誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

「高輪ゲートウェイ」とか新しい名称のはなし

 下記の記事のタイトルに「日本語学者」と入っていたので気になって読んでみたのですが,

少なくとも下記の記事の該当箇所を読む限りではことばの面から見て問題があるとはっきり言うのは意外と難しいのかもと思いました。ちなみに私自身は「高輪」や「芝浜」といったシンプルで使うのにそれほど支障がなさそうな候補があるのにもったいないと考えています。

一方、日本語学者の飯間さんは、こう指摘する。
「たとえば東京テレポートは海の上につくられた新しい街だが、高輪は江戸時代から古い歴史を持っている街。ゲートウェイがつくことで、高輪といえばゲートウェイになり、泉岳寺などを持つ伝統的な街が発展する可能性を失ってしまう」
「それに、多くの人が嫌だと思いながら使うことは非常に不幸なことです。事実上高輪と呼ばれるようになるという意見も多い。みんなが愛する駅にするべきではないでしょうか」
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/kirakira-gateway

 前者については,後ろの部分が主要部として認識されやすいという話にすれば理屈は分からなくはないのですが,「ゲートウェイ」が固有名詞ではないのでほんとに「高輪といえばゲートウェイ」になってしまうのかなあという気がします。こうやって話題になったので「あの物議を醸した(悪名高き)」という形では「高輪といえば」と言及されるようになるのかもしれませんが。後者については,「事実上「高輪」と呼ばれるようになるなら形式的には「高輪ゲートウェイ」でも良いよね」と開き直られちゃいそうと思ってしまいました。

 下記の提言も呼んでみたのですが,それほど上で言及した話に関する新しい情報はあまりなかったです。

cek.hatenablog.jp

新しい名称

 地域に関係する新しい名称を付ける場合はいろいろ難しい要因があり特に市町村名等で問題が起きていると思うのですが,この手の話を見かける度に,学部生の頃に日本語学の授業で担当教員が言っていた「「更級(さらしな)」と「埴科(はにしな)」を合わせて「更埴(こうしょく)」になっちゃうのは残念だよなあ」という指摘をいつも思い出します。

 こういうふうに語の形や音,表記が変わる場合は問題が分かりやすいと思うのですが,「高輪ゲートウェイ」には「高輪」がそのまま含まれているので,ことばの面から問題点が指摘するとなるともう少し手間が要るのかなという印象です。