誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

人文系でも大学・研究者周りは女性がそんなに多くない気がする

 タイトルの通りです。下記のような記事絡みで「理系はそもそも男性が多いから」という話が出てくることがあると思うのですが,

www.asahi.com

私の体感だと大学・研究関係では人文系でも女性はそんなに多くないなあという実感があって,もやもやしています。以前,下記のようなコメントもしていました。

会議に男性が多い

 私は大学では人文系の学部,大学院,あと教育研究科などに関わっていて関連の会議に出るのですが,男性が多くて女性もそれなりにいるよとは言えない比率だと思います(多いところだと4分の1は超えてるので理工系に比べれば多いのでしょうか)。私の関わるところだけたまたまそうなのかもしれませんし,これも組織・分野で違いがあるのでしょうけれど。

 学会の委員会でも同様のことを感じます。日本語教育学会のように女性が多いところもあったりしますし,日本英語学会の現会長は伊藤たかね先生だったりということはありますけどね。

背景?

 ジェンダーに関する議論で「リスキーな人生の選択(夢を見ること)が男性に許されがち」みたいな話があったと思いますが,少なくとも私に関して言えば大学院の頃は女性の院生ってもっといたんですよ。なので上のブコメに書いたように「減った」という感じがします。

 博士号を取得した人やいわゆるテニュア(専任,任期なし)の大学教員ポストに就いている人ですら,女性であるというだけで結婚や出産を期に研究や仕事を辞めることをすすめられるというケースを複数知っていまして,こういうのが関係していそうかなと。

 一方で,大学教員は今の5, 60代の男性でも若い頃がんがん育児やってたりという人もいて育児周りのことには理解や配慮があったりという経験もしました。でもものすごくひどいマタハラ・セクハラの事例(退職に追い込まれるレベル)もそれなりに聞きますので,かなり人によるというところが大きそうです。だいたいの組織はそうなんでしょうか。

査読は分野外の人にとって1つの良い目安(今のところ)

 件の関連記事とか私が書いた下記の記事に対する反応を見てちょっと考えたことを整理しておきます。

dlit.hatenablog.com

dlit.hatenablog.com

専門の論文は良し悪しを効率よく判断できる

 査読に代表されるチェック制度がない場合の困難として,論文の良し悪しが事前にある程度判断できないという点が挙げられると思います。

 もちろん内容をじっくり読まないと判断できない論文もたくさんある訳ですが,「そもそも検討に値しない」「(その分野における)学術論文の水準に達していない」ものに時間を割くのはできるだけ避けたいですよね。

 たとえば私の場合,言語学の生成文法系の論文であれば,アブスト,例文,樹形図,引用文献リストをざっと見ればそこそこの水準でフィルターをかけることができるのではないかと思います。

 でも,自分の専門から遠い研究領域の論文は言語学のものですら判断に時間がかかります。紀要論文だと一目見て「この論文を書いたのは誰だあっ!!」が頭に鳴り響くレベルでひどいものもたまーにありますけどね。

 そう考えると,査読のようなチェック制度は,その分野の研究者にとってはそれほど必要もないのに手間はやたらかかるものに感じることもある一方,分野外の人にとってはある程度ダメ論文をはじいてくれるフィルターとして助かるものだという気がします。たとえば自然言語処理(基本的に工学)の研究者が言語学の論文を探さなければならない場合とか。

 ちなみに,下記の記事で紹介している授業では最初論文はどんな媒体でもありにしていたのですが,学生があまりにアレな論文をレビュー対象にするケースがあったので現在基本的には査読付き論文誌を対象にすることにしています。

dlit.hatenadiary.com

人文系では文献を探すのも研究能力

 これも一概に言えないことだと思うのですが,人文系の少なくない分野では「探しにくい文献を探すのも研究能力の1つ」だという考え方があると思います。

 もちろん探しにくい文献を研究会や学会で他の研究者に教えてもらうこともあるわけですが,それほど知られていない論文集に掲載されている論文とか本のタイトルや目次からは分からないような一節とかを探せたり知っていることが研究能力として評価される。

 研究者同士で話をしていると「もっと分かりやすいところに書いてほしいよねー」みたいなやりとりは珍しくなくてその分野の人も実際には困っていると思うのですが,一方でこういう制度というか文化のようなものがあるので,査読誌の整備とかの優先順位が高くならない(リソースが割かれない)という側面もあるのではないかと感じます。

 でもこれもやっぱり研究分野間の交流の障壁として機能してしまうと思うのですよね。自分の専門がある人はなおさら他分野の文献探しにそれほど時間を割けないでしょうし。理想的にはまずここを探せば良いという位置付けの論文アーカイブが整備されることなんでしょうけれど,現実的には各研究テーマやトピックごとの重要文献リストを簡単にアクセスできる形で作るとかでしょうか(今でも本がその機能を果たしているよと思う人は,分野外の人がその「良い本」にどうやってたどり着けるか考えてみて下さい)。

個人サイトをたたむためにYouTuberデビューした

 ほぼここ10年近くやってないのですけれど,実はこのブログはもともと「フリースタイルフットボール」という趣味が主なコンテンツだったのです。

 フリースタイルフットボールにはサッカー・フットサル,ストリートカルチャー,フリースタイルバスケ,フットバッグ,ジャグリング,等いろいろな要素が入り込んでいて面白いのですが,かなりマイナーなジャンルだと思います。

 ものすごく雑に言うとサッカーのリフティングだけを切り出してパフォーマンスにしたもの,という感じでしょうか。


2007/04/13 Challenge

これは私が撮影して未公開のままだった10年以上前の動画です。おおスリム…しかし最初からいきなり手を使ってますね。まあ実際はかなり何でもありです。

 さて,以前は個人サイトで動画もすべて公開していたのですが,運営が面倒になったのですべてYouTubeに移すことにしました。私の動画はどちらかというと辞書的な側面が強いので知らない人は見ていてぜんぜん楽しくないでしょうが,意外と資料的価値があると思うので…用語集もいずれどこかに移したいんですけど,手間がかからないところとなると考えどころですね。