誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

在宅勤務+育児+オンライン化(サポート)+委員会+…

まじムリっす。

しごとに使える時間は実質3分の1ぐらいに感じる。そもそも今年度は通常業務でもヘビーな委員とかあって大変なんだったというのを痛感中。私の状況については下記など参照。オンライン化で授業準備が大変!という段階にそもそもまだたどり着けてないっす。みなさんどうしてんすか。

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ところで中村桃子氏の『新敬語「マジヤバイっす」: 社会言語学の視点から』,マジ楽しみっす(未読)。

この「っす」について考えるときはいつも2002年の言語学会夏期講座の授業で金水敏氏が話題にしていたのを思い出すっす。たしか日本語文法(上級)の授業。

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大学の「オンライン化」と学費についてちょっとだけ

はじめに

COVID-19への対応として全国の大学で授業等の「オンライン化」が進んでおり,実際に授業が始まったところもあります。良かったという声もなくはないですが,おそらく準備に時間が取れなかったというようなことが大きく,やはりどこも大変そうです。筑波大学も4/27日に授業が始まりますが,今後さらにいろいろな大学で授業が始まると様々なトラブルや問題が出てくると思います。

さいきん学生が学費の免除や返還を希望しているという話を見かけることが多くなりました(大学教員でも似た意見を持っている人はいると思います)。下記の記事もその1つですが,この記事では学費の返還についてはそれほど踏み込んでおらず,むしろ現状の問題や検討されている支援について具体的に触れていますね。

www.asahi.com

下記の記事では学生の経済状況の悪化について報じています。今は遊ぶためとかではなく生活費や学費のためにバイトしている学生も多いと言われます。また,仕送りで学生生活を送っている学生も,今後COVID-19の影響によって親の経済状況が悪化しうまくやっていけなくなるなんてことも予想されます(すでに起こっているかも)。

www.jiji.com

学費の話

実際に学費の免除や返還を求める理由にはいろいろあるのではないかと思いますが,今回は授業の「オンライン化」が特にインパクトが大きいせいか(急ごしらえの)オンライン化による授業の質の低下と結びつけて語られることもあるようです。

上の朝日の記事でも触れられていますが,オンライン化と学費の免除や返還は結び付き得ます。ようやく大学側による学生の通信環境の把握などが進み,また大学がWiFiルーターのレンタルなど通信機器・環境をサポートするという話も進んできましたが,大学が当初オンライン化の方針を打ち出したぐらいの段階では学生に「オンラインで授業を受ける環境を整えておくこと(が望ましい)」のような通知を出していたので,早めに対応して予定になかった機器を購入したり通信サービスを契約したなんて学生もいそうです。そういう事態に対してサポートを求める声が出るのは当然かと思います。

大学入学後も教科書の購入等出費はいろいろあるのですが,今回の「オンライン化」によるものは入試を受ける時点や入学手続きをする時点では予測できなかったでしょうから,学生にとっては予想外過ぎるでしょう。

授業の形態が急に変わり大学や教員がそれに十分対応できないというところももちろん問題なのですが,私は図書館等の大学にある施設や設備が使えない(これは地域によって違うでしょうが)のにフルで学費を要求して良いのかというところが気になってしまいます。人文系にとってはやはり図書館の問題が深刻だと思うのですが,その大学や研究室にある設備でしか実験できない分野とかかなり厳しいのではないでしょうか。これは大学や,学部や,学年によっても違うと思いますが,授業よりも深刻な学生はいると思います。

ただ,大学はもうこれでもかというぐらいお金も人も減らされてきました(今も減らされ続けている)ので,実際に学費を返還するというのは相当厳しそうです。あしなが育英会から支援の話が出ていますが,国からも具体的なサポートが必要な状況だと思います。

news.tbs.co.jp

大学がLMSや関連するサービスを整備しておくベきだったとか,資料をもっとデジタル化しておくべきだったとか色々問題はあり,今後これをきっかけに整備が進むと良いなと思うのですが,それは大学や研究者に責任があるはずです。また,今回問題が指摘されている大学以外の環境(たとえば色んな書類に押印が必要とか)についても,それを作り上げてきたのは基本的に学生より上の世代の「大人」たちで,学生に責任のようなものはないか0ではないにしてもずっと小さいのではないでしょうか。

学生の行動

私は,このような状況で学生が署名を集めたりデモを行ったりという行動をするのは好ましく思います。「さいきんの学生」について,「自主性がない」とか「自分で考える力がない」とか思っていたり言っている人は,こういう学生の行動は評価しますよね?

