誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

ゼミの運営にLINEを使う時に気をつけていること

はじめに

2018度末に下記のような記事を書きました。

dlit.hatenadiary.com

2019年度も引き続きLINEをゼミの運営に使って今後しばらくこれで良いかなと考えているのと,さいきんの状況的に導入を考えている教員もいるのではないかと思って使い方についてもう少し書いておきます。

上の記事にも書いてあるのですが,人文社会系(言語学)の教員で,理工系で言う「研究室」的な仕組みはありません(構成員は私と学部生のみ,院生のサポート等はなし)。ゼミに参加している人数は,2018年度:2人,2019年度:6人,2020年度:4人です。

なぜLINEか

LINEの最も大きな利点は,ほとんどの学生(今はすべてと言っても良いかも)が使い慣れていて,身近ということです。つまり,導入のために説明の時間を取ったり,マニュアルを配布するという必要がほとんどありません。利用頻度や使える機能の数などに差はあるかもしれませんが,メッセージングサービスとしての基本的な機能の使用には問題がないでしょう。

これは,今の状況下では,むしろLINEにする理由としては弱いのかもしれません。授業の配信や大学側との連絡のために教員も学生もZoomやMicrosoft Teams,Slackといったコミュニケーション用のサービスを全員が使えるような状態にするところが多いでしょうから,ゼミもそちらでやることにすれば,導入のためのコストは例年より低くなるところが多いのではないでしょうか。少なくともしばらくは対面式のゼミはやめてビデオ会議にしたりテキストでの連絡を増やしたりするところが多いでしょうから,下に書いてあるような補助的な相談・質問だけでなくゼミの代替としての機能を考えると,やはりSlack等を導入するのが良いかもしれません。

私のゼミでも,学部の授業等でMicrosoft Teamsを使う準備をしているので,ゼミでもLINEと平行して使うようやり始めたところです。Microsoftとは大学が包括契約を結んでいるので,サインアップをすでに済ませてあった学生もいましたし,そうでない学生もすぐに対応してくれたので比較的すぐにゼミのメンバーでチームを立ち上げるところまではできました。

ただ,ゼミに所属する(学位論文に関して指導関係のある)学生とはおそらくいくつかの連絡手段があった方が良いでしょうから,メインで使わないにしても必要な時にLINEで連絡が取れるような状態にしておくという選択肢はあるのではないでしょうか。

LINEの使い方

さて,実際の使い方として気をつけるところです。

使用と使い方について事前に説明する

ゼミの最初のガイダンスの際に,LINEを使ってゼミの連絡をして良いかどうか必ず確認しています。身近さというのは,LINEをゼミの連絡に使う際の難しいポイントでもあります。私の使い方では,比較的長いメッセージを連投することもありますので,そういうのがふだんのコミュニケーションに入ってくることが学生にとって良いかどうかは聞いてみないと分かりません。私が聞いた範囲だと,今はゼミに限らずいろいろな括りでのグループLINEがあって事務連絡的なものも少なくないのでそれほど違和感はないという感じの意見が出ましたが,確認はした方が良いと思います。

また,これから書くような具体的な使い方についても,事前に明示しておいた方が良いでしょう。もちろん,ゼミの雰囲気や条件の変化,メンバーからの要望等に応じて修正していって良いと思います。

必ず返信しなくても良い

これは今はほかのサービスでも採用しているものが多いでしょうが,LINEのメッセージングサービスとしての利点の1つに,返信しなくても「既読」が付けば届いたことが確認できるということがあります。もちろん,既読状態になったからといって必ずしもちゃんと読んだとは限りません。ただ,重要な連絡をメールで送って学生の返信を待ち続けるよりは,「返信しなくて良いから既読は付けて」という形にしておいた方がずっと楽です。

できるだけグループに投稿する

たとえば,研究に関する相談や個別のアポの調整等も,一対一ではなくグループの方でやりとりするようにお願いしています。

自分の研究とはかなりテーマが違うほかの学生と教員のやりとりが意外と勉強になったり,教員や学生が提供した文献の情報が,実はほかの学生にとっても有用だったということはけっこうあります。また,アポの調整は個別にやるより,まとめてやった方が調整しやすいです。たとえば「書類にハンコください」的なやつだとまとめるのが簡単ですし,忘れている学生へのリマインダーにもなります。

進捗報告自体はゼミでやるのですが,こういう簡単な質問や情報の提供でも他の学生の進捗が見えますので,良く言えば自分のペースをつかむきっかけになりますし,プレッシャーになるというきつさもあります。また,こういう使い方だと自然とグループのメンバー一人一人に送られるメッセージの量もかなり多くなりますので(少人数だからできているのかも),メンバーがそういったことをつらいと感じたら調整しても良いのではないかと思います。

どうしてもほかの学生にはオープンにしにくい相談というのもありますので,一対一のやりとりもOKにはしています。ただ,もちろん内容にもよりますが,私はできる限り一対一のやりとりは少なくするようにしています。下の話題にも書いたように,適切な距離感の確保のためです。

スタンプや絵文字は使うか

私は,スタンプや絵文字は基本的には使わないようにしています。私は使うとなんか距離感が保ちづらい気がするからです。ちなみに,学生の方のルールは特に提示しません。私が使わないと使いにくいのか元々なのか使わない学生もいれば,けっこう使う学生もいます。こういうコミュニケーションにおける距離感は,対面だって学生によりますので,特にどちらが良いということはありません。

別にレア感を演出しているわけではないのですが,もう距離感にそれほど敏感にならなくても良いタイミング,たとえば卒業のメッセージを送る時なんかには使うこともあります。

そのほか,個人的に気をつけていることなど

デスクトップ版も導入しておく

研究の相談で文献の情報をコピペしたり比較的長い文章を書いたりファイルを送ったりするので,デスクトップ版をコンピューターに入れておくと便利です。

誤爆

私はゼミの所属学生とあとは家族関係ぐらいとしかLINEでやりとりをしないのですが,それでも誤爆はたまにしてしまいます。多くの人とやりとりをしているとその可能性が増えそうな気がするのですが,慣れている人はあまり誤爆しないのでしょうか。

ゼミのグループに「今日は○時に帰ります。牛乳買っていった方が良いかな」と投下するぐらいだったらほのぼのして終わりかもしれませんが学生は反応に困りそうです。一応,「送信取消」という機能はあるのですが,学生の既読が付くのはだいたい早いので…

おわりに

あくまで私の使い方ということで,参考程度に。研究分野や,ゼミのメンバーの数や,どういうゼミにしたいかなど,いろいろな条件によっていろいろな使い方があるでしょう。重要なのは,学生との連絡をできるだけ負担なく保ち続けるということですので,学生も含めて使い方について随時調整するのが良いのではないかと思います。