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野球の記事で使われていたラグビー由来の表現「ノーサイド」

ちょっと前に,ある分野で使われている表現の意味・用法が一般的に拡張される現象について少し書きました。

dlit.hatenadiary.com

球技で用いられる表現由来のものとしては圧倒的に野球が多いという印象だったのですが(他だと,たとえばサッカー由来の「イエローカード」とか?),ラグビー由来の「ノーサイド」について,次の実例が気になったので記録しておきます。

竹中事務局長は(中略)「私からは、生徒を思う気持ちがあっての行為だったと一定の理解はしているけれどあの場はゲームセットでノーサイドとなっているところ。ああいう行動は取らないでほしいし、反省してくださいと伝えた」と説明した。
星稜・林監督の“サイン盗み抗議” 謝罪受けた高野連側は追加処分なしの方針(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

「試合が終われば敵味方の区別・対立がなくなる」というところから,「水に流す」的な意味で使われる例はそれほど珍しいものではないと思うのですが(詳しくは未調査),野球の競技の話で出てくるのがちょっと面白いなと思いまして。

でもこの用法,BCCWJでも1件しか見つからず,しかもモータースポーツに関する文章に出てきているようなので,むしろラグビー以外だとその他のスポーツの話で使われやすいのかもしれませんね。

ちなみに,国語辞典の記述が気になってアプリ版の日国,大辞林,新明解,明鏡で引いてみたのですが,ほとんどが「ラグビーにおける試合終了」のような非常に簡潔な記述で用例もなく,日国と新明解だけ「敵味方の区別がないという意味」のような補足があるだけでした。