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歯切れが悪いのは仕様です。

COVID-19ワクチン接種記録(予約から第2回接種2日後まで,随時追記中)

はじめに

COVID-19のワクチン接種のプロセスがけっこう進んだので公開する形で記録していきます。ほかの記事と違い,定期的に追記・修正してきますのでいつ読んだかによって内容が大きく違う可能性もあります。ご注意ください。

東京都江東区在住,40代前半男性です。

接種まで

予約

勤務先の筑波大学で職域接種の準備が進んでいるが,開始の具体的なめどが付くより早く区の方の接種予約が開始されたのでそちらにチャレンジすることに(追記:結局筑波大の職域接種は8月末スタートになった)。

40代前半の予約開始の後しばらくは探せば枠が残っている状態で,予約開始日に1回目7月末,2回目8月中旬で予約できた。その後,1回目の予約を3日ほど早めることができたのだけれど,1回目の予約を変更すると2回目が自動的にキャンセルされる仕様になっていて,2回目は最初の予約より4日ほど遅くなった(1回目から4週間空いている)。1回目を多少早くできたとしても2回目の予約が取れなくなる方が嫌だなと思ったので,これ以上良い予約を取ろうとすることはすぐ止めた。

数日後30代の予約開始になったのだが,それと同じくらいのタイミングで区から予約がぜんぶ埋まったという連絡が来ていた。

dlit.hatenadiary.com

競技会場もけっこう多い江東区で30代以下がぜんぜんワクチン打たないのにオリンピック・パラリンピックやっちゃうんだなと思ったのを覚えている(そもそも時期的に間に合ってないけど)。

場所については,大規模接種会場,自宅の近くの医療機関での予約はぜんぜん空いてなくて,とにかく可能な日程の中で取れる予約を探した(小さな子供がいることもあって妻と接種日の間隔をあける必要があるため)。ほんとうに偶然に1回目と2回目は同じ医療機関での接種となった。自宅から車で2, 30分くらいのところ。

1回目,2回目ともにファイザー社製。

予約システムは事前にけっこうやっかいという話を聞いていたからかそれほど悪い印象はなかったけれども,コンピューターやwebの操作に慣れてない人は予約枠争奪戦でかなり分が悪そうだ(操作に手間取っているうちにどんどん枠が取られてしまいそう)と感じた。

事前の準備

体調を整えることも重要だと思ったが,これはもうコロナ禍が始まってからずっと気を付け続けてきたのでそれほど何かを変えることはなかった。

予診票は特に戸惑うことはなかった。クーポンは貼らずに持参するというところは見逃して自分で貼ってしまう人もいるかもしれないと思った。

当日の移動手段を考える。DiDiというタクシー配車サービスからワクチン接種に関するクーポン(行き帰りそれぞれ1,500ずつ割引)のメールが来ていたので試してみることに。

didimobility.co.jp

アプリのインストールと初期設定だけして使っていなかったのだけれど,当日にやると慌てそうだと思って支払い方法と接種会場医療機関の住所を登録しておいた。

第1回接種当日:2021/07/27

  • 7:30:接種予定時刻が9:40と早いので起床後しばらくして体温を測る。36.5℃で一安心。

会場の医療機関までの移動

  • 8:50:保育園に向かう妻,子供をマンションの入口まで見送った後,DiDiでタクシーを手配。9時直前という時間,間の悪いことに台風8号が関東に接近していて雨も少し降っておりタクシーがつかまるかどうか心配したが10分もかからずに来た。
  • 9:00:タクシー乗車。
  • 9:25:タクシー降車,医療機関到着。雨だったけれどそれほど混んでなくて良かった。はじめて行く医療機関だったので少し戸惑ったが外にワクチン接種専用のテントがあったので分かりやすかった。

