先のエントリにいただいたコメントにお答えする形で少しおまけで書いてみます。良い補足(言い訳)ができる機会だと思いましたので。
- エントリ:【研究ノート】「ファイナルファンタジー」シリーズにおける魔法名の形態論的記述に向けて - 誰がログ
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フルケアはケアルの発展形か否か
はてなブックマーク - migrant777のブックマーク / 2015年9月29日
この例はちょっと気になりましたが、うまく話に組み込めなかったので触れませんでした。他の魔法名にも出てくると面白いのですが。「フル」自体から意味が推測できるということもあって屈折というよりは派生か、複合語形成に近いような印象を持ちました。
おもしろい。スロウ→ラスロウとスロウ→スロウガの二系統がある件についてはどう考察してるのだろう。
はてなブックマーク - wata300のブックマーク / 2015年9月29日
この「ラ」については「ラ-ヒー-ラ」という例もあることですし 《威力》の屈折接辞が接頭辞として現れる例というのも考えたのですが、効果が行動速度の減少ではなくヒット数の減少なので、《威力》の変化ではなく魔法効果自体が変わっている(本文で言うところの派生接辞)と考える方が良いかなどと迷ったので言及しませんでした。ただ形は同じなのでやっぱり気になります。
この分析、いわゆるStrong or Weak Lexicalist Hypothesisの論争にも寄与しそうな気がしないでもなく。Optimality theoryのアプローチ取るとどうなるのでしょう。
はてなブックマーク - Cunliffeのブックマーク / 2015年9月29日
派生と屈折の区分の難しさ(連続性)という話にできるなら、Strond/Weak Lexialist(を含んだ形態論の大きな争点)につながってくるかと思います。
魔法名の出力形についてはいくつかの制約があってその組み合わせの中で具現の仕方にバリエーションがあるような印象を持ちましたので、OTだと分析できるものがけっこうあるのではないかと期待しているのですが、自分でタブロー書いて分析するところまで行けませんでした(力量的に)。
Wikipediaにも似た内容の記事があるね。ファイナルファンタジーシリーズの魔法形態 - Wikipedia
はてなブックマーク - nkgwsyのブックマーク / 2015年9月30日
この項目は調べていませんでした、ご指摘ありがとうございます。DQの呪文名(「ヒャダイン」の話)の時にも少し書いたのですが、分析の基本的なアイディアはどこかで言及されていることがほとんどですね。
是非ウィザードリィのトゥルーワードや女神転生シリーズの形態論もやってほしい。
はてなブックマーク - IndigoHawkのブックマーク / 2015年9月30日
ウィザードリィ、女神転生シリーズは自分で通してプレーした作品がないので、なかなか手が出せないでいます。トゥルーワードについてはすでに詳細な分析もけっこう見られますし。データは手に入りやすいのでそのうちやりたいとは思っています。
自然言語には存在しない4文字(4モーラ?)制約がある(あった)からなぁ
はてなブックマーク - masakihのブックマーク / 2015年9月30日
おそらく(特に当初は)文字数制限もかなり重要なのだろうと思いますが、現代日本語(共通語)のいくつかの語形成(短縮や複合語短縮など)では出力形が2〜4モーラに収まるという傾向があることが知られているので、そういう自然言語上の性質が影響していると面白いなと思います。ただ、本文で言葉を濁しているようにこういう制約は(少なくとも日本語では)屈折にはあまり働かないようですので、どう考えればいいか悩んでいます。
ここで触れた語形成の性質については以下の本が例も豊富でわかりやすくおすすめです。
- 作者:窪薗 晴夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/07/08
- メディア: 単行本
威力最大は「-ジャ」で5モーラ。FFTで-ガの後続であることが示され、FF8にグラビジャが登場している。コンフジャやバニシガの例から単なる表記ゆれみたい。せんべいならセンベガみたいに語呂の良さで適当か。
はてなブックマーク - omegaizのブックマーク / 2015年9月30日
「-ジャ」については、今回の考察範囲ではほとんど生産的な形では出てきませんので触れませんでした。ただ考察対象に入れたとしても「-ジャ」が一般的な拗音であるとすれば1モーラなので音(韻)の単位として見ると「-ラ」「-ガ」などと同じように扱って良いかと思います。