内容的には↓の続きみたいなもんです。もうどこかで専門の論文に出てる話かもしれません。また調べてないので。
基本的に借用語(loanwords)で語幹末子音が無声化する(ベッド→ベット)のって、直前に促音がある場合に限られます。
でも、今日ふと思ったんですけど、
- バドミントン→バトミントン
って無声化はありえますよね。今のところこれだけしか思いつかないんですが、促音有りの他のタイプと異なるのは単語(word)末では起こらない、ということです。どういうことかというと、バドミントンは「バド」って略されることがありますが、「バト」にはならない(少なくとも僕の内省では。"*"はダメっていう記号)。
- *バド→バト
他の例(促音有り)では、基本的に語幹末、単語末に関わらず無声化が起きます。
- ベッド→ベット
- ベッドカバー→ベットカバー
ただ、「バド」と促音に関してミニマルペアな「バッド」がどうにも判断が微妙な気がしまして。とりあえず単語の途中で無声化するってのは良いのですけれど、
- バッドエンド→バットエンド
単語末の場合どれぐらい許容されるのかがわかりません。
- バッド(な)→バット(な)
名詞にはならなそうなので単独で単語になる場合を思いつくのがちょっと面倒って要因と、無声化してしまうと野球の「バット」と全く同じ音、表記になってしまうってところもちょっとネックのような気がします。皆さんの判定はどうでしょうか。
で、なんでバトミントンが良くてバトはダメか、ってところなんですけど、[+voice]に関するOCP(obligatory contour principle)*1の多重違反、という可能性を思いつきました。どういうことかというと、
- b[+voice]ad[+voice]om[+voice]inton
なんですよね。つまり、[+voice]の(子音の)要素が三つ出てきてしまっている(=OCPに二回違反している)ので一つが無声化できる*2。一方、「バド」の場合は[+voice]の要素が二つなのでまだ無声化しなくても良い。これを検証するテストとして次の例がどうなるかを考えてみると面白いかもしれません。
- バド部
「バドミントン部」を略して「バド部」という言い方は結構すると思いますが、この「部(bu)」がくっつくことによってまた[+voice]の要素が三つに増えるというわけです。僕の上の仮説が正しければ、これも「バト部」になって良いはずです。皆さんの判定はどうでしょうか。「バト」は気持ち悪いけど、「バト部」だと結構OK、という人が多い、というのが僕の分析の予測するところなわけです。ちなみにgoogle先生の結果はこちら↓
他にもこれと同じ環境を整えられる単語があれば面白いんですけど、どうでしょうねえ。今のところ思いつきません…