着いてから〜受付

  • 9:25:ワクチン接種者用の待機テントが設置してあってそこで予約を確認ししばらく待つ。台風の影響が少なかったから良かったがもう少し雨風が強かったら大変だったのではないか。
  • 9:30:受付。予診票と2回目の接種日・接種機関の確認。2回目の予診票をここでもらった。2回目の予診票の書き方に関する付箋が貼ってあって丁寧だと感じた。
  • 9:35:廊下で待機。さくさく進んでいる印象があった。

接種〜帰宅

  • 9:40:順調だったのか,予定の9:40よりちょっと早めに呼ばれたような気がする。場所は通常の診察室。簡単な確認の後,すぐに接種。座ってから本当に一瞬という印象。診察室には2分とかそんな程度しかいなかったのではないか。ぜんぜん痛くなかったがちくっという感覚はあった(元々採血なんかも大丈夫なタイプ)。接種後の注意が書かれた紙をもらって退室。
  • 9:45:接種後,待合室で15分様子を見て何もなければ帰って良いということで待機。特に体調などに変化がなかったので帰宅。
  • 10:05:帰宅もDiDiでタクシーを手配。時間のこともあってか早くて3分ほどで来た。道も混んでおらずスムーズに帰宅。

帰宅後

  • 10:40:それほど体調の大きな変化は感じないが,帰宅後すぐに体温を測ったら37.2℃あった。なんとなく少し身体の節々が痛い気がする(特に後ろ側の首筋?),あと少し気持ち悪さがある気がする。ただよく聞いていた身体のだるさや頭痛などはない気がする。
  • 12:30:体温を測ったら36.5℃と平熱に戻っていた。
  • 17:30:体温は36.5℃。身体の節々の痛さや気持ち悪さがなくなった気がする。注射をした付近(左上腕)の周りが特に腕を動かすとかすかな痛みがある。
  • 18:30:少し頭痛を感じる。頭痛持ちではないし夕食のメニューに困ったからではない気がする。
  • 21:00:夕食,入浴後もそれほど大きな変化はない。ただ注射した方の腕の痛みは確実にあって,特に腕を肩より上に上げるとはっきりと分かる。微妙に力も入れづらい。痛みの程度は低い。
  • 21:30:体温37.0℃。

第1回接種翌日:2021/07/28

  • 7:30:体温36.7℃。腕の痛みは継続,ただし痛みはそのままで強くなったりはしていない。気持ち悪さは微かに残るくらいに軽減,そのほかの自覚症状はないように思える。
  • 12:30:なんとなくだるさを感じて体温をはかったら37.2℃。腕の痛みは継続。
  • 14:00:体温37.0℃。
  • 16:30:体温36.6℃。軽い頭痛がある。
  • 20:00:程度は軽いが明らかに頭痛がある。
  • 23:00:体温37.0℃。

第1回接種2日後:2021/07/29

  • 9:30:体温37.1℃。腕の痛みは継続しているが,痛みがかなり弱まった。だるさのようなものがかなりなくなった。
  • 12:30:体温36.6℃。
  • 16:00:体温37.3℃。明らかな頭痛あり(これまでで一番はっきりしてるかも)。

第1回接種3日後:2021/07/30

  • 7:30:体温36.6℃。腕の痛みはほぼなくなった。
  • 23:00:体温36.7℃。ややだるさが残っているような気もするがほとんどの副反応っぽい症状はなくなった。微熱も出なくなった。

第1回接種のその後

  • 特に異変等なし。

第2回接種当日:2021/08/24

  • 7:30:2回目の接種予定時刻は1回目と違って16:30なのでそれまではふだんと同じ。体温は36.6℃で問題なし。

会場の医療機関までの移動

  • 15:55:第1回目と同じくDiDiでタクシーを手配。今回は2回目なのでワクチン接種会場移動用のクーポンは使えない(いちおう試した)。帰宅などの時間より早いこともあってかすぐ見つかり5分くらいでマンションに到着。
  • 16:00:タクシー乗車。
  • 16:15:タクシー降車,医療機関到着(偶然にも第1回目と同じ。予約した後に気付いた)。道が空いていて早めに着いた。1回目の接種で来ていたので迷うことはなかった。