もちろん自主的に行動するとか自分で考えるということと,その行動の内容や方法が適切であるかどうかという話は別です。しかしその行動が適切でない場合,大学教員という立場で学生に接するのであれば理を用いて理由等を説明するべきで,(愚痴るぐらいならまだ気持ちは分かるのですが)SNSで揶揄したりするのはどうかと思います。

これは大学に限った話ではないのですが,「(実質的に)自分の許容する範囲での自主性や自由しか認めない」というのは私は好きではありません。

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授業用音声付きスライド作成の記事を書いた背景,あるいは心配

昨日下記のような記事を書きました。

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記事中では少ししか触れていませんが,この方法の利点として,学生への負担軽減ということがあります。学生の置かれているさまざまな状況・環境に比較的広く対応できると言い換えてもいいかもしれません。

まず,いわゆるオンデマンド型であることによって,学生が学習時間を柔軟にコントロールすることができます。たとえば,両親が在宅勤務で家族全員に十分なワークスペースがない場合は,日中にリアルタイム配信型の授業に参加するのが難しいというような状況もあるでしょう。オンデマンド型の教材なら,視聴する時間は自分で設定できます。それでも調整が難しい場合もあるかもしれませんが…

また,もちろん内容によるのですが,音声付きスライドは動画よりは通信量に負担をかけないので,通信環境があまり良くなかったり通信容量に制限があるような場合でも授業に参加しやすいと思います。

下のページにまとめてくれているように各社いろいろな支援策を始めていて,大学も独自のサポートをするところもあると思いますが,それでも厳しいという学生はいると思います。

scrapbox.io

教員の方は,そんなこと分かってるよ,前から言われてたでしょ,と思う方が多いでしょう。私が心配しているのは,変化です。状況の変化や認識の変化,そして方針の変化。

現在すでに授業をオンラインで始まった大学がありますが,思ったよりトラブルがあってなかなかうまくいかないということはないでしょうか。試行錯誤してもどうしてもうまくいかない場合は授業の形態を変えるということが必要になるかもしれません。授業が進むと学生からの苦情や相談もいろいろ出てくるでしょう。

また,学生の状況や環境の把握がまだ終わっていないところもあるようです。調べてみたら想定していたより通信環境が良くなくて,リアルタイム配信型は推奨できないという方針が打ち出されるかもしれません。

さらに,学生の置かれている環境や状況も変化する可能性があります。大学側の調査に答えた段階や授業が始まった頃は問題がなくても,たとえばその後親が在宅勤務になったりとか。また,集合住宅などで通信環境が周囲の影響を受ける場合だとそれまでは問題なかったのに通信速度が低下してしまったりとか。

オンデマンド型教材の準備は,内容にもよりますがある程度時間を取られますので,そのような方針転換が必要になる前に少し考えておくと良いのではないかと思います。授業の内容やタイプによっては,どうしてもオンデマンド型に向かないものもありますので難しいんですけどね。私は比較的オンデマンド型でもできるタイプの授業を担当しているので,本当にリアルタイム配信型でないといけない授業にきちんと時間や通信環境を使ってもらうためにもできるやつはオンデマンド型にしておこうと思って準備しています。

そのほかの方法

Googleスライドでも音声付きスライドは作れるようです。

note.com

これはかなり早い段階で公開されていたので見た方も多いのではないかと思いますが,テキスト資料+音声ファイルだと,音声付きスライドよりさらにファイルサイズが小さくなります。

www.gakushuin.ac.jp