誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

工事で気付いた、何かが生まれる日常のスペース(たとえばエレベーターホールとか)

 ふだんは人文社会学系棟という建物に常駐してるんですが、数年がかりで耐震改修工事をやってます。大きい建物なのであとしばらくかかりそうです。
 工事の影響は、引越が大変とか工事中の退避場所がなかなかないとか教室の確保が大変(たとえばプロジェクタがある部屋)とかなんだかんだで音や粉塵が出るとか色々あるわけです。僕は最初の工期に当たったのでもう引越の大変さとかはないのですが、やっぱり色々やっかいです(たとえば今は研究室がある階のエレベーターホールが使えないので台車を使う時は…)。
 そういう事前に想像が付いたものとは別に、これはけっこうな損失じゃないかなと、工事が始まった後に気付いたことがあります。それは、多くの人が日常的に集まる場所が使えなくなることで、多くのつながりが生まれる可能性を失っているのではないかということです。
 具体的にこの建物で言うと2階にあるメインの入り口のエレベーターホールです。
 この建物ではここを利用する教職員、学部生、院生はとても多いのです。しかも人文社会系の研究者・研究室がここに集中しているので、ここのエレベーターホールには様々な分野に関するポスター・お知らせが貼られているのですね。ここでエレベーター待ちをしている間にそういう情報を眺めたり、あるいは他の人とお喋りをしたり。あるいは、エレベーターに乗っている間に簡単な情報交換をしたり。自分がエレベーターを使わなくても(実は僕は階段派なので)誰かをつかまえられる可能性がかなり高い場所、という側面もありました。
 そのような時を思い出すと、この場所は、日常の業務やよく行く研究会以外での出会いやコミュニケーションが生まれる(可能性を提供する)場所として重要な機能を担っていたのではないかと感じるようになったのです。もちろん他にコミュニケーション用のスペースとかイベントとかは色々あるのですけれど、こういう日常の中に組み込まれたスペース・時間というのが意外と重要ということもあるのではないでしょうか*1
 僕はこの建物に10年以上出入りしていますが、それを、工事によって初めて実感したのでした。こういうのも損失の一種ではないかと(たとえば1年とか短期間しかいない研究者というのもいるわけです)。
 このスペース自体はもう使えるようになったのですが、エレベーターが従来2基のところ1基しか使えず、まだあまり人が集まる場所というところまでは戻っていません。早く元の状態に戻ると良いなと思っています。

*1:他の場所で言うと、A棟とB棟の連結部分が工事中で、直接行けないなんてのもこれに該当するかもしれません。