誰がログ

歯切れが悪いのは仕様です。

研究

工事で気付いた、何かが生まれる日常のスペース(たとえばエレベーターホールとか)

ふだんは人文社会学系棟という建物に常駐してるんですが、数年がかりで耐震改修工事をやってます。大きい建物なのであとしばらくかかりそうです。 工事の影響は、引越が大変とか工事中の退避場所がなかなかないとか教室の確保が大変(たとえばプロジェクタが…

書評は難しい&方言(コスプレ)のはなし&卒論についてもちょっとだけ

思いつくまま書いていたらまとまらない話になってしまった。 最近、初めて専門誌に研究書の書評を書く機会をいただいた。今最終段階なので、よほどのことがなければ、そのうちここでも紹介できると思う。 これまでブログなどでは簡単な書評めいたものを書い…

みなし月曜日(振り替え)と非常勤講師問題で体験談を1つ

「みなし月曜日」というのは今日初めて知りましたが(それほどよく使われている語ではないようですが)、月曜日ではないが月曜日と“みなす”曜日のことのようです。僕がなじみがあるのは「月曜振り替え(の日)」といった表現でしょうか。 いわゆるハッピーマ…

大学での(アカデミック)ライティング教育の難しさとかについてちょっとだけ(推薦図書について追記あり)

年度末ですし以下のツイートを見かけたので、そういう授業に携わっている身として少し現状について少し書いてみたいと思います。 文系って形式も内容もテキトーで単位取れるレポートしかずっと課されないし、それで「じゃあラスト論文書いて。形式守って。厳…

地域とことば:福島の方言は東北方言か?に便乗(読書案内付き)

下記の記事を読んで、方言に関する箇所が気になったので少し調べたことを書いておこうと思います。結論みたいなものはあまりないです。 http://gudachan.hatenablog.com/entry/2015/01/02/185750 ちなみに毎度毎度の言い訳ですが、僕は方言研究は専門ではあ…

2014年後半戦雑感(5):日本語文法学会第15回大会(大阪大学)

パネルセッションだけど司会だけだからなんとかなるかと思いきや、大変でした… そもそも今この学会の総務委員なんですが、この委員は学会開催中の色々なお仕事に関わるので余裕が全然無いのですね。打ち合わせのセッティング等も綱渡り的な感じで、終わった…

2014年後半戦雑感(4):日本言語学会第149回大会(愛媛大学)

他の方の発表とか 言語学会はいつもどこの部屋に行くのか迷うのですが、今回はどちらかというと自分の研究テーマに近いものを中心に聞きに行くことに。日本語の形態論についてのformalなアプローチの発表がいくつかあって、今後やってくれる人が増える…まで…

2014年後半戦雑感(3):第8回言語学×自然言語処理合同勉強会(国立情報学研究所)

あっという間に年末になってしまいましたのでそれぞれごく簡単に。 こちらの勉強会については下記のエントリでも少し書きました。 第8回言語学×自然言語処理合同勉強会の発表スライド(Twitterと言語研究の話)を公開します - 誰がログ もう一人の発表者の海…

2014年後半戦雑感(2):TwiFULL SLiM 27(北海道某所)

だいぶ間が空いてしまいました(いつものこと)。 研究会の詳細については下記参照。発表題目は「愚痴命令文と終助詞」。命令文は博論時からやってるんだけど終助詞は初挑戦。緊張。 http://www26.atwiki.jp/twifull/pages/19.html TwiFULL SLiMはTwiFULL系…

C87冬コミにラオウとかが使う「うぬ(ら)」を役割語の観点から見た論考が出ます

SJLL (Semiannual Journal of Languages and Linguistics)にヒャダイン論文以来となるfull paper (?)を投稿し、無事受理されました。 Google Sites: Sign-in タイトルは 役割語としての二人称「うぬ(ら)」:ラオウとハドラー です。以下、「はじめに」より要…

2014年後半戦雑感(1):日本語学会2014秋(北海道大学)

なんか最近色々参加しているので簡単に記録など。 日本語学会2014年度秋季大会 | 日本語学会 初北海道 思ったより寒くなくてよかった…観光的なことは全然できませんでしたが(北大キャンパス内すら…)、食事はけっこう美味しいモノにありつけました。色々教…

第8回言語学×自然言語処理合同勉強会の発表スライド(Twitterと言語研究の話)を公開します

参加して下さったみなさまありがとうございました。 2014年後半戦の出没予定その3:第8回言語学×自然言語処理合同勉強会 - 誰がログ せっかくかなりの人数の参加があったにも関わらず質疑の時間があまり取れないような時間配分にしてしまい後悔しています… …

文化庁の2013年度「国語に関する世論調査」の造語関連についてちょっとだけ(読書案内もあるよ)

はじめに 文化庁による2013年度の「国語に関する世論調査」の結果が公表された。 下記の記事をはじめ、今回は「造語」が取り上げられたことに注目が集まっているようなので、日本語(主に語形成)研究の観点から関連しそうなことを適当に書いておこうと思う…

「疑似科学」の範囲のややこしさ、あとことばでくくること

書いてみるとお前誰なんだという感じの内容になってしまいましたが、一読者の雑な感想として。 個々人が別個の問題にもとりくむべきという話ではなく、疑似科学に歴史修正主義がふくまれることを理解するべきという話 - 法華狼の日記 を読んで。 このタイト…

【宣伝】『日本語動詞文型用例辞典』がweb公開されました

庭三郎氏、野田時寛氏作成の『日本語動詞文型用例辞典』、以前某ルートから冊子版を手に入れたのですが、このたびweb公開されたそうでです。教えていただきましたので宣伝を(ちなみに私は作成には全く関わっていません)。 日本語動詞文型用例辞典 まえがき…

