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歯切れが悪いのは仕様です。

沖縄に住んでいた思い出としての気づかない方言

実は共通語やそのほかの方言(変種)では用いられないその方言特有の言語表現であるのに,話者がそのことを認識していないいわゆる「気づかない方言」と呼ばれるものがあります。

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上記の記事を読んでいて少しなつかしくなったので,沖縄出身者(生まれてから18歳まで沖縄本島中部地方で生活)として思い出せるものについて少しだけ書いてみます。なお,私自身の母方言はいわゆる「ウチナーヤマトグチ」だと思うですが,ちゃんと調査等したわけではないので,下記に挙げる表現がウチナーヤマトグチのものとは言い切れません(もっと狭いコミュニティ内の言い回しだったりすることもあるかも)。あと,記述が不正確な可能性もあります。

特に語形や表現の構成要素自体は共通語等にもあるけれども意味や用法が異なるというパターンは特に気づくのが難しいかと思いますが,「気づかない方言」自体はさまざまな方言に見られます

話題になるもの

沖縄出身者の間でも話題になりやすいものがいくつかあって,上記の記事でも触れられている自分だけの行為についても使える「動詞の意志形+ね」はその中の1つという気がします。記事では「〜しましょうね」が取り上げられていますが,丁寧体でなくても使えます。つまり,「そろそろ(自分だけが)帰るよ」という意味で「そろそろ帰ろうね」と言えます

ほかに記事で取り上げられてないものとしては正座を表す「ひざまずき」とかでしょうか。でもこれは連用形名詞の形でしか正座を指さない(「正座して」は「ひざまずいて」ではなくて「ひざまずきして」になる)気がするので意外と混乱にはつながらないかもしれません。

また,ほかの方言でもちょくちょく見られる現象ですが,共通語ではかたい文体で用いられる漢語がカジュアルに用いられるものもあります。たとえば,面倒くさいことを意味する「なんぎ(難儀)」があって,友人や家族相手のカジュアルな対面会話で使えます

「〜する」 

前にも少し記事を書いたことがあるのですが,

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共通語では見られないような「X+する」の組み合わせがあります。上の記事では「カビする」に言及しましたが,私が関東に移住した後も気づかずに使って他地域の人に「なんだそれ」って言われたものに「いっぱいしてる」という言い方があります。これ,「混んでる」って意味なんですね。なので,レストランとかで「今いっぱいしてて座れないみたい」のように使います。ただこれあまり沖縄出身者が話題にしてるの見たことないので,私の周囲だけで使われてる表現だったのかもしれません。

「と思う」に近い「はず」

これは研究もあったような記憶があるのですが,それほどの確信がなくでも「はず」が使えます。文法的にはコピュラが補文内に出られるという特徴があるので,形で気づける人もいるかもしれません。つまり「明日休みだはず」と言えて「明日休みだと思う」ぐらいの意味です。

おわりに

共通語と方言,方言間の区別も簡単ではありませんし各地域内の地域差や世代間による違いもありますから,「正しい/正しくない」みたいな話にするのではなく,気づかない方言探しゲーム,のような形で楽しめると良いですね。

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