誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

いわゆる「ら抜き」関係の資料集をぼちぼち作り始めています

 ちょっとずつ増えてきましたのでこちらでも紹介。

目の届く範囲から適当に追加していっているので、全然網羅的でもありませんし(研究論文はもっとたくさんあります)、重要なものから載せているわけでもありません。
 むしろ、ciniiで調べられる論文や辞書など比較的調べやすいもの以外に載っている、見つけにくい情報のメモを目的としています。
 そんなことして何になるの、って、つまり、ちょっとしたコラムや入門書の練習問題に使われるぐらい、いわゆる「ら抜き」と呼ばれる現象に対する言語学的な分析には大枠のところでは多くの研究者によるコンセンサスがある、ということがわかれば良いなあ、と。
 もちろん今でも音韻論・形態論や言語地理学(方言学)、社会言語学などのアプローチからの研究が行われていると思いますが、いわゆる「ら抜き」がただの言い間違いや単なる音の省略、理由の無い「文法的間違い」であるというような見方はすでに却下され、論点ではありません。
 ちょこちょこ調べている過程で色々知らなかった論文や本の記事に出合って面白いです。なんで今さら「ら抜き」なんだっていうと↓の本のintroductionの章にIto and Mesterの論文を紹介した議論があったからなんですよね。"Ranuki"っていう名称で。

Inflectional Identity (Oxford Stuides in Theoretical Linguistics)

Inflectional Identity (Oxford Stuides in Theoretical Linguistics)

海外の論文でも日本語での名称がそのまま使われる現象としては"Rendaku"(連濁)が有名ですが、"Ranuki"もそうなったりして。まあlocalな現象だからそこまではいかないか。