士課程のみ),人文社会科学研究科(院,修士・博士課程),グローバルコミュニケーション教育センター(いわゆる「語学」教育に関わる組織)の4つです。そもそもそれぞれでいろいろ委員等があるので仕事の量が膨れ上がるのですが,今回はこのうちの3つの組織でオンライン化の業務に関わっています。

この週末は,ほぼ非常勤講師の先生方向けの基本方針に関する説明の文書とマニュアル等を作っていました。もちろんこれも子育ての間をぬってですから,なかなかスムーズには進みません。

私がオンライン化対応において担当している仕事の量は組織によってまちまちでほかの教員にかなり任せっきりのところもありますし,ノウハウや作成した資料・文書は応用もできます。それでも,組織ごとの事情などもあって,全体としてはなかなか時間を取られています。ややこしいのは,私の関わっている学部と院が教育組織としてけっこう独立しているところでしょうか。この辺りの事情の説明はややこしいのでこれ以上しませんが…

そんな対応チームとか作るから仕事が増えるんであって,各教員に「オンライン化してね」って言って個別にがんばってもらえば,と思うかもしれませんが,そうするとたぶん結局若手の教員とか院生に個人的な「手伝いのお願い」が行くことになるので良くないのではないかと思います。

2年ぶりに科研費が採択されたのですが(基盤C),しばらくはほとんど動けなそうです。今回の事態で,「若手」を中心に,特にコンピューターに詳しい教員が疲弊するケースが多く発生するのではないかと思います(そもそもふだんからただでさえ…)。「疲弊」ですめば良いのですが,直接健康に影響があったり,数年引きずるような大きなダメージを負ったりといったことも出てくるのではないでしょうか。これでもまだそれほど悲観的な見方とは思えません。生命を脅かすのはCOVID-19だけではないので,少しでも良い方向に向かえば良いのですが。

ブログのカテゴリーに「COVID-19」を作りました

これからもそこそこ書くことがありそうだなと思ったのと,自分で記事を探すときに便利なので,ブログのカテゴリーに「COVID-19」を作って,ひとまず既存の記事を追加しておきました。

dlit.hatenadiary.com

大学のオンライン授業対応に関する情報の共有とかもこちらで,と考えてはいるのですが,今までよりさらに仕事の方に時間を取られそうなので厳しい気もしています。

ゼミの運営にLINEを使う時に気をつけていること

はじめに

2018度末に下記のような記事を書きました。

dlit.hatenadiary.com

2019年度も引き続きLINEをゼミの運営に使って今後しばらくこれで良いかなと考えているのと,さいきんの状況的に導入を考えている教員もいるのではないかと思って使い方についてもう少し書いておきます。

上の記事にも書いてあるのですが,人文社会系(言語学)の教員で,理工系で言う「研究室」的な仕組みはありません(構成員は私と学部生のみ,院生のサポート等はなし)。ゼミに参加している人数は,2018年度:2人,2019年度:6人,2020年度:4人です。

なぜLINEか

LINEの最も大きな利点は,ほとんどの学生(今はすべてと言っても良いかも)が使い慣れていて,身近ということです。つまり,導入のために説明の時間を取ったり,マニュアルを配布するという必要がほとんどありません。利用頻度や使える機能の数などに差はあるかもしれませんが,メッセージングサービスとしての基本的な機能の使用には問題がないでしょう。

これは,今の状況下では,むしろLINEにする理由としては弱いのかもしれません。授業の配信や大学側との連絡のために教員も学生もZoomやMicrosoft Teams,Slackといったコミュニケーション用のサービスを全員が使えるような状態にするところが多いでしょうから,ゼミもそちらでやることにすれば,導入のためのコストは例年より低くなるところが多いのではないでしょうか。少なくともしばらくは対面式のゼミはやめてビデオ会議にしたりテキストでの連絡を増やしたりするところが多いでしょうから,下に書いてあるような補助的な相談・質問だけでなくゼミの代替としての機能を考えると,やはりSlack等を導入するのが良いかもしれません。

私のゼミでも,学部の授業等でMicrosoft Teamsを使う準備をしているので,ゼミでもLINEと平行して使うようやり始めたところです。Microsoftとは大学が包括契約を結んでいるので,サインアップをすでに済ませてあった学生もいましたし,そうでない学生もすぐに対応してくれたので比較的すぐにゼミのメンバーでチームを立ち上げるところまではできました。

ただ,ゼミに所属する(学位論文に関して指導関係のある)学生とはおそらくいくつかの連絡手段があった方が良いでしょうから,メインで使わないにしても必要な時にLINEで連絡が取れるような状態にしておくという選択肢はあるのではないでしょうか。