着いてから〜受付

  • 16:15:外に設定されているワクチン接種者用の待機テントで受付して待たせてもらう。時間があったので Corbett (2000) Number. を少し読む
  • 16:25:受付。予診票の確認。問題なし。
  • 16:25:廊下で待機。

接種〜帰宅

  • 16:30:予定の16:30を少し過ぎたところで呼ばれた。場所は第1回目と同じ通常の診察室。簡単な確認の後,すぐに接種。今回も一瞬。診察室には1分もいなかったかも。刺されたときに少し痛みがあって当たり所みたいなものがあるんだろうかなどと考えた。2回目だからか接種後の注意が書かれた紙はもらわず,運動と飲酒を控えてくださいという注意を口頭で受けて退室。
  • 16:35:接種後,15分様子を見て何もなければ帰って良いということで廊下で待機。前回は待合室で待ったのだけれどやり方が変わったのかもしれない。特に体調などに変化はなく帰宅。
  • 16:50:またDiDiでタクシーを手配して帰宅。アプリがドライバーを探すのにちょっと時間がかかったが10分ほどで来た。道は混んでなくてスムーズに帰宅。

帰宅後

  • 17:00:それほど体調の大きな変化は感じず,体温も36.6℃。節々の痛み,気持ち悪さ,頭痛が少しある。
  • 18:30:注射をした付近(左上腕)の周りが特に腕を動かすと少し痛むようになってきた,特に腕を肩より上に上げると痛みが強くなる。力も入れづらい。
  • 22:00:体温36.7℃。

第2回接種翌日:2021/08/25

  • 7:30:体温36.6℃。腕の痛みは強くなり,肩より上に腕を上げるのが難しい。強い倦怠感がある。頭痛はない。就寝時も何度か起きてしまい眠りが浅かった気がする(私にとっては珍しい)。
  • 9:30:強い倦怠感は継続,節々の痛みと悪寒が出てきた気がして体温をはかったら37.1℃。
  • 10:30:体温37.8℃。解熱剤を飲む。
  • 11:30:体温37.5℃。
  • 12:30:体温37.6℃。
  • 16:30:体温37.7℃。倦怠感,頭痛,節々の痛み,悪寒はずっと少しずつあるものの朝よりは良くなった(特に倦怠感)。
  • 21:00:体温38.8℃。入浴直後,特に倦怠感や頭痛,悪寒などが強くなっていたわけではなかったのでびっくり。すぐ解熱剤を飲む。
  • 22:00:体温37.6℃。解熱剤が効いたか。

第2回接種2日後:2021/08/26

  • 7:30:体温37.6℃。腕の痛みはだいぶ良くなった。倦怠感は前日よりは良くなったもののまだけっこうある。気持ち悪さ,節々の痛みが少しだけある。頭痛はない。
  • 10:30:体温37.3℃。この日は解熱剤を飲んでなくて37℃台が続いているので前日より良くなっているのかもしれない。
  • 12:00:体温36.8℃。
  • 15:00:体温37.2℃。頭痛が出てきた。
  • 18:00:体温37.2℃。まだ軽い頭痛あり。
  • 21:30:体温37.1℃。頭痛が強くなったので頭痛薬を飲む。

第2回接種3日後:2021/08/27

  • 7:30:体温36.5℃。腕の痛みはほとんどなくなった。倦怠感,気持ち悪さ,節々の痛みもわずか。軽い頭痛がある。
  • 13:00:体温36.7℃。腕の痛み,倦怠感,気持ち悪さ,節々の痛みはなくなった。まだ軽い頭痛が時々。

(何かあったら or 記録がたまったらこの後に追記していきます)

ノイジーマイノリティが東京オリンピックについて気になったこと

きのう事前にいろいろ書いてつかれたので東京オリンピック・パラリンピックについてはしばらくブログを書かないとTwitterで言ったのですけれど,やっぱり気になるので少しだけ。

