誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

よりによって忙しいときに限って

 面白そうな論文や本にふと出会ってしまう気が↓…って紹介しようとしたらはまぞうで見つけられず。念のためAmazonにも行ってみたら、やはり検索をどうやっても引っかからず。新し過ぎるのかなー
 というわけで久しぶりに本の書誌情報手書き。

  • Broekhuis, Hans 2008. Derivations and Evaluations: Object Shift in the Germanic Languages. Mouton de Gruyter.

 ものすごくラフに書くとOT-SyntaxでObject shiftを色々分析しちゃうぜ!って本(多分)。Object shiftっていうと生成文法ではやっぱり?Icelandicのが有名な訳ですけれど、細かいvariationがあってそこも面白そうなんですよね。OTのメカニズムの売りの一つはvariationの分析にあるので、そういった内容なのかなーと思ってぱらぱら読んでみると、どうもちょっと違うっぽい。むしろScandinavian内のmicro parameterのような話ではなくて、Object shiftとGermanやDutchに見られるその他の移動現象を絡めて分析するのが一つの主眼になってるよう。
 ちなみに個人的にはObject shift絡みの論文では以下のFox and Pesetsky(2005)が発想として好きなんだけれども、僕の周りではあまり評判が良くなかったりする(笑)

  • Fox, Danny and David Pesetsky 2005. Cyclic Linearization of Syntactic Structure. Theoretical Linguistics. 31:1-45.

 この論文に対する言及もあるみたいなので(当然か)、個人的にはそれにも期待。あとは、やっぱりOT-Syntaxによる分析の、一つのまとまった本ってところが楽しみなところかな。OT-Syntaxで移動現象や語順をどう取り扱うのかについての良いケーススタディというか。最後の方の章ではLocative InversionとかResultativeに関する分析もあるようなので、それも面白いかも。
 なんか色々勢いで書いてしまいましたが、本当にイントロと目次をぱらぱらっと見た程度なので、詳細は直接お確かめください。とりあえず個人的な問題はじっくり読んでる暇はとても無さそう、ってところかな。
 しかし専門関係の記事ではよくOTに触れてる気がするなあ。僕は分析の枠組みとしてはOTは全然採用しないんですけどね。常々気にかけてはいるけれども。ただ、OTではよくDerivationalism(による分析)に対する批判が展開されるのでderivational、あるいはrule-basedな分析が発想の基にあるものとしては色々参考になることが多いんですよね。