研究者・大学教員の皆様におかれましては,たとえば論文や書籍,学会発表等による研究成果の発表を評価される/することについて(さいきんの状況下では)いろいろ思うところがあるのではないでしょうか。特に評価基準や研究に関する制度・文化が異なる他分野・他領域とのすりあわせや情報交換はなかなか大変ですよね。
以前社会学における研究の評価の話がきっかけになって少しだけ下記のような情報の提供がありましたが,人文社会系だけでなく,いわゆる理工系でも分野・領域によって実はいろいろ細かい違いがあるのではないでしょうか。
さて,私が見ている限りではあまり良くあることではないのですが,書籍の前書きにそのようなことが書いてある例を1つ紹介しておきます(著者とは別の人が書いています)。ちなみにこの本自体おすすめの1冊ですので,専門書ですが,気になっていて未読の方はぜひどうぞ。
- 作者: 田村早苗
- 出版社/メーカー: くろしお出版
- 発売日: 2013/04/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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彼女の研究の評価は非常に高く,博士後期課程の時に京都大学で行われた第16回Japanese/Korean Linguistic Conferenceで発表を行っています。この学会は採択率20%前後という非常に水準の高い学会であり,日本語で教育を受けた大学院生の論文が採択されるのは極めてまれであるといえます。
(田窪行則 (2013)「序」『認識視点と因果』: i,強調はdlit)
人によって評価は異なるでしょうが,私の体感にかなり近いです。私も1回だけポスター発表で通ったことがありますが(口頭は全滅),どうしても避けられない校務で断念しました。
こういう学会,特に国際学会・国際会議の難しさや関連研究領域における評価は言語学の研究者内でも共有されているとは言い難く,このような情報がどこかに書いてあると情報交換や評価のすりあわせの際に助かるということがありそうです。
ただ,もしこういう記述が過渡に重視されるようになると,自画自賛や「盛った」記述が増えそうな気もするので悩ましいところですね。
研究に対する評価については,そもそも評価がどれぐらい必要なのかという根本的なところから,細かい基準に関する具体的なところまで,できること・やるべきことがいろいろあると思いますが,こういう試みも1つの参考になるのではないでしょうか。