競技が始まってから,これまでのオリンピックと何か伝え方の部分で違うところが出てくるかと思って主にテレビ中継を見ていたのですけれど(私のゼミではときどきスポーツと言語が卒論のテーマになることがあります),ちょっとびっくりするくらいこれまでと変わらなかった気がします。

何より気になったのは,番組の中でスポーツに直接関わっていない多くの人たちがコロナ禍で苦しんでいることへの言及がとても少ないことです。たまたま私が見ていないところでだけたくさん言及されていたかもしれませんけれども。大会に何らかの形で関わっている人たちが大変なのも当然で,そこにまず言及や感謝があるのは分かります。しかし今はより広い視野が求められているのではという気がします。スポーツもそれ以外の社会や営みと切っても切り離せず,特にオリンピック・パラリンピックは社会的意義が認められているからこそこれだけの規模と扱いなわけですよね。

競技が終わった直後のアスリートに関しては,どうしても身近な人への感謝などが先に出るでしょうし,かなり感情的になっていることもあるでしょうし,インタビューの時間も限られているのでそういう言葉が聞かれないのはしかたないのかもしれません。でもそれなら,コメントしに来ている先輩アスリートとか,番組の司会や解説の方がもうちょっとフォローできないのでしょうか

特に初日NHKのオリンピック番組(柔道)の最後で,コロナ禍で苦しんでいる人たちに対して,とってつけたようなアリバイ作りのような一言さえなかったのは本当に驚きました。いや,そんなこと言うと「口だけは…」みたいな批判があるかもしれませんよ。でもなんと言うか,スタートラインにも立てていない感じ。

私は,今大会はこれまでになくスポーツとアスリートをはじめとしたスポーツに関わる人たちが厳しい目で見られる場になると考えていました。もし開催されることになったら,むしろなんとなく高揚感などによって覆い隠されてしまう始まってからが怖いのだと。今は,勝手に危機感のようなものを持っていた自分の方がおかしいのではないかとすら思えてきました。

私はいちおう大学で体育会にも入ってたスポーツ経験者で,自分ではあまりやらなくなった今でもスポーツが好きです。そんなんで今回のオリンピック・パラリンピックには反対というのはかなりのマイノリティなのかもしれませんが,

dlit.hatenadiary.com

この記事も本文に書いてあるようにアスリートの立場やスポーツの継続性を前面に出していて,むしろスポーツを応援する気持ちで書いたのですよ。

でも,もうなんだか冷めました。Twitterに書いたように白けたと言っても良い。これでもう今後開催期間中は東京オリンピック・パラリンピックに言及しません。嫌いになったからではない,どうでも良くなってきたからです。まだ始まったばかりですから,今後私の書いた心配が最初の1, 2日だけの局所的な出来事だったという展開になることを祈っています。

上にも書いたように私はスポーツとの関わり方についてはマイノリティで,ここに書いてあることは単なるノイズかもしれません。そのような人やものを「盛り上がってるから良いんだよ」と言って切り捨てた先に何があるのでしょうか。

おまけ

大坂なおみ選手についても何か書くかなということも考えていたのですが,開会式の件についてはいろんな人が触れていますし,アスリートとしての側面については過去の記事を紹介するにとどめておきます。

dlit.hatenadiary.com

あと「感動」についても以前まったく別の文脈で書いたものを思い出しましたのでよろしければどうぞ。

dlit.hatenablog.com

ラーメンズについてちょっとだけ(小林賢太郎氏解任に寄せて)

はじめに

小林賢太郎氏が東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式のディレクターを解任された件について,ラーメンズのファンとして何か書いておこうかなと考えているうちに,下記のような記事が出ました。

note.kishidanami.com

特に「小林賢太郎氏がそれを「浅はかに人の気を惹こうとしていた」のであれば、わたしも「浅はかに彼らの笑いを受け取っていた」に過ぎない」という辺りには共感するところで,私が特に何か書かなくてもいいかなとも思いましたが,このブログでも何度かラーメンズを取り上げていますので,やはり少し書いておきます。