LINEの使い方

さて,実際の使い方として気をつけるところです。

使用と使い方について事前に説明する

ゼミの最初のガイダンスの際に,LINEを使ってゼミの連絡をして良いかどうか必ず確認しています。身近さというのは,LINEをゼミの連絡に使う際の難しいポイントでもあります。私の使い方では,比較的長いメッセージを連投することもありますので,そういうのがふだんのコミュニケーションに入ってくることが学生にとって良いかどうかは聞いてみないと分かりません。私が聞いた範囲だと,今はゼミに限らずいろいろな括りでのグループLINEがあって事務連絡的なものも少なくないのでそれほど違和感はないという感じの意見が出ましたが,確認はした方が良いと思います。

また,これから書くような具体的な使い方についても,事前に明示しておいた方が良いでしょう。もちろん,ゼミの雰囲気や条件の変化,メンバーからの要望等に応じて修正していって良いと思います。

必ず返信しなくても良い

これは今はほかのサービスでも採用しているものが多いでしょうが,LINEのメッセージングサービスとしての利点の1つに,返信しなくても「既読」が付けば届いたことが確認できるということがあります。もちろん,既読状態になったからといって必ずしもちゃんと読んだとは限りません。ただ,重要な連絡をメールで送って学生の返信を待ち続けるよりは,「返信しなくて良いから既読は付けて」という形にしておいた方がずっと楽です。

できるだけグループに投稿する

たとえば,研究に関する相談や個別のアポの調整等も,一対一ではなくグループの方でやりとりするようにお願いしています。

自分の研究とはかなりテーマが違うほかの学生と教員のやりとりが意外と勉強になったり,教員や学生が提供した文献の情報が,実はほかの学生にとっても有用だったということはけっこうあります。また,アポの調整は個別にやるより,まとめてやった方が調整しやすいです。たとえば「書類にハンコください」的なやつだとまとめるのが簡単ですし,忘れている学生へのリマインダーにもなります。

進捗報告自体はゼミでやるのですが,こういう簡単な質問や情報の提供でも他の学生の進捗が見えますので,良く言えば自分のペースをつかむきっかけになりますし,プレッシャーになるというきつさもあります。また,こういう使い方だと自然とグループのメンバー一人一人に送られるメッセージの量もかなり多くなりますので(少人数だからできているのかも),メンバーがそういったことをつらいと感じたら調整しても良いのではないかと思います。

どうしてもほかの学生にはオープンにしにくい相談というのもありますので,一対一のやりとりもOKにはしています。ただ,もちろん内容にもよりますが,私はできる限り一対一のやりとりは少なくするようにしています。下の話題にも書いたように,適切な距離感の確保のためです。

スタンプや絵文字は使うか

私は,スタンプや絵文字は基本的には使わないようにしています。私は使うとなんか距離感が保ちづらい気がするからです。ちなみに,学生の方のルールは特に提示しません。私が使わないと使いにくいのか元々なのか使わない学生もいれば,けっこう使う学生もいます。こういうコミュニケーションにおける距離感は,対面だって学生によりますので,特にどちらが良いということはありません。

別にレア感を演出しているわけではないのですが,もう距離感にそれほど敏感にならなくても良いタイミング,たとえば卒業のメッセージを送る時なんかには使うこともあります。

そのほか,個人的に気をつけていることなど

デスクトップ版も導入しておく

研究の相談で文献の情報をコピペしたり比較的長い文章を書いたりファイルを送ったりするので,デスクトップ版をコンピューターに入れておくと便利です。

誤爆

私はゼミの所属学生とあとは家族関係ぐらいとしかLINEでやりとりをしないのですが,それでも誤爆はたまにしてしまいます。多くの人とやりとりをしているとその可能性が増えそうな気がするのですが,慣れている人はあまり誤爆しないのでしょうか。

ゼミのグループに「今日は○時に帰ります。牛乳買っていった方が良いかな」と投下するぐらいだったらほのぼのして終わりかもしれませんが学生は反応に困りそうです。一応,「送信取消」という機能はあるのですが,学生の既読が付くのはだいたい早いので…

おわりに

あくまで私の使い方ということで,参考程度に。研究分野や,ゼミのメンバーの数や,どういうゼミにしたいかなど,いろいろな条件によっていろいろな使い方があるでしょう。重要なのは,学生との連絡をできるだけ負担なく保ち続けるということですので,学生も含めて使い方について随時調整するのが良いのではないかと思います。