誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

スターやお気に入りの使い方とコミュニケーションについてちょっとだけ

はじめに

 これまでブコメでIDコールをもらった時は,1) IDコール付きでそのままブコメに追記するかメタブで返事,2) 返信が長くなる場合はブログに新しく記事として書く,3) 返信が難しい,時間がかかりそうな場合はとりあえずスターを付けておく(そのままのものもあったかも…),4) 反応のしようがない罵倒等はリアクションせず,のように対応していた気がします。ただそもそもあまりはてブではネガコメ(懐かしい響き)やIDコールをもらった覚えがありません。

https://anond.hatelabo.jp/20181004111110anond.hatelabo.jp

スターやお気に入りの「既読」機能

 さて,上記のブコメにも「読んだ/見たという意味でスターを付ける」というものがいくつかありました。この「既読」としての使い方は,Twitterの「お気に入り」でも見られるものかと思います。私はあまりFacebookでやりとりをしないのですが,あれの「いいね!」はどうなんでしょうか。私の感覚だと単なる既読よりはもうちょっとポジティブな意味合いが強い気がするのですが。

 ただ,ほんとうに純粋な既読マーカーとして使えるかというとやはり「スター」や「お気に入り」のような名前が付いていると難しいですかね。実際,罵倒や誹謗中傷,反応に困るような内容のコメントにはやらないという人もけっこういるのではないでしょうか。

 この手の「お気に入り」系の機能については人によって使い方や受け取る意味合いが違うこともあって,むかしからディスコミュニケーションやトラブルが絶えない気がします。私も “unlike” のような表現絡みで少し書いたことがあります。

dlit.hatenablog.com

 ところで,はてなブログでコメントにもスターが付けられるのは良いですよね。これは私が基本的にコメント放置気味の書き手だからそう感じるのでしょうけれど。

コミュニケーションとの関わり

 コミュニケーションを詳細に分析する上では,このような「お気に入りに入れる」系の操作も(日常会話の分析で身振り手振りや視線が分析対象になるように)考慮しなければならないのかなあということを以前からぼんやりと考えているのですが,どうデータを取るかがなかなか難しいというところがあります。

 平本 (2008)では「コンピューターを介したコミュニケーション (Computer-Mediated Communication: CMC)」の分析の手法として「視線を画面に」や「マウスを動かす」といったコミュニケーションの参加者の行為までを記述・分析の対象にすることを提案・検討していますが,実際やるとなるとかなり大変そうです。

 CMC研究はこういうサービスやツール独特の機能の取り扱いにいろいろ悩まされるのですよね。たとえばLINEのスタンプも言語学の枠組みで考えるとすると工夫が必要です。絵文字だと文字言語と併用されているものについてはこれまでの研究の延長で扱えるところがありますし実際そういう研究もあるのですが(たとえば文字言語では表せないパラ言語的特徴を担っているとか),スタンプは仕様上必ず1つの発話になってしまうので…しかも絵だけのものと中に言語が組み込まれているものがありますし。

おわりに

 研究ではこういう難しいところがおもしろさであったりもするので良いのですが,実際のコミュニケーションの参加者としては,ややこしいなあとかいっそ廃止してほしいとか感じるのも当然かと思います。

 たとえば誰かが使い方(の方針)を提案して,それが影響力の強い人によるものであったり,すごく理に適ったものであったりしても,すべての人がそれに従うわけではないというのがコミュニケーションや人間の集団(社会?)の常ですしね。

 もちろん,より良い付き合い方を発見できれば何よりなのですけれど。

引用文献

平本毅 (2008)「電子メディアを通じてことばはいかにして話されるのか」『メディアとことば3』, 174-200, ひつじ書房.