また,よく読んでみると私と上記記事の書き手とではだいぶ細かいところが違っています。たとえばまず私は今回の東京オリンピック・パラリンピックには反対の立場で,小林賢太郎氏が開閉会式のディレクターに就任したことについては残念に思っていました。あと,下にも少し書くとおりそれほどラーメンズ・小林賢太郎氏の熱心なファンというわけではないかもしれません。

ちなみに,今回の開閉会式についての具体的な問題点については下記の記事の方をおすすめします。私としてはどちらかというとこちらを読んでもらえる方が嬉しいです。

dlit.hatenadiary.com

熱心なファンではないかも

私はラーメンズのファンと行っても,DVDで発表されている作品と,爆笑オンエアバトルで放映された作品をすべて見ているというくらいです。ラーメンズを最初に知ったのは爆笑オンエアバトルで,私にとってはものすごいインパクトでした。ラーメンズが出るかもしれないと思って毎週見ていたのをよく覚えています。公演を見に行けたのも1回だけです。

一方,小林賢太郎氏のラーメンズ以外の活動や作品についてはそれほどフォローしていませんし,今回取り上げられた作品についても知りませんでした。また,ラーメンズ,あるいは小林・片桐両氏のインタビューなどもほとんど目にしたことがありません。ただ私はそもそもラーメンズに限らず音楽や演劇,マンガ,小説などについて作り手の人となりをあまり追いかけないのですよね。インタビューも探しませんし(たまたま出会ったら読むくらい),Twitterでフォローしたりもしません。

というわけで,ここから先の話は上で紹介した記事とは違って熱心なファンの語りというわけではありません。ただ人生の苦しいときに(今でも)ラーメンズの作品を観て笑うことで救われてきた人間としては何か書き残しておいた方が良さそうだなと。ラーメンズを好きというところから来るバイアスもあるでしょうから,読む際には気をつけて下さい。

解任とそのプロセス

先に書いておくと,問題になった作品におけるホロコーストへの言及についてはやはり問題で,(ある程度文脈から切り離した形でも)これが理由でオリンピック・パラリンピックのイベントに関する仕事を辞することになるというのは私の感覚では不思議ではありません。

ただ,いろいろ関連記事を読んでみてもオリンピック・パラリンピックの運営を担う人々が事実をどのように把握していて,どのような認識の下,どのようなプロセスを経て解任に至ったのかというのが良く分かりません(私が見落としているだけという可能性もあります)。

百歩譲って開会式の開始まで時間がなかったので先に解任の決定を発表する必要があったとしても,後日でも良いので事実の内容確認と認識,解任までのプロセスについてしっかりとした具体的な説明・報告がなされるべきではないでしょうか。これまでの東京オリンピック・パラリンピックに関する諸々のことを思い返すと「しっかりとした具体的な説明・報告」にあまり現実味がありませんけれども。

確かに人々の認識や社会の変化によってより問題されるようになってきているという側面はあるのかもしれませんが,差別とかそういう問題について声を上げたり問題視したり批判したりする人はずっと前からいたわけで,そういう声に向き合わずになんとなくそのままにしてしまうことが多かった結果,今オリンピック・パラリンピックという国際イベントを前に進退窮まってしまっているのではというように私には見えます。ここで運営に責任を持つ主体が「辞任・解任して終わったことなので」といったような形でまたなんとなくそのままにすると結局同じことを繰り返してしまうというのは杞憂でしょうか。

ひどい犠牲が出た 歴史上の出来事を「笑い」にすること

私自身は上にも書いたように,今回問題になっているコント自体は見ていませんので考えられる範囲に限りがありますけれども,実際に見たことのある方の説明を読む限りでは,(こういう文脈/ニュアンスでの)ネタだから,という理由で看過できるようなものではないように思えます。

