誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

「ら抜き」の記事に関してnano_hさんにおこたえ

 おこたえというほどのものではないのですが、言及していただいたので私の記事について補足というか少し裏話的なものを。

 上記記事にもリンクがありますが、私が書いたものはこちら

毎日の記事に肯定的に言及した理由

 ちょっとひどい言い方ですが、毎日の記事を「良い記事」だとしたのは、まったく期待していなかったからというのが大きいです。
 (私の観測範囲では)そもそも新聞等のメディアは規範に厳しい傾向があり、毎日新聞については校閲のアカウント(https://twitter.com/mainichi_kotoba)はまさにことばの規範形成・維持に寄与するメディアの活動の一つだよなあという印象もあったので*1、「毎日新聞に「ら抜き」の記事」という点で「あー「ら抜き」市民権を得たけどどうなの」みたいな論調なのかな」と思いながら読み始めたのですね*2(勝手でひどい話です)。
 そうしたら、規範については緩めな金田一氏のコメントから始まり、他の2名はどちらかというと規範に厳しめ寄りだと思いますが、それでも「けしからん」みたいな言い方ではなく自身の活動と合わせてどういう点に葛藤があるか具体的に述べていたので私として良い意味で期待を裏切られたのです。この内容なら、こういう問題(の具体的な議論)にあまりなじみがない人にとっては考えるよいきっかけになったのではないかと感じたので「複数の立場からの見解を丁寧に載せていて良い記事である」と評しました。

金田一氏のコメント

 nano_hさんもいくつかつっこんでいますが、金田一氏のコメントは言語学の専門家としてみるとかなりざっくりしています。日本語学概論、言語学概論の授業でちょっと取り上げて話す内容としてはおそらくあんな感じになるだろう、ぐらいの印象です。
 ついったーにも書きましたが、こういう話題を取り扱うなら井上史雄氏のような社会言語学の専門家に話を聞いてほしいところです。井上氏は新書も色々書いていて一般的にもかなり通りがいいかなと思っているのですが

新・敬語論 なぜ「乱れる」のか (NHK出版新書)

新・敬語論 なぜ「乱れる」のか (NHK出版新書)

がもっと早く出ていたらそういう可能性もあったのでしょうか。

毎日の記事につっこまなかった(もう一つの)理由

 正直言うと、つっこみたいところは色々あって最初はそういうスタイルで下書きを書いていたのですが、途中でめんどくさくなったのと記事がかなり煩雑になりそうだったので、内容には言及せず引き合いに出して自分の書きたいことを書くというスタイルにしました。さいきんは丁寧に書きすぎて記事をお蔵入りにするよりはこういうざっくりした言及のしかたでも何か書く方がいいかなと思っているのですが程度によりますね。

*1:おもしろい情報もありますけど。

*2:なので、nano_hさんが指摘している「書き手(記者)の意見」を出すと規範寄りになるのではないかといのが私の邪推です。