金谷武洋氏の著作について今後どうするのが良いのか(たぶんしばらくは何もしません)

最近は自分から情報を集めているというわけでもないのですけれど、新しい本が出たということもあってか、ちょくちょく関連情報を目にしたり、検索でいらっしゃる方も微増していたり。 金谷氏については、部分的にですが、書いたものがそこそこありますので、…

人文社会系の必要性の問題が不毛な理系文系論/対立につながりませんように

以下のエントリが話題になっています。色んな分野の多くの研究者が興味を持っているようで、色々な方の反応や発言で色々勉強になっています。 国立大から教員養成系・人文社会科学系は追い出されるかもしれない - 日比嘉高研究室 個人的に嬉しいのは、いわゆ…

「マイボイス」の紹介:声を失っていく人たち(ALS患者など)のための活動・ツール

最近ALSの支援活動としての「アイス・バケツ・チャレンジ」が色々話題になっているようですが 日本 ALS 協会「氷水については心配している」--理解や支援には感謝 [インターネットコム] 先日参加した音韻論フォーラム2014の講演でALSの支援にも深く関わる「…

関西言語学会第39回大会(主にシンポジウム「言語理論と科学哲学」)雑感

丁寧に書くとまた延び延びになりそうなので雑に書きます。 シンポジウム 研究発表もやってきたのですが、今回はなんといってもかねてよりファンである戸田山和久氏が参加したシンポジウム「言語理論と科学哲学」を楽しみにしていました。 シンポジウムの内容…

2014春の学会出没予定(発表もあるよ)

色々プログラムも出てきたようなので。 GLOW in Asia X(国立清華大学(台湾), 5/24〜26): "Cycle-Sensitive Suppletion in Japanese"というタイトルでポスター発表します 日本言語学会第148回大会(法政大学、6/7〜8): 口頭発表に申し込んで落ちましたが…

『日本語に主語はいらない』に突っ込む:寄道(6)三上章『象は鼻が長い』の表紙の話(+おまけ)

このシリーズはもう新しい話を書くつもりは(今のところ)ないのですが、三上章絡みの話なので、一応シリーズに入れておきます。 金谷武洋『日本語に主語はいらない』批判記事一覧 - 思索の海 『象は鼻が長い』初版本の表紙の話 ツイッターで これ誰かが書評…

はじめてのびぶりおばとる

「そんな安易なネタの使い回しとかするから本番でもすべるんですよ」 「あんなおもしろい人たちの後にやれってのがそもそも」 敗戦報告 さて、というわけでビブリオバトルやってきました。 日本語学関連のビブリオバトルに出ます(3/17(月)学習院大学) - …

(積極的に)関わると矢面に立つことになって下手したら疲弊しちゃう問題

以下は科学哲学などが専門の伊勢田哲治氏に対するask.fmでの質問とその回答。 科学哲学者はいつまでニセ科学(や科学者の背信行為)を野放しにされるお積もりでしょうか?一般に訴えかけられる科学哲学者の存在意義はそのくらいしか無いと思うのですが。 | ask…

日本語学関連のビブリオバトルに出ます(3/17(月)学習院大学)

日本語/日本語教育研究会主催の「大学院生応援企画「本について語ろう!」」という企画で人生初のビブリオバトルに挑戦することになりました。 上記のページには詳細が出ていないのですが、非会員でも参加できるようです(ちなみに私も非会員… 日時:3月17…

NINJAL Typology Festa 2014に参加して個人的反省会

http://www.ninjal.ac.jp/typology_festa/ その前の二日にやってたInternational Symposium on Polysynthesis in the World’s Languagesに行けなかったのでなんとかこちらには。それでも1日目の午前中は途中参加になっちゃいましたけど。国語研遠いっす。 こ…

【メモ】Cycle (head) & Allomorphy in Distributed Morphology

cycle-sensitive allomorphyってのは最近のDM(の一部)でアツい話題だと思う。すごく雑にまとめると「ある種の形態の現れ(allomorphyとかsuppletionとか)が統語環境に左右されている(ような)現象をphaseとかのlocalityを使って分析してみよう」って感じ…

大学での言語能力と授業のレベルについてちょっとだけ

こんな記事が出て、 ヤマザキ学園大(東京都)では、必修科目の英語で、be動詞の使い方などを教える授業が行われており、同省は大学教育にふさわしい水準に改めるよう求めた。 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140212-OYT1T01253.htm 大学教育関…

応用言語学演習4を終えて雑感

最近若干ブログ書きがスランプ気味ということもあるしたまにはこういうものを書いてみるのも良いだろうと。 はじめに 筑波大学で初めての演習の授業だった。非常勤の時に半分講義、半分演習のような授業は持っていたがどうなることか当初は色々心配があった…

【販促】SJLL (Semiannual Journal of Languages and Linguistics) vol.2絶賛販売中

言語系のネタ(と言い切って良いのか大変悩ましいガチさもほのかに漂う)同人論文誌SJLL (Semiannual Journal of Languages and Linguistics) vol.2が冬コミ後通販で購入できるようになっています。 参考:【告知】SJLL Vol.2 No.1刊行@C85冬コミ - 思索の…

性教育で異性との接し方を教えるべき?(追記あり)

と授業で聞いたのを以下のエントリを読んで思いだした、という話。忘れないうちに書いておく。 義務教育で「女の子の誘い方」を教えるべき あれは松井豊先生の、確か学部の認知心理学の授業だった。僕も学部生の頃。 余談だが、僕が松井豊先生の授業を受けた…