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歯切れが悪いのは仕様です。

博論執筆記1:面白がらせる

 特にシリーズ化の予定は無いんですが。
 もう最近は博論そのものと個別論文に追われまくる毎日です。そんな日々を送っていて、自分の論文のいくつかの特徴が嫌でも分かるようになりました。まあ以前から言われてるものもあるのですが、大体、

  1. 論証、ロジックは明快でわかりやすい
  2. 表現がところどころくどい
  3. なんか面白くない、もっと面白くなりそうなのになんか物足りない

 1については、僕が研究者として目指している、というか常に心がけているところなので、こういう評価がもらえるとかなり嬉しいです*1。そういえば分析に関するロジックが変だ、と言われることはほとんどないような…僕の記憶が抹消してるだけかもしれませんが…問題は残りの二つ。
 2については、どうも少なくとも二つ理由があるようです。それは、

  • 正確に表現しようとしすぎて、文が長くなったり表現が冗長になったりする
  • 分析の利点や、成果を強調しすぎることがある

ということ。一つ目については、反応がばらつくことがありますし*2、純粋に文章を書く技術によって回避できることも多いですから、まあなんとか。それでも多発するのは避けたいですけどね。
 後者の方は、なんというか「色気を出し過ぎてしまうこと」へのコントロールが上手くいってないことが多いんですよねえ。いったん時間を置いて論文を読み返すと偉そうなことを言い過ぎてて恥ずかしくなることもしばしばです。理想は、分析や論証のみを淡々と述べてそれだけをもって評価される、というスタイルなのですが、自信が無いのかなんなのか、自分の分析の意義や評価を強調してしまうんですよね。誇大広告だけは避けたいところです。そういえば高校生の小論文の頃から「表現がくどい」って評価をもらってたなあ*3
 3については、ちょっとカッコつけると「はっきりと分か(ってい)ることしか述べたくない」という自分の信念によるところもあるのかなーなんて思いたいところなんですが、どうも表現の仕方自体、上手くないようです。口頭発表だと「面白い」とか「わくわくした」なんて言ってもらえることもあるので*4、論文での表現、という点で上手くできてないところがあるんだろうなあ、と。まあどうしても口頭発表の方がその性質からいっても面白くしやすいとは思いますけどね。
 僕が自分の研究に対して、もらって一番嬉しい評価って「面白い」なんですよね。それも発想の面白さ、ではなくて、現象とロジックを積み上げていって、「どう?ここに来るしかないでしょ?」と結論を出して、その論証(のプロセス)そのものに対して「面白がらせたい」のです。ぜいたくな目標なんでしょうけどねえ。ちなみに僕は(今のところ)「面白いことをやってれば誰かが気付いてくれるから」というより「面白さはできるだけの手法を用いてアピールすべき」だと考えているのでこの辺りはなんとか改善したいです。
 まあ、もちろん自分の分析自体の内容や、信念などについて妥協したりはしたくないですし、嘘やミスリーディングも嫌ですし、拘った結果論文が出せない、なんてことになったら本末転倒なのでバランス取りながらやってくしかないんでしょうけどね。

*1:これはブログでも日常の会話でも同じです。どれほどできているのかはわかりませんが。

*2:場合によってはくどいぐらい正確に書いた方が良い、と言われることもある。

*3:そんなに早くから分かってたならさっさと改善しろよ、ってとこですが。

*4:全て社交辞令という可能性も無いわけでは無いですが…