誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

2014年後半戦雑感(1):日本語学会2014秋(北海道大学)

 なんか最近色々参加しているので簡単に記録など。

初北海道

 思ったより寒くなくてよかった…観光的なことは全然できませんでしたが(北大キャンパス内すら…)、食事はけっこう美味しいモノにありつけました。色々教えて下さったみなさまありがとうございました。

シンポジウム「一般言語理論と日本語研究」

 そもそもこのシンポジウムを聞くために研究発表に申し込んだようなもの。
 金水敏氏のものは「か」、疑問、並列絡みの話で、僕自身あまり国研のイベントに顔を出していなかったので新しい話が多く面白く聞けた。この話が来るって早めに分かってたら自分の研究発表でも少し絡められたかも…と思いつつ。
 西村義樹氏・藤田耕司氏の話は各理論・モデルのイントロという性格が強く、以前にも聞いたことがある内容もあったので(関西言語学会とか)、新鮮という感じではなかったかな。自分もいつも難しいなと思うのだけれど、理論・モデルの紹介を丁寧にやるとどうしても現象の分析など具体的なところに割く時間が少なくなる。ただ理論で具体的な分析をやるとどうしてもテクニカルになるからこういうシンポではざっくりした感じでも良いのかも。
 藤田氏のプレゼンは大変分かりやすく、シンポ後に日本語研究系の人複数名から「生成文法の個別の分析はよく分からない/あまり納得できないけど生物言語学は良いんじゃないか/面白いと思った」というような意見を聞いた。すごい。
 シンポではやや間の抜けたような質問をしてしまった(秘密)。後で「「語」などの言語単位についてどう考えているか」「「百科事典的知識」を文法モデルの中でどう位置付けているかもう少し詳しく」と聞いたら各理論・モデルの良い対比になったのではないかと思いついたけど後の祭り。というかあの場でどれぐらいマニアックに絡んで良いのか迷って空回りしたという感じ。こういうの気にしてしまうのがわたしの至らないところかもしれない。
 個人的には司会に徹しておられた三宅知宏氏の三方に対するコメントや議論を3, 40分ぐらい取って聞いてみたかったと思ったのだけれど、それはシンポのそもそもの主旨に反すると思うので仕方ないところかな。ああいう場での質疑は色々難しいんだろうけど、理論言語学と日本語研究両方に携わる一人としては、参加した人たちに何らかの影響があったら良いなと思う。

懇親会

 懇親会スキップ、というのにも心引かれたのだけれど、意外と色々な方にご挨拶できて結局は良かった。かなり意外な出会いもありましたし!
 最近ぼっちのふりしてひたすら食事をするスキルがレベルアップしててまずい気がする。
 懇親会から帰還後にスライドの仕上げ。今回の内容だと構造もあまりないしスライドなくてよかったような…

研究発表

 タイトルは「「か」等位節における時制と形態の不一致への形態統語論的アプローチ」ってことでどれぐらい人来てくれるかなというところだったけど午前中最後という良い枠の影響もあってかそれなりの人が。びびる。よく緊張してないように見えると言われますが顔に出ないだけです。実は日本語学会で初発表だったし。
 いつも通り最後の方少し時間がおしてしまい、時間のコントロールの甘さを痛感。それでも質問は痛いものが多く、痛いなーと思いつつもそれなりに問題点は伝わったのかなと少し安心。並列表現との絡みは実は今回はそれほど考えてなかったのだけれど、あれだけ専門家が来てくれるならもうちょい盛り込んだら良かった…(これも後の祭り
 発表後は色々な方に声をかけていただいたのだけれど、昼食突入ということもあってそれぞれの方とゆっくりお話することはかなわず、残念。

他の方の研究発表

 岡田祥平氏の「「爪痕を残す」の「新用法」について」だけ聞く。面白かった(こなみかん
 いや、こういう研究をされている方がいるというのは寡聞にして知らなかったので、心強いなと。

その他雑感

 ワークショップとかブース発表もどれも面白そうだったけど全部出られず、残念…関係者の方とは少しお話しできたのだけれど。やっぱり学会って色んな人と思わぬ話ができるのが楽しいなと。研究のことに限らず。
 あと印象に残ってるのは日本語学会が色々新しいことにチャレンジしてるなと。挨拶の時に会長が上野善道氏ということも大きいのかもと感じた。他の言語学系の学会にも良い影響というか、良いモデルケースの提供になることも色々あるんじゃないだろうか。今後も楽しみ。