歴史や背景などが違うので簡単にほかのものに置き換えて考えるのは危険かもしれないのですけれども,私がこういう問題で真っ先に思い浮かぶのは太平洋戦争の沖縄戦です(沖縄生まれなので)。たとえば集団自決を「ごっこ」という形でネタにされたら,コントの中で特に核になる位置付けでもない一瞬の登場でも(だからこそ)そこから先は楽しめなさそうです。たとえラーメンズのコントであっても。

なんで「(お)笑い」にそんなにマジになってんのというように感じる方もいるかもしれません。しかし,(ポジティブな方にも強い力を持つことがあるのと隣り合わせで)笑いってけっこう暴力的であったり,暴力として機能してしまう側面があると思うのですよ。この辺り,私自身はそこまで詳しくないので専門家の方から何か解説などがあると嬉しいです。

そんなに昔の話を,と言っても,この内容は当時でも許されるものではなかったはずです。というか,だからこそ「ネタ」として使うことができるわけですよね。

これは,「お笑い」とか,「ラーメンズの世界」みたいな独立した文化だからといった言い訳は通用しないということなんだと思うのです。つまり,ユダヤ人やホロコーストといった事柄の一般社会における位置付けを作品に利用しているわけなので,外(一般社会)から「それどうなの」と言われた場合に応答を求められることからは逃げられないのではないでしょうか。その点で,ラーメンズの2人から具体的なコメントが出たことはファンとしては嬉しく思います。下記は片桐仁氏のコメント(小林賢太郎氏のコメントは後で触れます)。

twinkle-co.co.jp

応答の仕方には,こういう形でコメントや文章を発表するほかに,作品で応えるとか,いくつか方法があるのかもしれません。

小林賢太郎のことばとラーメンズのネタ

ところで,ラーメンズのネタには取り扱っている内容が理由で素直に楽しめないものもあります。これは楽しめるかどうかには差があっても同じようなことを感じている人もいるのではないでしょうか。

私にとっては,いわゆる日本語学校シリーズがそれです。なぜかというと「外国人」や日本語学習者に対するステレオタイプな描き方が出てきて,それが笑いにつなげられていることがあるからです。なので,実はラーメンズのコントを紹介する時に日本語学校シリーズからは選んでいません(そのほかにも悩んだものはあります)。ただそれを明確に指摘したことはないので,それはお前もダメだろと言われたらその通りです。

dlit.hatenablog.com

ただ,小林氏の「人を傷つけない笑いを目指すようになっていきました」という言葉の反映かどうかは分からないのですが,後になるにつれてそのような描き方は少なくなっているように思います(これはこの問題が出る前から感じていたことでした)。たとえば,日本語学校シリーズの後継のような内容になっている15回公演の「不思議の国のニポン」では外国人,あるいは日本語学習者というところはかなり背景化されているように感じます(このコントは都道府県に対するステレオタイプな描き方が気になる方がいそうではあります)。でもひいき目で見すぎかな。

追記(2021/07/24)

私がラーメンズ(の2人)が好きだということは変わりませんし,今後も2人を応援しています。

上にも書いたように個々の作品への好き嫌いなどはあるものの,小林賢太郎氏と片桐仁氏がこれまで作ってきたこと,やってきたことはやっぱりすごいことだという評価と好きだということは変わりませんね。

下記で紹介している「ラーメンズで言語学」の続編にできるかどうかは分かりませんが,今後も作品の紹介はしたいと思います。

ラーメンズのコントではない小林氏の仕事ということで「The Japanese Tradition」シリーズを思い出しました。「日本文化」への皮肉の混ぜ方が絶妙で私は好きです。ただこれも人によって好き嫌いは割れそうな気はします。


www.youtube.com

関連記事:ラーメンズ

「ラーメンズで言語学」シリーズはいちおう4まで書いています。ただ,3, 4は急いで書いたということもあって我ながら駄作だと思うのでここでは1, 2だけはっておきます(ブクマ数は2が10倍以上ありますけど私としては1が好き)。

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関連記事:そのほか

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