さて、ちょっと前にコメント欄にて読者さんからいただいた下記のコメントがちょっと気になっています。
読者 2011/04/03 11:47
最近「消費増税」という新聞の見出し語がどういうことになっているのか気になっています。
ラーメンズで言語学(1):「大マンモス展」と語の組み立て方の話 - 思索の海
「消費税増税」と同じ意味で「消費増税」という語がつかわれることがあるようです。
結構気になっている人はいるようで。
このブログで時々取り上げてきたインターネットに特有の表現などと比べてちょっと面白い点は、新聞などのメディアで(も)よく使われている表現であるようだ、ということです*1。ググっても先に新聞社のサイトの見出しなどが多くヒットします。
ブログの見出しなども散見されるので、新聞に特有、とまでは言えないのかもしれません。ちょっと専門用語っぽいのかな。
他の表現もあるみたい
さて、語形成屋として気になるのは、他の「〜税増税」にも同じようなパターンが見られるかどうかという点です(生産性(productivity)の問題)。最初の予想では「消費税」にかなり限られた現象なのかと思っていたのですが、どうも他にも使われているようで、「所得増税」はヒット数も多いです。
「法人増税」「相続増税」になるとかなりヒット数が減る上にgoogle先生にも「もしかして:」などと言われてしまいますが、やはりニュースの見出しには見られるよう。
もし文字数の節約などが一つの動機になって新聞などのメディアが使い始めた表現、ということであれば他の「〜税」にも同じように適用されている、という推測はできますかね。可能性としては国会など政治の場で使われ出した、あるいは政治学などの専門用語としてこういう表現があったという可能性もあるとは思いますが、ちょっと調べきれてません。
分析
語形成の観点から見ると面白いですね。他に日本語の語形成でこういうのあったっけ。
分析としては「〜税増税」から前の「税」を削除する(Counter Equi Deletion!?)とか、「消費」と「増」を構造的に並列にして「税」とつなげるとか考えられるかなあ。でも後者は「消費税の増税」という意味をどう保証するのかが難しいかも。
他の「税」が絡まない表現にも広がっていくと、分析する方としては面白いのですが、その分反発も強まる/広まる気はします。
追記(2011/04/18)
id:machida77さんからいただいたはてブのコメントが参考になります。
machida77
朝日新聞の過去記事を見たら1987年5月13日参院予算委員会で売上税が消費増税と呼ばれていた。所得減税・消費増税と対比され、消費税登場後は特に消費税増税の意味で報道・政治で使われている。
はてなブックマーク - machida77のブックマーク / 2011年4月18日
ということであれば、上に書いた「メディアが文字数の節約を動機として使い始めた」という話は成り立たなくなります*2。